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85話「好きと好き⑧」
しおりを挟む北台(な、なんなんだろ...? 一体この後、何が起こるのだろうか...?)
次の日のお昼休み。ザワザワと騒がしくなる教室内で、北台は自席でそわそわと座っている。自分をそわそわとさせている元凶の張間をチラリと見つめると、昨日の屋上で言われた一言が、頭の中に浮かび上がる。
張間「明日のお昼休み、空けといてね!」
北台(とか言ってたけど...何する気だろ? というか、昨日の今日で...うぅ、顔見たくない...。)
張間「西田くーーん!」
西田「なに? どうしたの、張間さん?」
張間「一緒にお昼食べよ!」
西田「...え?」
北台「...ん?」
張間「お昼、食べよ!」
西田(や、やったーー! ついに...ついに張間さんからご飯に誘ってくれたよ! めちゃうれしいぃぃぃぃ!)
北台(張間ぁぁぁぁぁ!? どういうことよ、これ!? なに!? 私に、聖也くんとのイチャイチャを見せつけるつもり!? あぁぁぁぁぁぁ、嫌ぁぁぁぁぁ! 見たくないぃぃぃ!)
西田「う、うん! もちろんいいよ!」
張間「よし! 北台さん、いくよー!」
北台・西田「......ん?」
ーーー
中庭のベンチへと移動した三人は、張間を真ん中に腰を下ろし、お昼ご飯を食している。
張間「いやぁ、お外で食べるご飯は最高だねぇ~!」
北台・西田(二人っきりじゃなかった...!)
張間「ん? どうしたの、二人とも?」
西田「い、いや...。」
北台「なんでもない...です。」
張間「ん? それならいいけど...あっ~! し、しまった~~!」
西田「どうしたの、張間さん?」
張間「しまったしまった! 大変なことが起こってしまった! なので、二人でご飯食べててくれ! では、さらばだ!」
張間は膝に乗せていた食べかけのお弁当箱を高速で片付けると、急いでどこかへと駆けて行ってしまう。
西田「え? ちょっ!」
北台「張間さん!?」
張間「北台さーん!」
張間は、くるりと北台へと振り返ると、パチンッと片目を閉じてウインクを送る。何度も何度も、ウインクを送る。
北台「......。」
西田「めちゃくちゃウインクしてくるね...どうしたんだろ?」
北台(ま、まさか...!?)
張間(二人でお昼、楽しめよっ!)
力強く、パチンッとウインクを決めて張間は去っていく。張間の考えを察した北台は、口を大きく開けて、信じられないといった様子で、小さくなる張間の背中を見つめている。
北台(は、張間ぁぁぁぁぁぁ!? 何、あの子!? いい子すぎない!? 私、泣きそうなんだけど!? あの子、私がやったこと覚えてないの!? 一日で忘れたの!? バカなの!?)
西田(ウインクする張間さん...可愛いな。)
西田「え、えっと...大変なことって、なんだろうね?」
北台「......。」
西田「北台さん、どうしたの?」
北台「...ホント、いい子すぎでしょ。」
西田「え?」
北台(私、最低なことしちゃったよ...最低だよ...。あんないい子を、傷つけてさ...。傷つけたのに...私のこと...。)
西田「え...? き、北台さん!? どうしたの!? なんで泣いてるの!?」
北台「......聖也くん...私ね...。」
涙を溢しながら、ギュッとスカートの裾を握った北台は顔を上げ、真っ直ぐ西田を見つめる。
北台「......あなたのこと、大好きです。」
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