なんでも探偵部!

きとまるまる

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101話「人は見た目じゃわからない③」

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青海「うふふふ。ここまで私を追い詰めるとは...やはり、あなたは他の人間とは違うみたいね。名探偵カカワーリ。」

関「さぁ、バカな遊びはやめて、一発ぶん殴らせなさい! アオウーミ!!」

間宮「怪盗2って呼んでやれよ。」


 屋上でヴェネツィアンマスクを着けて黒いマントを靡かせた怪盗2は、余裕の笑みを浮かべながら目の前の探偵を見つめている。


張間「間宮せんぱーい!」

間宮「あ、きた。」

黄島「ずいぶんと見つけるん早かったな。どこおったんや?」

間宮「怪盗2がトイレから出てきたところに、たまたま遭遇しまして。」

張間「なんというタイミング...。」

青海「あらあら、なんでも探偵部の皆さん。それに、ぱちくんまで。わざわざ私のために来てくれたのかしら? うふふ、私ってば人気者なんだから♡」

張間「なんか、前回と雰囲気全然違いますね? 前はポンコツだったのに。」

青海「おいこら、そこ! ポンコツって言うんじゃねぇ! 可愛いからって、容赦しないわよ!」

関「とにかく、19時までに見つけたんで、さっさと台本と探偵部が大事にしているものとやらを返してくださいよ。ポンコツ。」

青海「怪盗2と呼べって言ってるだろうが! 返してほしかったら、私と勝負だ。私に勝つことができたら、返してやろう。」

張間「いや、19時までに見つけたじゃないですか。なんで、また勝負するんですか?」

青海「見つけたら返すなんて書いてなかったでしょ! あ、もしかして日本語が読めなかったのかな? あなたには難しかったかな?  ポンコツ~~!!」

張間「先輩だからって、容赦しねぇぞゴラァァァァァァァ!!」

間宮「張間さん、落ち着いて。」

関「そういうめんどくさいのはいいから。早く返しなさい。」

青海「勝負したくないと? 私に負けるのが怖いと?」

関「私は、そんな安い挑発には乗りませんよ~。さぁ、早くーーー」

青海「勝負しないなら、くぐりど先輩にあることないこといっぱい言っちゃおうかな~? 久しぶりに、電話しよ~~!」

関「おいゴラ、青海ぃぃぃ! いいから、勝負内容を早よ言えや、ボケゴラァァァァァァ!!」

張間「ぶ、部長が荒ぶってらっしゃる...!?」

間宮「黄島さん、閤先輩って誰ですか?」

黄島「閤っつったらーーー」

関「じんぱっつぁん! 余計なこと言わなくていいの!」

青海「間宮 傑くん、君も勝負していくよね?」

間宮「いや、めんどくさいんで僕はいいです。」

青海「君が勝ったら、閤先輩のこと教えてあげるよ。」

間宮「さぁ、勝負しましょうか!」

関「傑くん、なんでそんなやる気出してるの? なんで?」

間宮「先輩の弱みを握れるかもしれないからです。」

関「君は、いつから心が歪んだ少年になってしまったんだい!?」

黄島「青海、これは俺も参加するんか?」

青海「あんたは参加せずに、同じ演劇部の私を応援しなさいよ!!」

黄島「なんでやねん。」

青海「さて、今からルールを説明するわよ。勝負は、3本勝負。先に2勝した方の勝ちよ。私が負けたら、台本とあなたたちが大切にしているものを返してあげる。でも、あなたたちが負けたら...罰を受けてもらうわ。」

関「罰だと!?」

張間「一体、何をする気!?」

青海「まず、名探偵の従順な犬である、張間 彩香ちゃんは...!」

張間「おいゴラッ! 誰が従順な犬だ!? ワンワンッ!」

間宮「犬じゃねぇか。」

青海「ここに、映画無料ペアチケットがある。」

張間「え? 欲しい。」

関「映画を見に行けってことかい? とんでもないホラー映画かもしれないぞ、張間くん!」

張間「やだ~~! 怖くて隣の人に抱きついちゃう♡」

青海「これは、今上映してるものならなんでも観られるチケットだ。これで、恋愛ものかホラーものを見てきてもらおうか。西田 聖也にしだ せいやと二人きりでね...!」

張間「な、なにぃぃぃ!?」

青海「ホラーものに誘う時と、恋愛ものに誘う時のセリフは、この紙に書いてある。」


 青海は、手にした紙を指で弾く。紙はひらひらと関の足元へと舞い落ちていく。


関「どれどれ...ホラーものの場合「に、西田くん! ここに映画のチケットがあるんだけどね...一緒に観に行かない? 一人だと、怖くて...。でも、西田くんと一緒なら...お願い♡」」

青海「最後に可愛くハートをつけるのがポイントだぞ。」

関「続いて恋愛ものの場合...「に、西田くん! いっしょに、この映画観に行かない? 今すごく流行ってる恋愛ものなんだ! わ、私ね...西田くんと一緒に観たいの...! ダメ...かな?」」

