なんでも探偵部!

きとまるまる

文字の大きさ
上 下
197 / 330

197話「できることはできる!できないことはできない!はっきり堂々と伝えましょう②」

しおりを挟む

関「...えっと、つまり...うちの張間くんを...。」

間宮「彼女役にぃ!?」

比嘉「は、はい。僕、歳の離れた姉がいるんですけど...姉が、夏休みということで実家に帰ってくるんです。そのことで、電話してた時に...。」



比嘉姉「それじゃ、父さん母さんに伝えといて。お願いね~。」

比嘉「わかったよ。気をつけてね。」

比嘉姉「そういや、あんたって高校生になったのよね? どう、彼女できた?」

比嘉「な、なんだよ、急に!?」

比嘉姉「その反応...いないわね。あーあ、お姉ちゃん、心配だわ~。高校生にもなって、彼女一人もいないなんて。」

比嘉「へ、変な心配するなよ! それに、いないなんて言ってないだろ!」

比嘉姉「へぇ~? じゃあ、いるんだ?」

比嘉「あ、当たり前だろ! もう高校生なんだし!」

比嘉姉「そっかそっか! それは、会うのが楽しみだわ~!」

比嘉「え? 会う?」

比嘉姉「え? いるんでしょ? 連れてきてよ。」

比嘉「え!? あ、いや、それは...。」

比嘉姉「やっぱ嘘か。あんたに彼女なんているわけないよね~。」

比嘉「だ、だから、いないなんて言ってないだろ! わかったよ! 連れてくるから!」

比嘉姉「約束だぞ~。約束破ったら...わかってるわよね? ちなみに、どんな子なの~?」

比嘉「そ、それは、もちろんーーー」



比嘉「みたいな感じで、強気な発言をしてしまいまして...。」

間宮「な、なるほど...。」

関「漫画とかでよくあるパターンですね。」

比嘉「そ、それで、その...めちゃくちゃ可愛いとかなんとか言っちゃったので...えっと...言っちゃったからには、その...。」

関「言わずともわかりますよ。まぁ、外見はいいですからね。」

間宮「ど、どうします、先輩...?」

関「どうするもなにも、決めるのは私たちではなくて張間くんですよ。」

比嘉「ど、どうかな、張間ちゃん?」


 ふと、張間へと視線を向ける男たち。当の本人、張間 彩香は、自分への頼み事、彼女役、可愛い等の嬉しいワードを受けに受け、ニヤけることを抑えきれずに、ニタニタニタニタ笑みを浮かべている。


間宮「...張間さん、大丈夫なの?」

関「あなた今、とんでもない顔してますよ?」

張間「え~? いや~なんというか~? やっぱり、彼女役ってできる人限られてますもんね~! 可愛い彼女となれば、なおさらというか~? え~でもぉ~可愛い彼女でしょ~? 私に務まるかなぁ~? 自信ないなぁ~?」

比嘉「は、張間ちゃんは、めちゃくちゃ可愛いから! 姉さんも、みたらびっくりすると思う!「あんた、よくこんな可愛い子捕まえたわね。」とか、絶対言うと思うよ!」

張間「や、やだぁ~!! 可愛いとか、照れちゃいますぅ~!」

間宮「いつも自分で可愛いとか自信満々に言ってんじゃねぇか。どうした、おい?」

関「傑くん、自信があるからこそですよ。必ず肯定がくるとわかっているからです。」

比嘉「お、お願いします! 一日だけでいいので、僕の彼女になってください!」

張間「え、えぇ~!? で、でも...やっぱり私、可愛いかって言われたら、そんなだと思うし...もっと他にーーー」

比嘉「い、いや! 他の人には頼めないし、張間ちゃんくらいの可愛い子なんて、そうそういないよ! 張間ちゃんだけなんだ! お願いします!」

張間「も、もぉ~~~! そこまで言われちゃったら、断れないぃ~~! 自信ないけどぉ~頑張りますぅ~!」

間宮「おい、ニヤニヤしすぎだぞ。」

関「完全に調子乗ってますね。」

間宮「大丈夫なのかな...?」

関「ちなみに、比嘉くん。可愛い以外には、特に何も言ってませんか?」

比嘉「あ、いえ、他にも色々と...。」

間宮「他にもあるって。ちゃんと聞いときなよ?」

張間「うふふふ~! わかってますよぉ~!」

比嘉「えっと、他には...優しくて、お淑やかで、料理が得意で、頭も良くてーーー」

関「待て待て待て待て、待ちたまえ。」

比嘉「な、なんでしょう?」

関「えっと...可愛い以外には...優しくて...?」

間宮「お淑やかで...。」

関「料理が得意で...。」

間宮「頭も良くて...。」

張間「あぁ~もぉ~そんな大役、やっぱり張間 彩香ちゃん以外には適任がいませんよねぇ~! 任せてね、比嘉くん! 私、精一杯あなたの彼女をーーー」

関「比嘉くん、申し訳ないが、この話は無かったことにしてくれ。」

比嘉「え?」

間宮「僕たちにも、出来ることと出来ないことがあるんだ。」

比嘉「や、でも、張間ちゃんーーー」

関「とても残念だが、優しくてお淑やかで料理が得意で頭もいい女性は、うちの部活には存在しない。」

間宮「その真逆なら、いなくもないけど。」

関「そういうことだ。恥は、かきたくないだろう? さぁ、お帰りはあちらからーーー」

張間「させるかぁぁぁぁ!! 扉、ドーンッ! 鍵、ガチーンッ! 帰れませーーん! はい、お戻りくださーーい!」

関「張間くん! 出来ないことは出来ないとハッキリ言う! それが、うちの方針ですよ! さぁ、そこを退きなさい!」

張間「ふざけんなよ、てめぇぇ! バカにしてんのか、おいごら!! 誰がどう聞いても、張間 彩香ちゃんにピッタリ当てはまることばかりでしょうが!! この仕事、受けるに決まってんでしょうが! さぁ、退いた退いた! 仕事内容を詳しく聞きます!」

