なんでも探偵部!

きとまるまる

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104話「ほんのちょっとの変化は見逃すって①」

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登場人物

 関 幸かかわり ゆき:♂ 三年生。なんでも探偵部の部長。

 間宮 傑まみや すぐる:♂ 二年生。なんでも探偵部の部員。

 張間 彩香はりま あやか:♀ 一年生。なんでも探偵部の部員。

 佐伯 奏さえき かなで:♀ 女子テニス、なんでも探偵部の顧問。



ーーーーー



張間「はぁ...。」


 放課後、なんでも探偵部の部室。張間は椅子に座り、手鏡をジッと見つめている。


関「おやおや、どうしました? 張間二等兵?」

張間「部長...見てくださいよ、これ。」

関「ん? 手鏡ですか? あなたが写っているだけですけど...それが、なにか?」

張間「はぁ......どうして張間 彩香ちゃんは、こんなにも可愛いんでしょうか...?」

間宮「自分で言うな。」

関「ホント、可愛すぎて困っちゃいますね...。あのロミオも、ジュリエットを選ぶことなく、張間くんを選ぶこと間違いなしですよ。それくらいの可愛さですよ。」

張間「はい、部長100点満点! おめでとうございます! 拍手っ! ぱちぱちぱち!!」

関「ありがとう! ありがとうありがとう!」

張間「それに比べて、間宮先輩は...はぁ......乙女心というものを、全くわかっていらっしゃらない。はい、漫画を閉じてください。今から、可愛い可愛い張間 彩香ちゃんが、乙女心のいろはを叩き込んであげましょう!」

関「あの張間 彩香さんの講義が聞けるなんて...! 私、感激です!」

張間「さぁ、レッスンを始めましょう...! 教科書、158ページを開きなさい。」

関「はいっ!」

間宮「......。」

張間「おい、こら! いつまで漫画を読んでんだ!? 授業は始まってますよ! ほらほらほら!」

間宮「......。」

張間「無視をするな、無視を! いいか!? これが最後のチャンスだ! 間宮ァァ、今すぐに漫画を閉じろぉぉ! その漫画を、ビリビリに引き裂いてやるぞ! いいのかぁぁ!?」

関「漫画は部室の物なので、破かないでくださいね。」

間宮「......ん? はい、もしもし?」

張間「おい、こらぁぁぁ! どうして、張間ちゃんのことは無視するのに、電話にはスッとでるんだよ!? あれか!? 張間 彩香ちゃんは電話以下だって言いてぇのかぁ!? いいだろう、売られた喧嘩は買ったるでぇ! そのスマホ、叩き割ったる! とっとと貸せぇい!!」

間宮「...え!? わ、わかった! すぐに行く!」

張間「ん?」

関「どうしました、傑くん?」

間宮「先輩、緊急事態です! 今すぐに、テニス部に!!」

関「テニス部...だとぉ...!? ま、まさか...!」

張間「緊急事態? 何があったんですか? まぁ、何があろうと、この張間 彩香ちゃんがズバッと解決ーーー」

関「傑くん、窓の施錠を! 急いで!!」

間宮「はい!」

関「まさか、こんな時期に来るとは...! 急いで準備しなければ!」

張間「無視しないでくださいよ! 怒りますよ!? 怒っちゃいますよ!?」

間宮「先輩、戸締り完了です! カーテンも閉めました!」

関「よしっ! こちらも準備完了だ! 行くぞ!」

間宮「はいっ!」

張間「おい、ごらぁぁぁ! 無視するなって言ってるでしょうがぁぁぁ! もう怒りましたよ! 私、怒りました! 貴様らを、この部室から出しはせん! 出たければ、この私を倒してから行け! というか、私も行きます! 緊急事態ってなんですか!? 私は、どんなことでも、かかってこいやー!ですよ!」

関「張間くん、君はお留守番だ。」

張間「えぇぇ!? 嫌ですぅ~! 私もーーー」

関「張間二等兵!!」

張間「は、はいぃ!?」

関「いいか? これは遊びではない...いくさなんだ...!」

張間「い、戦...?」

関「復唱しろ。「私は、部長の声が聞こえないかぎり、絶対に部室の鍵は開けません。」」

張間「わ、私は、部長の声が聞こえないかぎり、絶対に部室の鍵は開けません。」

関「よし、いい子だ。大丈夫、私たちは必ずここに帰ってくる。大人しく待っていなさい。」

間宮「先輩、急いで!」

関「あぁ、すぐに行く!」


 二人は、大慌てで部室を出て行く。


張間「...い、一体、何が起こっているんだ...?」
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