青海「「ダメ...かな?」は、上目遣いで可愛くやるのがポイントだぞ。」

張間「ちょっと待てやぁぁぁぁ! ふざけんな、こんちくしょうが! そんなことしたら...したら...! 好きって勘違いされるやん!! 絶対、行きません!!」

間宮「張間さん、強く否定すると西田くんが可哀想だから、やめてあげて。」

関「負けるな、西田くん。頑張れ、西田くん。」

青海「続いて、名探偵の助手、間宮 傑くんは...!」

間宮「誰が助手だ。」

青海「この、園児がつけてそうな可愛らしい名札を、一日お胸のあたりにつけて生活してもらう。」

間宮「僕への罰、めちゃくちゃ地味だな!!」

青海「ちなみに「ちゅぐるくん」と書いてあるぞ。」

間宮「地味な嫌がらせ、パート2!!」

青海「そしてそして、名探偵カカワーリは...言わなくてもわかってると思うけど~言ってあげるね~~! 閤先輩にぃ~...あ~これ以上は、負けてからのお楽しみ♡」

関「七海ちゃん、遺書を準備しておきなさいよ。」

間宮「閤先輩って、誰なんだろ?」

張間「私、気になります!」

間宮「あ、怪盗2さん。聞きたいことがあるんですけど。」

青海「なーに、傑くん? 君は、ちゃんと怪盗2って呼んでくれるからすごく好き! ありがとう!」

間宮「あの、探偵部の大事なものってなんですか?」

青海「あ、そうだ。これだよ、これ!」

関「なっ!?」

張間「そ、それは!?」

青海「退部届けと入部届け。残念だけど、もう傑くんの判子は押してあるから。」

間宮「いつの間に!?」

青海「この勝負に負けたら、傑くんは演劇部に入ってもらうわ。この前、屋上で君の演技を見たんだけど...なかなかいい演技だったからさ~ぜひ演劇部にと! あっ、大丈夫だよ! 演技に関しては、お姉さんが手取り足取り教えてあげるからね♡」

黄島「お前、教えるの下手くそやろうが。」

青海「うるさいな! ぱちくんは黙ってろ!!」

関「す、傑くんが、演劇部に...!?」

張間「ま、間宮先輩がいなくなったら...!」


 二人は、間宮がいなくなった探偵部を想像し始める。


関「傑くーん、お茶淹れてくれる~?」

関「......。」

関「傑くん、いないんだった。とほほ。」

張間「間宮せんぱーい! そこのお菓子、とってくださーい!」

張間「......。」

張間「間宮先輩、いないんだった。とほほ。」

関「張間くーん! 一緒に遊ぼうか!」

張間「なにして遊びます!?」

関「「ポって言おうゲーム」をしよう! ひたすらポって言い続けるんだ!」

張間「面白そうですね! やりましょう!!」

関「ポ!」

張間「ポ!」

関「ポポポポポポ!」

張間「ポポポポポポポポ!」

関「ポポポポポポポポポポポポ!」

張間「ポポポポポポポポポポポポ!」

関・張間「ポポポポポポポポポポポポポポ!!」

関・張間「ポ~~~~~~~!!」



ーーー



関「じ、地獄だ...。」

張間「地獄ですね...。」

間宮(なに想像したんだ、こいつらは...?)

青海「さて、そろそろ勝負を始めましょうか。まず最初は...これよ!「ストレス危機一髪!!」」

間宮「ストレス危機一髪?」

張間「なんですか、それ?」

青海「ルールを説明するわね! まず、社会の闇に囚われている社会人を真ん中にセットします! そして、社会の闇にいっぱい穴が空いてるでしょ? そこに、このストレスをぶっ刺していきます! 穴のどこかに社会人のストレス爆発スイッチがあるの。そこにストレスをぶっ刺すと...!」

 「こんな会社やめてやるぅぅぅぅぅ!」

青海「こうやって飛んでくの。社会人を飛ばした人の負けよ!」

張間「よーするに、黒ひげ危機一髪ですね。」

間宮「こんな悲しいおもちゃを生み出したのは、どこの会社だ!?」

青海「ストレスを刺す順番は、探偵部、私、探偵部、私の順番よ! ちなみに、探偵部で飛ばした人は次のゲームに参加できないからね! さぁ、刺しなさい!」

張間「よっしゃ! いけぇ、間宮先輩!」

間宮「えぇ...僕からなの?」

関「誰から刺しても変わらないでしょ。」

間宮「まぁ、そうかもですけど...。じゃあ、刺しますよ。えいっ。」

 「こんな会社やめてやるぅぅぅぅぅ!」

間宮「あっ。」

関・張間「おい、間宮ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

青海「まずは、私が一勝ね。」

張間「なにしてるんですか!? 一発目ですよ!? なにしてるんですか!? バカなんですか!?」

関「一発でゲーム終わらせるって、逆にすごいよ! 開始3秒もしないうちに#窮地__きゅうち_#に追い込まれたんだけど!? バカなの!?」

間宮「うるせぇ! バカバカ言うな!!」

青海「あと一勝で罰ゲーム~~! 楽しみだなぁ~~! あと、傑くんは次のゲームには参加できないからね!」

張間「くそっ! 間宮 傑がやられたか...。」

関「大丈夫だ...奴は、なんでも探偵部の中でも最弱...。」

張間「怪盗2ごときにやられるとは、なんでも探偵部のツラ汚しよ...。」

青海「さぁ、次のゲームを早く始めましょうか!」

張間「よっしゃい! ここからが本番やで!」

関「かかってこいや!」

黄島「お互い、うるさいのがおって大変やな。」

間宮「もうだいぶ慣れましたよ...。」

黄島「やな。」

青海「続いての勝負は...これよ!」
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