なんでも探偵部!

きとまるまる

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156話「勝負は、最後までなにが起こるかわかったもんじゃない②」

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卯ノ森「「じゃんけん」!! 最初の勝負は、じゃんけん...ん? じゃんけん?」

関「おやおや、すごくシンプルな戦いですね。」

張間「じゃんけんだろうがなんだろうが、負けは許さんで、間宮ァァァ!」

間宮「よかった、シンプルなやつで。」

猪山「これなら早く終わるし、助かるな。」

卯ノ森「ちょっと待ちなさぁぁぁい!! じゃんけんってなによ!? こんなもので勝負を決める気!? そんなの、絶対に許しませんわよ! もっと、白熱した戦いをしなさい!! というか、誰よ!? じゃんけんなんてつまらないこと書いて箱に入れたのは!?」

馬鳥「さぁ~? 誰だろうね~? もちろん、俺は違うよ~。」

木江「......。」

鹿野兎「......。」

卯ノ森「ちょっと! どうして木江先輩も凛先輩も顔を逸らしているのですか!? もしかしてですけど、あなたたちがじゃんけんと書いたんじゃないでしょうね!?」

木江「いやいやいや、まさかまさかそんなそんな。」

鹿野兎「ワ、ワタシハ、ナニモシリマセン。」

卯ノ森「この綺麗な字は、どう見ても凛先輩ですわ!! どうなんです!? 言ってご覧なさい!!」

鹿野兎「ダ、ダカラ、ワタシハチガイマスヨー。」

卯ノ森「嘘おっしゃい!! 他の人は誤魔化せても、私の目は誤魔化せませんわよ! さぁ、今すぐこの紙にじゃんけんと書いてみてください! さぁ!!」

馬鳥「あーあ、かのっちの字の上手さが仇となったか~。」

木江(というか、反応見ればすぐわかるけどね...。)

卯ノ森「とにかく! じゃんけんなんてあり得ませんわ! こんな勝負認めません! 無効よ、無効!! もう一度、紙を引きますわ!!」

猪山「勝ったぞ、卯ノ森。」

卯ノ森「ちょっと、会長! 何勝手に始めて...え? 勝った?」

張間「おいこら、間宮ァァァ! なんで負けとんじゃい!? 許さへんぞ! 土下座せい、土下座っ!」

関「まぁまぁ、落ち着きなさい張間二等兵。卯ノ森くんが無効だと言っているじゃありませんか。ですから、このじゃんけんの勝敗は関係ないーーー」

卯ノ森「まぁでも、じゃんけんも立派な勝負の一つですわ! 初戦は、私たち生徒会チームの勝利ですわよ! おーっほっほっほ~!」

関「な、なにぃぃぃぃ!?」

張間「何言っとんじゃい、貴様はぁぁぁぁ! 審判!! こんな横暴、許されませんよね!?」

馬鳥「うーん...さっちゃん、自分から無効って言っておいて、それはどうかと思うよ?」

木江「じゃんけんも立派な勝負の一つ。その通りだと思います。」

鹿野兎「えぇ。私たちも、ハッキリと勝敗を見届けています。この勝負は、生徒会側の勝ち。なんでも探偵部の負けで決まりです。この結果は、どう足掻こうが覆りません。」

馬鳥「君たち、早く終わらせたいからってね。」

卯ノ森「と、言うことで...私たちの勝利よ!!」

張間「卯ノ森 沙月...なんで女だ...!!」

関「世界は自分を中心に回っているとでも言いたげな横暴っぷり!」

張間「こんな独裁政治を許しておけるわけがない!! 私が、この手で必ずぶっ潰してやりますよ! いけっ、部長! 君に決めたっ!」

関「ユキユーキ!」

間宮「人任せじゃねぇか。お前が潰しに行けよ。」

牛寅「じゃあ、次の勝負は私ね。今日こそは絶対に勝ってやるんだから! 覚悟しとけ!」

関「何が来ようと、期末テストのようにボコボコにしてあげますよ。」

牛寅「む、ムカつくぅぅ!! 余裕でいられるのも今のうちよ!! 負けた時の言い訳を考えとけ!!」

関「灯ちゃん、それは負けフラグですよ。」

牛寅「うっさいわ!!」

馬鳥「あかりん先輩、燃えてるね~。」

木江「会長、灯先輩と関先輩っていつからこんな感じなんですか?」

猪山「一年の時からずっとだ。毎回顔を合わすたびに、ギャーギャーギャーギャーと...まぁ、喧嘩をするほど仲がいいというからな。お前たち、邪魔してやるなよ。」

鹿野兎「会長、後で灯先輩に怒られますよ...。」

猪山「ん? なぜだ?」

馬鳥「あはは~会長はホント鈍感なんだから~。」

木江(こういうところは、尊敬できない...。)

馬鳥「あかりん先輩、一回も勝ててないんでしょ? 今日くらいは勝ってほしいなぁ~。」

鹿野兎「そうだね。一年の時からって考えると長いし、灯先輩が勝って喜んでるところ見たいな。」

木江「灯先輩が得意なことで勝負できればいいんだけどね。」

卯ノ森「次の勝負は...これよっ! 「お絵描き対決」!!」

木江・馬鳥・鹿野兎「......。」

牛寅「お絵描き対決、ね。お題は、なに? まぁ、なんだろうが私が勝つのはーーー」

木江「灯先輩、ペン持たなくていいですよ。」

牛寅「え?」

馬鳥「やるだけ時間の無駄ですよ~。」

牛寅「え!?」

鹿野兎「灯先輩の絵を見たことない人もいるだろうし...これ以上、被害者が増えるのは...。」

牛寅「ちょっ、被害者ってなに!? どういうことよ!?」

猪山「灯、悪いことは言わん...やめておけ。」

牛寅「か、会長まで!? ど、どうしてですか!?」

馬鳥「どうしてって、あかりん先輩の絵、壊滅的にーーー」

木江「陽太! それ以上は言うな!!」

鹿野兎「灯先輩は、未だに壊滅的で絶望的な絵しか書けないってことをわかってないんだから! 見たら頭から離れない、夢に何度も出てくる恐怖の絵しか描けないってわかってないんだから! はっきりと言ったら絶対に傷つくから!」

馬鳥「かのっち、全部言ってるよ。」

鹿野兎「え? はっ!? ち、ち、違うんです、灯先輩! こ、これは...えっと...!! ご、ごめんなさいごめんなさい! プールに30分間、顔つけてきますぅぅぅ!!」

木江「凛ちゃんんん! そんなことしたら、確実に死ぬから!! 落ち着いてぇぇぇ! 戻ってきてぇぇぇ!!」

牛寅「...ねぇ、私ってそんなに絵心ないの?」

関「あなたの描いた絵、一度見たら忘れられずに夢に出てきてうなされる悪魔の絵だって有名ですよ? 知らなかったんですか?」

牛寅「......。」

猪山「灯、人には得意不得意というものが必ずあるんだ。だから、その...落ち込むな。」

牛寅「あっ、はい...。え、えっと......どうぞ、先進めてください...。」

張間「えっと...勝ちってことでいいんですか?」

関「そうみたいですね。まぁ、形はどうあれ勝ちは勝ちです。これで振り出し、勝負の行方は最終戦ですよ。」

間宮「なんか、可哀想なんですけど...。」

張間「私、どんな絵なのか興味があります!」

関「張間くんや、好奇心だけで行動すれば死を招きますよ。」

間宮「もうやめてさしあげて!!」
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