106 / 330
106話「ほんのちょっとの変化は見逃すって③」
しおりを挟む化け物と化した佐伯を辛くも振り切った張間は、中庭へと逃げ、膝に手を当て息を整えている。
張間「ぜぇ...はぁ...! あ、危なかった...! かなねぇに、一体何が...!? もしかして、間宮先輩が言っていた緊急事態って、あれのことなのか...!?」
張間「こ、これからどうしよう...? 下手に動けば、かなねぇと出会う可能性も...。今の、この体力では、逃げ切れる自信はない...! しかし、このままここに待機も、危ない気がーーー」
突然、背後から何者かに口を塞がれる。
張間「んんっ!? んー! んーーー!?」
関「落ち着きなさい、張間二等兵! 私です!」
張間「んー!? んんー!?」
関「手を離します。が、大声は出さないようにしてくださいね。わかりましたか?」
張間「んー! んんー!」
張間「っぷはぁ! び、びっくりしたぁ...!」
関「無事で、なによりです。」
張間「部長、あれは一体なんなんですか...? かなねぇに、一体なにが...?」
関「というか...あなた、なんで鍵開けたんですか? 私、言いましたよね?」
張間「ストップ! ちょっと待った! 話を聞いてください! 部長の声がしたのです! だから、開けたのです! そしたら、かなねぇのスマホから聞こえていたのです! つまり、私はなにも悪くないのです!」
関「くっ...! 私の声を録音していたのか...! やつめ、いつの間に...!?」
張間「それで、あれは一体なんなんですか!? なんのこっちゃなんですか!?」
関「あれは、かなねぇこと佐伯 奏先生が暴走した姿...! 女の子とのスキンシップが出来ず、溜まりに溜まった欲が溢れてしまったんだ...。」
張間「そ、そんな...!」
関「このまま奴を放っておけば...校内の女の子という女の子を、チュッチュッペロペロギューっし始めるぞ...!」
張間「な、なんと恐ろしい! 可愛い可愛い張間 彩香ちゃんは、間違いなくターゲットになりますね!? 部長、かなねぇの暴走を止める方法を教えてください!」
関「奴の暴走を止める方法...それは!! 気の済むまで、女の子をチュッチュッペロペロギューっさせることですね。ということで、張間くん...生贄になる覚悟は決まりました?」
張間「はいっ!もちろん! なんて言うと思ったか、このやろう! なるわけないでしょうが! 私が食べられそうになったら、迷わず部長を盾にしますからね!」
関「冗談ですよ、冗談。かなねぇの暴走を止める方法は...これです。」
関は、ポケットからミニサイズの哺乳瓶を取り出す。中には、緑色の怪しい液体がチャプチャプと揺れている。
張間「そ、それは...!?」
関「これは、科学研究部が開発した「鎮静液」です。これを、かなねぇに飲ませると...あら、不思議!落ち着きを取り戻します。」
張間「す、すごい...! 科学研究部のやつらは、とんでもないものを生み出してやがるぜ!! ところで部長、質問なんですが。」
関「はい、張間くん。」
張間「なんで、哺乳瓶に入ってるんですか...?」
関「大人という生き物は、赤ん坊に戻りたい時があるそうなんですよ。」
張間「そ、そうなんですか...?」
関「私、まだ子どもなのでわかりませんけど。さて、お喋りはここまでにして...いきますよ、張間二等兵。次の作戦で、奴を必ずや止めてみせるっ!」
張間「イエッサーー!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる