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234話「少し似てる人はごまんといる③」
しおりを挟むゲーム研究部が活動している、パソコン室Aへとやってきた探偵部一行。
十字「これが僕らが開発したゲーム「倒せ!戦車くん!」です。楽しんでね~。」
間宮「おぉ、すごい...!」
関「斜め見下ろし視点なんですね。」
卯ノ森「ゲームっていうから、もうちょっと派手なのを期待してたのに...。」
間宮「卯ノ森さん、そういうことは言うもんじゃないよ。」
卯ノ森「そ、そうですわね...! す、すみません...。」
十字「いやいや、気にしないでいいよ。まぁ、どちらかというとミニゲームみたいなものだから、あまり派手な演出とかはないし、ちょっと物足りない部分はあるかも。」
関「いえいえ、このレベルでも十分すごいと思いますけどね。」
十字「そう言ってもらえると、嬉しいです。ありがとうございます。」
卯ノ森「では、私がやりますわ! どんなゲームでも、クリアしてみせますわ!」
関「これは、どういうゲームなんですか?」
十字「出てくる敵をただひたすら倒すだけです。だから、クリアというよりは、どれだけ生き残れるかを競うゲームですね。」
間宮「なるほど。パソコンのゲームなのに、このコントローラーが使えるんだ。」
十字「USBケーブルで繋げば、使えるよ~。最近はパソコンでゲームする人増えてるし、コントローラーも色々あるんだよ。」
卯ノ森「ゲームスタートですわ!」
関「おや、もう始めちゃいましたか。」
間宮「卯ノ森さん、説明はちゃんと聞いといた方がいいよ。」
卯ノ森「習うより慣れろですわ! あっ、あの青いのが敵ね!」
十字「Aボタン押せば、弾が発射されるよ~。」
卯ノ森「Aボタンね! そーれ!」
卯ノ森がAボタンを押すと、戦車の砲台から黒い球体が発射される。
目の前に迫ってきた青い敵に当たると、同時に破裂して敵ごと画面から消えていく。
卯ノ森「やった! 倒しましたわ!」
十字「敵を倒すと経験値が手に入って、いっぱい倒すとレベルアップするよ~。」
卯ノ森「よ~し、バンバン倒しますわ~! 撃て撃て撃てですわ~!」
間宮「卯ノ森さん、あまり無駄撃ちしない方がいいと思うよ。」
関「十字くん、この画面横の数値はなんだい?」
十字「あぁ、それはーーー」
卯ノ森「あらあら、おバカな敵がいっぱいやってきましたわ。この私に歯向かうなんて...全員消し炭にしてさしあげますわ~! お~っほっほっほ~!」
卯ノ森は止まることなくAボタンを連打する。が、数回撃ったのち、砲台は「ポスンポスン」と音を鳴らすだけで一向に弾を発射しなくなってしまう。
卯ノ森「...あれ? ちょ、ちょっと!弾が出なくなったわよ!? どうなってるの!?」
十字「そこの横に数値が書いてあるでしょ? それが、弾の残弾。」
関「あらら、今は0ですね。」
間宮「だから、無駄撃ちはやめた方がって言ったのに。」
卯ノ森「そういうことは早く言いなさいよ! と、とにかく、今は逃げないと...!」
十字「Bボタン押すと、ダッシュができるよ~。」
卯ノ森「Bボタンね! 戦線離脱よ! ダッシュですわ!」
卯ノ森「わぁ~! すごく早いですわ! これなら、どんな敵からも逃げられますわ! 追いつけるものなら追いついてみなさい! お~っほっほっほ~!」
間宮「卯ノ森さーん、それも使いすぎない方がいいと思うよー。」
関「では、残弾の下にあるこのバーは、ダッシュのエネルギーですか?」
十字「そうです。だから、それがなくなるとーーー」
卯ノ森「...あら? ちょ、なにこれ!? 動かなくなりましたわよ!? なんなのよ、これ!?」
関「なるほど。エネルギーがなくなると、動けなくなるんですね。」
間宮「へぇ~ちゃんとしてるね。」
卯ノ森「ねぇ、これどうするの!? ここから、どうすれば...い、いや、敵が...いやぁぁぁぁ!?」
関「やられちゃいましたね。」
間宮「だから言ったのに。」
十字「残念だったね。」
卯ノ森「な、な...なによ、このゲームは!? 全然面白くありませんわ! こんなゲーム、クソゲーよ、クソゲー!!」
間宮「クソゲー認定が早すぎるよ! もうちょっと遊んでからにして!」
関「シンプルで分かりやすい、でもやりごたえはありそうですね~!」
十字「一回やったら、結構ハマると思いますよ~。」
間宮「あっ、なんか電池のマークが出てきたよ。あれ取れば、エネルギー回復するんじゃない?」
卯ノ森「え!? どこ!? どこですの!?」
関「なるほどなるほど。弾とエネルギー補給は、マップ上に出現するんですね。」
間宮「卯ノ森さん、危ないよ!」
卯ノ森「そんなこと言われても...いぎゃぁぁぁぁ!?」
関「あらら、またやられちゃいましたね。」
卯ノ森「もぉぉぉ! なんなのよ、このゲームは!? 全然面白くありませんわ!! こんなの、出来っこないですわ!! もうやりません! ふんっ!!」
十字「うーん、そんなに難しいかなぁ? そこまで難しくしたつもりはないんだけど...。」
卯ノ森「なによ、それ!? 私が下手くそだって言いたいの!? こんな、敵も見て弾の残りとかエネルギーがどことか...いっぺんに色々できるわけがないじゃないの!」
十字「そ、そうかな...?」
関「卯ノ森くんの言っていることも一理あります。集中した時の視野は、思っている以上に狭いものですからね。十字くんや私たちはゲーム慣れしていますから、少しばかり視野が広がっているんでしょうが...。」
間宮「たしかにそう言われると、弾の残弾数とかは少し小さくて見にくいかもしれませんね。」
卯ノ森「でしょう!? そうでしょう!?」
十字「うーん、そう言われると...作る時、ゲームしない人のことはあまり考えてなかったかも...。」
関「操作性がシンプルで、誰でも気軽にできるものだからこそ、もう少しゲーム初心者に寄り添ってもいいかもしれませんね。このゲージ等は、もう少し大きく出来たりしますか?」
十字「そうですね。まだ余裕があると思うので、できると思います。この後、調整してみます。」
間宮「卯ノ森さん、弾の残りとかは慣れるまで僕が見ててあげるから。もう一回やってみたら?」
関「では、私はエネルギー補給などのアイテムが出たらお教えしますね。」
卯ノ森「わ、わかりましたわ。では、もう一回...もう一回だけだからね!」
関「次は、三人で乗り越えましょう。」
間宮「初めから上手くできる人なんていないんだし、少しずつ慣れていこ。」
卯ノ森「ゲームスタートですわ!!」
十字(二人とも、卯ノ森ちゃんの扱いが上手いなぁ。)
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