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68話「言葉の重み①」
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関 幸:♂ 三年生。なんでも探偵部の部長。
間宮 傑:♂ 二年生。なんでも探偵部の部員。
張間 彩香:♀ 一年生。なんでも探偵部の部員。
西田 聖也:♂ 一年生。サッカー部の部員。
北台 時架:♀ 一年生。サッカー部のマネージャー。
ーーーーー
間宮「あぁ~~やっとテスト終わったぁ~。」
テストという息苦しいイベントから解放され、間宮は自席で大きく伸びをする。グッと伸び終えると、表情を崩し、嬉しそうに帰りの支度を始める。
間宮「テストは大変だけど、午前中に家に帰れるのは最高だなぁ~。さぁ、帰ってのんびりとーーー」
机に置いたスマホがメッセージを受信し、明るくなる。間宮は手を止め、スマホへと視線を落とす。
張間[テスト終わりましたね! 今日は宴です! まっすぐ部室へ帰りましょう! ふぅぅ!!!!!]
間宮「...よし、家に帰るか。」
関「どこに行こうというのだね?」
間宮「...え?」
間宮は、恐る恐る顔を上げる。目の前には、腕を組み、ニタニタと不気味な笑みを浮かべながら、座っている間宮を見下ろす部活の先輩と後輩。
張間「小僧、我々から逃げられると思うなよ。」
間宮「うぎゃぁぁぁぁ!?!?」
ーーー
放課後、なんでも探偵部の部室。机には、お菓子やら飲み物やらが大量に置かれており、紙コップを持った張間は、これから始まる宴を今か今かと待っている。同じく紙コップを持った関は、ごほんと一つ大きく咳払いをする。
関「えぇ~長かった中間テストも、ようやく終わりましたね。みなさん、よく頑張りーーー」
張間「かんぱーーーい!」
関「張間くん? 私、まだ喋ってますよ?」
間宮「かんぱい...。」
関「傑くん、テストは終わったんだよ? なぜ、そんなショボくれてるんだい?」
間宮「精神をすり減らすテストという悪魔が去ったと思ったら...今度は、口が三つあるんじゃないかってくらいうるさい悪魔に捕まってしまったら、誰だってこのテンションになります...。」
張間「そんなショボくれた顔してたら、幸せも逃げちゃいますよ、間宮先輩! さぁさぁ、飲んでください飲んでください! テストという悪魔は去りました! 今夜は、楽しくはじけちゃいましょう! ふぅぅぅ!!」
関「一ヶ月後には、期末テストがありますけどね。」
張間「あぁ...半年に一回にしてくれないかなぁ...。死に物狂いで、あの地獄を抜け出したのに...また一ヶ月経ったら地獄行きのバスに乗せられるなんて...。私、辛い...。」
間宮「早く帰って、ゴロゴロしたい...。」
張間「テストを、この世から消し去りたい...。」
間宮・張間「はぁ...。」
関「おやおや、お通夜みたいになってしまいましたね。というか、ゴロゴロなら部室でもできますし、テストは授業をしっかり聞いていたら、できるものじゃないですか? そんなテンション下げることでもーーー」
サラッと発言した天才に、怒りが爆発する凡人二人。凡人一号の間宮は、先輩である関に対し容赦なくヘッドロックを極める。凡人二号の張間は、大先輩である関のガラ空きになったボディに、これまた容赦なくパンチの雨を降らせ始める。
間宮「こんなうるせぇ所で、ゴロゴロダラダラできるわけねぇだろうがぁぁぁぁ! 一分も黙ってられねぇくせに、調子乗ってんじゃねぇぞ、ゴラァァァ!!」
張間「この世の人間がっ! 全員、部長みたいにっ! 頭いいと思ったらっ! 大間違いですよっ! 調子っ! 乗ってんじゃっ! ねぇぞっ! ゴラァァァッ!!」
関「あだだだだだだ!? 君たち、落ち着きたまえぇぇぇ! 部長の扱いが雑じゃないかい!? あだだだだだ!!」
関の悲痛な叫びも虚しく、拷問は数十秒間続く。ようやく痛みから解放された関は、力なくスルスルと地面に崩れ落ちていく。
凡人二人は、力なく倒れる先輩を冷たい眼差しで見下しながら、追い討ちをかけるように、ビシッと指を突きつける。
間宮「次、調子乗った発言したら、どうなるかわかってんだろうなぁ?」
張間「ちゃんと、頭の中で言っていいことなのかどうか考えてから口にしろよ! わかったな!? ぺっ!!」
関「二人をここまで攻撃的な人間に変えてしまうなんて...! テストとは、恐ろしい悪魔だ...!」
間宮「あ、そうだ。張間さん、テストの出来はどうだったの?」
張間「ふっふっふ! 今回は、しっかり監視されてましたからね! とてもいい出来です!」
間宮「それは良かった。今後は監視されなくても、ちゃんと勉強しようね。」
張間「あーあーあー! もうテストは終わったんです! 勉強とか、テストを連想させるような単語は言わないでください!!」
間宮「はいはい。」
張間「さぁ、気を取り直して...宴を再開しましょう! 改めて、乾杯しましょう!」
関「いえっさー! ボス!」
間宮「やれやれ...。」
張間「それでは、テストお疲れ様でしたー! かんぱーーい!」
関「乾杯!!」
間宮「かんぱーい。」
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