なんでも探偵部!

きとまるまる

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120話「仏の顔も、三度までやで」

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登場人物

 関 幸かかわり ゆき:♂ 三年生。なんでも探偵部の部長。

 間宮 傑まみや すぐる:♂ 二年生。なんでも探偵部の部員。

 張間 彩香はりま あやか:♀ 一年生。なんでも探偵部の部員。


ーーーーー


 放課後、なんでも探偵部の部室。テスト期間中ということで、間宮と張間は黙々とテスト勉強をしている。関は、のんびりダラダラと漫画を読んで過ごしている。


関「......。」

間宮「......。」

張間「......。」

関「......。」

間宮「......。」

張間「......。」

張間(あ、あぁ...あぁぁぁぁぁ...!! た、耐えられん...! これ以上、こんな静かな空間にいたら、私はどうにかなってしまう!! 今すぐにでも叫び散らかしたい! ノートも教科書もぜーんぶ放り投げて、お外に遊びに行きたい!! とにかく、遊びたい! 遊ばないと、どうにかなる!!)

張間「ま、間宮せんぱーい! そろそろ休憩しませんか? 私、いっぱい勉強したので疲れちゃいました!」

間宮「まだ30分も勉強してないでしょ。」

関「せめて、授業と同じ時間はしなさい。」

張間「なぁぁぁにを言っとるんだ、貴様ぁぁぁぁ!! 授業と同じ時間!? 寝言は寝てから言ってください!! 放課後に、30分近くも勉強する...これは、二回授業を受けたことに等しいですよ! ということで、私は休憩を希望します!」

関「なぁぁぁにを言っとるんだ、貴様ぁぁぁぁ!! 二回授業を受ける=50+50で100分っ! 貴様が勉強した時間は、23分46秒!! まだ半分もしていない! つまり、全く等しくない! ノットイコール!! と、言うことで、続けてください。」

張間「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁ~! もう無理、耐えられませんんんんん! 勉強したくないぃぃぃぃ!!」

関「駄々をこねるんじゃありません。期末は中間よりも範囲が広いので、油断してると赤点という名の地獄へ真っ逆さまに落ちますよ? 赤点取ったら、放課後に補習ですよ? 今以上に勉強ざんまいですよ? いいんですか?」

張間「嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁ~! ブチョえも~ん!! 勉強しなくても良い道具出してぇ~!」

間宮「張間さん、うるさいんだけど。」

関「ほらほら、騒いでると傑くんの邪魔になっちゃいますから。静かに勉強しなさい。」

張間「というか、私たちが勉強してる間、部長はずっっっと漫画読んだりスマホいじったりと、ズルくないですか!? ズルいですよね!? 間宮先輩も、そう思いますよね!?」

間宮「先輩は、ちゃんと結果出してるから。文句言わないの。ムカつくけど。」

関「傑くん、ムカつくけどは余計じゃない?」

間宮「勉強しろ勉強しろって言われたくなかったら、日頃からしっかりちゃんと授業受けて、テスト勉強しなくてもいいようになりなさい。」

張間「ちょっとちょっと! その言い方だと、私が授業ちゃんと受けてないみたいじゃないですか! 誤解を招く発言はやめてください!」

関「今日の三限目、寝てたって聞きましたよ?」

張間「ぎくりっ!? な、な、なんのことかしら~?」

間宮「ちゃんと受けてないじゃん。」

関「とにかく、わーわーはしゃぐ時間があるなら、キチッと勉強しなさい。今しっかりと勉強しておけば、将来の助けになりますよ。」

張間(く、クソォ...! どいつもこいつも、勉強しろ勉強しろ...こんなところにいたら、頭がおかしくなっちまうぜ...! さっさとここから脱出しなければ...!)

張間「あーはいはい、わかりましたよ~だ! 勉強すればいいんでしょ、すれば! その前に、トイレに行ってきます! トイレくらいはいいでしょ?」

関「ダメです。」

張間「どうして!? ここで漏らせというんですか!?」

関「あなた、トイレに行ったら戻ってこないじゃないですか。探すのめんどくさいので、トイレも休憩まで我慢しなさい。」

間宮「恨むなら、日頃の行いが悪い自分を恨みなよ。」

張間(なんということだ!! 純粋無垢で可愛い少女が、トイレに行きたいと言っているのに、それでもか! 酷い男どもだ! 鬼だ! 悪魔だ! こうなりゃ、押して押して押し通すまでよ!!)

張間「無理です! 我慢できません! だから、行かせてください!」

関「そんな嘘で騙せるほど、部長は甘くないですよ。さぁ、勉強を再開しなさい。」

張間「嘘じゃないです! 本当です! 信じてください!」

関「わーわー騒ぐんじゃありません。大人しく勉強しなさい。」


 張間は、瞳を潤ませながら関の腕を両手でギュッと掴む。


張間「部長...行かせてください...お願いします...!」

関(この顔で懇願されたら、断れる男はいないだろうな。)

関「...トイレに行きたいっつーなら、行かせてやるよ。」

張間「本当ーーー」

関「そのかわり。」


 関は、首輪とリードを机に置く。


関「付けろ。」

張間「っ...!!」

関「......。」

張間「男の人っていつもそうですね...! 私たちのこと、なんだと思ってるんですか!?」

間宮「お前の周りの男は、いつもそうなのか?」

張間「ちゃんと戻ってきますよ! 信じてください! 可愛い後輩の言葉、信じてくださいよ!!」

関「二回ほど信じましたが、裏切られた経験があるので...ほら、早く行かないと、漏れちゃいますよ?」

張間「誰が漏らすか! 私の膀胱を甘く見るんじゃ...って、こらぁぁぁ! なに勝手に首輪つけとるんじゃ! とっとと外さんかぁぁぁ!!」

関「騒ぐんじゃないって何度言わせるんですか? 全く...。ほら、ささっとトイレ済ませて、勉強しましょうね~。」

張間「離せぇぇぇぇ!! トイレくらい、一人で行かせろぉぉぉぉ!! 助けて、間宮先輩ぃぃぃぃぃ!!」

間宮「はぁ......張間さんは、いつになったらちゃんとしっかり勉強するのだろうか...?」

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