間宮「さっきのキーワードを聞いて、よくそんな態度をとれるな!? 自分のこと、少しは客観視しなよ!!」

張間「360度、常に自分自身見てますよ! 見た結果です! はい、論破! さぁ、比嘉くん! 話の続きを! いつ彼女役をーーー」

関「全然論破できてませんよ! 部長として、GOサインは出せません! 必ず失敗するとわかっている事柄をさせるわけがないでしょうに!」

張間「必ず失敗するって、どういうことだ、てめぇぇぇ! むしろ、何をどうしたら失敗すると思うんですか!? 言ってみてください! はい、どうぞ! はい、言えませんでした! 成功間違いなしですね!」

間宮「シンキングタイム、ゼロじゃねぇか! ってか、今の自分を鏡で見ろ! どこら辺にお淑やかさがある!?」

張間「はーい、鏡で見ましたー! はーい、可愛くて優しくてお淑やかでその他諸々の張間 彩香ちゃんが映っておりまーす! はーい、大丈夫でーす! はーい、行ってきまーす!!」

関「比嘉くん、これが彼女だ。これが、張間 彩香だ。もう一度、言おう...やめておきなさい。」

張間「やめろやめろやめろぉぉぉ! せっかく来てくれたお客様を帰すんじゃない! 部長は少し黙ってなさい! お口チャック! お口ミッフィー! めっ!」

間宮「あのね、僕らは張間さんのために言ってあげてるんだよ?」

張間「私のためを思うなら、GOサインを出しやがれ!」

関「出せるわけがないでしょうに。一つ目の優しいの時点で怪しさムンムンなのに。」

張間「はいぃぃぃ? どっからどう見ても、優しいでしょうが! 優しさの塊ですよ!」

間宮「仮に優しかったとしても、お淑やかは無理があるでしょ? お淑やかの意味、わかる?」

関「お淑やかというのは、身の振る舞いや話し方が落ち着いていて上品なさまのことを言います。はい、自分の胸に手を当てて。」

張間「お淑やか...私のことだわ!」

間宮「全然違うわ。」

関「あなたのお姉さんのことですよ。」

張間「じゃあ、お姉ちゃんの真似すればいいってことですか!? そういうことですか!?」

間宮「まぁ、簡単に言えばそうだけど...。」

関「あなたに、お姉さんの真似が出来るんですか?」

張間「私を誰だと思ってるんですか!! そんなの、朝飯前ですよ! ってか、間宮先輩だって咲ちゃんの彼氏役やってるじゃないですか! それなのに、私はしちゃダメっておかしいです! 不公平です!」

間宮「僕は、キャラ設定っていうのか...?そういうのがないでしょ!」

関「とにかく、真似ができるのならやってごらんなさい。出来次第では、考えますから。」

張間「見とけや、このアホども! 完璧に真似たるわ! ボケコラ!!」


 張間は頬を膨らませながら、廊下へと出て行く。


間宮「比嘉くん、やめるなら今のうちだからね?」

比嘉「い、一応、見てみます。」

関「では、続きましては...優しくてお淑やかな張間 彩香さんです! どうぞ~!」

張間「うふふ、こんにちわ。部長さん、間宮先輩、比嘉くん。」

比嘉「お、おぉ...!」

張間「いつもいつも、彩ちゃんがお世話になってます。ほら、彩ちゃんもお礼を言いなさい。」

比嘉「す、すごい...! さっきまでの元気さが嘘みたいに...! これは、すごく優しそうだしお淑やかじゃないですか!?」

関「......!?」

間宮「......!!」

比嘉「...ど、どうしました? 二人とも、すごい顔してますよ...?」

張間「うふふ、比嘉くんの言うように、すごく面白い顔になってますよ。」

間宮「せ、先輩...!」

関「あぁ...我々は、夢を見ているのかもしれない...!」

比嘉「酷い言われよう...。と、とにかく、これなら、お淑やかと言ってもいいんじゃないですか? 張間ちゃん、すごいね!」


 ニコニコと笑顔を咲かす張間だったが、顔とは裏腹に、両足がガタガタととんでもない勢いで震えている。


比嘉「...張間ちゃん、どうしたの?」

張間「え? なにが?」

比嘉「なにがって...足が、すごい揺れてるけど...。」

張間「え? 揺れてるかしら?」

比嘉「え...?」

関「い、いかん! 普段やらないようなことをやっているから、身体が拒絶反応を起こしている! このままでは、張間くんが!」

間宮「張間さん、もうわかったから! 普段の張間さんに戻って! 早く!」

張間「普段って...私、普段からこんな感じですよ?」

比嘉「あぁぁぁ!? 震えが、足から全身に!!」

関「これ以上は、身体が持たないぞ! 早く戻ってきなさい、張間くんんん!」

張間「部長さん、そんなに焦ってどうしたんですか? 私でよければ、お話し聞きますよ? 私、頼りないかもしれませんけど...。」

間宮「あぁぁぁ!? 鼻血が! 鼻血が出てるよ、張間さん! それ以上は、ホントだめだって!!」

関「やめろ、張間くん! やめるんだ! 君の身体が、壊れてしまうぞぉぉぉぉ!! 私は、大切な後輩が壊れていく姿なんて見たくない! だから...お願いだから、もうやめてくれぇぇぇぇ!」
しおりを挟む

処理中です...