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77話「言葉の重み⑩」
しおりを挟む張間「ありがとうございます。家まで送ってもらって。」
二人に家まで送り届けてもらった張間は、力なくペコリと頭を下げる。
間宮「気にしないで。今日は、ゆっくりと休んでね。」
張間「はい、ありがとうございます。」
張間「...間宮先輩。」
間宮「なに? どうしたの?」
張間「...ごめんなさい。」
深く深く頭を下げる。そして、ゆっくりと顔を上げると、目を合わせることなく背を向け、玄関へと向かう。
間宮「張間さん。」
間宮「張間さんは、何も悪くないよ。だから、もう謝らないで。」
間宮「張間さんは、何も悪いことしてないよ。」
張間「......。」
まっすぐと、張間の背中を見つめながら、温かい言葉を投げかける。
張間は、背を向けたまま小さく頭を下げ、家の中へと消えていく。
間宮「...大丈夫...なわけないか。」
関「張間くん、結局なにも話してくれませんでしたね。遠慮せずに言ってきなさいって、言ったんですけどね。」
間宮「そう言われても、やっぱり言いづらいですよ。こういうことを言い出すのって、すごく勇気のいることですし...。どれだけ優しい言葉を言ってもらえても、心のどこかで思っちゃうんですよ...迷惑かけたくないって...。」
関「...傑くん。」
間宮「なんですか?」
関「私、そろそろブチ切れそう☆」
間宮「恐ろしいことを、明るく言わないでください。」
関「三日だよ? 三日間も、やつは彼女の笑顔を奪ったんだ。苦しめたんだ。」
間宮「先輩、やりすぎないでくださいよ。また変な目で見られるのは、ごめんですからね。」
関「自分で言うのもあれですが...一年前に比べたら、丸くなってるでしょ? だからきっと、大丈夫ですよ~。」
間宮「全然信用できない...。」
関「さてと、私たちも帰りますか。」
間宮「そうですね。」
関「......。」
間宮「...やりすぎはダメですよ。幸先輩。」
顔を合わせず、言葉を交わす。間宮は伝え終わると、そのままスタスタと先へ歩いていく。
関「...わかってるよ。」
手をポケットに突っ込み、小さく呟き歩き出す。その後、言葉は交わされることなく、距離は縮まることはなく、顔を合わせることもなく、二人はそれぞれの帰路へと歩き去っていった。
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