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1章 大いなる力と試練
8話 星の聖女と時の守護者 〜異世界で紡ぐ希望の光〜
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彩子は少女に向かい、ずっと気になっていたことを聞いてみることにした。
「ねえ、あなたは星の聖女としか呼ばれていないけど、名前を呼んではいけないとかの決まりが、あるの?」
少女は少しぽかんとしていたが、苦笑いをして答えた。「いいえ。ただ、誰も私の名前を知らないし、興味がないのよ。」
「はぁ~~?」彩子は「どういうこと?」と少女に詰め寄ると、少女は召喚されてからのことを話してくれた。
そもそも女神に会った時にも星の聖女と呼ばれ、使命だけ押し付けられてこの世界に放り込まれた。この世界の人々も星の聖女という以外のことは考えておらず、少女を個の人間とは考えていない。だから少女に名前があることは無視している。当然、異世界で普通に生活してきたのだから家族や仕事や友人や文化などあって当たり前なのに、星の聖女はそれらに無関係として扱われる。だから使命が終われば上級貴族に嫁入りという名の娼婦になるのだ。子を産まされ、年を取れば病死するのだ。
少女は前に召喚された星の聖女の『聖女の心得帳』を渡された。ほとんどがこの国の文字で星の聖女はどうあるべきかと書いてあるが、ところどころにメモのように日本語で実態を書いてあった。それを読んだ時に、この国のためには働かないと決めた。名前に興味がない奴らが名前を聞いてきた時は奴隷にされるから気をつけるようにとも書いてあった。
彩子はあまりのことに青ざめていた。リオも「星の女神様は何を考えているの?」と憤慨していた。「大体、他の女神様たちは何故このままにして‥」急に静かになったリオに彩子が「どうしたの?」と声をかけると「な、何でもないわよぉ」と言って空中に飛んでいってしまった。
少女は彩子に「ごめんなさい。どこから漏れるか分からないから名前は教えないわ」と申し訳なさそうに言った。
「うん。いいのよ。じゃあ勝手につけて呼ぶわ」と首を傾げてしばらく考えて、彩子は「ねぇ、ミカってどうかな?」と聞いた。
「いい名前ね」少女は笑顔で答えた。少女はこれで今からミカになった。
支度を整え(主に星の聖女が儀式の衣装など)、部屋を出ると私達は宮殿の中央にある大きな広場に案内され、そこには星の守護者たちが集まっていた。
「彩子様、そして星の聖女様。お二人が協力してくださることを、星の女神は喜んでおられます」守護者の一人が言った。
「試練の内容を教えていただけますか?」彩子が尋ねると、守護者たちは互いに顔を見合わせた。
「試練は三つあります」別の守護者が説明を始めた。「第一の試練は『星の調和』。第二の試練は『星の予言』。そして最後の試練は『星の創造』です」
リオが彩子の耳元で囁いた。「難しそうね~。でも、二人で力を合わせれば、きっと乗り越えられるわよ~」そう言って空中を飛んで歩くリオが何故か異様に眩しくそして二重に見えた。
彩子は深呼吸をして、ミカの方を見た。ミカも緊張した面持ちだったが、彩子に向かってうなずいた。
「では、第一の試練『星の調和』から始めましょう」守護者たちが広場の中央に大きな星図を描き出した。「この星図の中の星々のバランスを整えてください。それぞれの星の光の強さを調整し、完全な調和を作り出すのです」
彩子とミカは星図の前に立ち、お互いに見つめ合った。「私が左側を、あなたが右側を担当しましょう」彩子が提案し、ミカも同意した。二人は慎重に星々の光を調整していった。彩子はミリディアの力を使って星の本質を感じ取り、力の加減をしながら光を操っていった。ミカは星の聖女としての直感を頼りに、まるで星たちと対話するように優しく光を操作していった。
しばらくの苦心の末、星図全体が美しく輝き始め、完璧な調和を生み出した。
「見事です。素晴らしい! 第一の試練をクリアしました」守護者たちが喜びの声を上げた。
続いて第二の試練『星の予言』が始まった。広場の中央に巨大な水晶球が現れ、その中に無数の星が浮かんでいる。
「この水晶球の中の星の動きを読み取り、未来を予言してください」守護者が説明した。
彩子は時の守護者としての能力を使い、星の動きの中に未来の時の流れを感じ取っていた。一方、ミカは星々の配置から意味を読み取るために集中した。二人は互いの解釈を共有し、少しずつ未来の姿を描き出していった。そして最後に、彼らは驚くべき予言を告げた。
「この世界と地球が再び繋がる時が来る。そして、両世界の知恵と力が融合し、新たな時代が始まるでしょう」
守護者たちは驚きの表情を浮かべ、しばらくの沈黙の後、「素晴らしい予言です。第二の試練もクリアしました」と告げた。
最後の試練『星の創造』では、彩子とミカは手を取り合い、心を一つにした。
「新しい星を生み出してください。それは希望と未来を象徴する星でなければなりません」守護者が言った。
彩子はミリディアの力と時の守護者の力を、ミカは星の聖女としての力を最大限に引き出した。二人の力が混ざり合い、光の渦となって空中に舞い上がる。その光は次第に凝縮され、小さな星となって輝き始めた。新たに生まれた星は、青と緑の優しい光を放ち、見る者の心を温かく包み込むようだった。
「素晴らしい…」守護者たちは言葉を失った。「これこそまさに、希望と未来の星だ」
こうして、彩子とミカは全ての試練を見事にクリアした。星の女神の姿が現れ、彩子に祝福を与えた。
「よくぞ試練を乗り越えましたね、彩子よ。汝に星の力を授けよう。そして星の聖女よ、お前もよくやりました。これからも星の聖女の務めを怠らないように。わがままは許しませんよ」と言った。
俯き、唇を噛み締めているミカの肩にそっと手を置いた彩子は、星の女神の力を得てさらに強力になった時を操る力で、約束通りミカを元の世界に送り返す準備を始めた。周りは突然の事に驚き、慌てて混乱を起こしている。
「忘れ物は無い? ミカ」彩子が聞いた時に、一人の神官がミカに向けて呪文を素早く唱えた。ミカの首に突然、黒い首輪がカチャリと音がして嵌まった。そこにいた誰もがニヤニヤと笑い、「残念だったな」といやらしい声がした。
ミカと彩子は頷き合うとミカの首輪に手をかけて力任せに引き千切った。首輪はあっけなく外れサラサラと粉になり消えていった。神官は信じられないような顔をして二人を見ていた。その場でニヤニヤしていた連中は凍りついたように動けなかった。
「馬鹿じゃないの? こんな敵ばかりの場所で本名なんか名乗るわけないじゃん!」ねぇ~と彩子とリオと頷き合った。彩子が魔力を解放して言った。
「邪魔をするなら全力で戦うけど?」
周りの人間が誰一人動けなくて歯噛みしていると、いきなり天から凄まじい神力が流れてきた。今まで外界のことと手も口も出せなかった星の女神が動きだしたのだ。
「よくもよくも謀ったな」星の女神が地を這うような声をあげた。
「謀ったわけではないわ、ちゃんと試練を受けたでしょ」彩子が叫んだ。
「我が星の聖女を連れ去るなどと愚か者が!」
星の女神が流星群を一本の矢にして彩子に投げつけようとしたとき、リオの身体が眩しく輝いた。その輝きで流星群は消えてしまった。星の女神が慌てた声で「まさか! そんなはずは……」
リオから溢れた光が形を作りだし、そしてそこには太陽の女神と影には月の女神が姿を見せていた。
「ヒィ!」星の女神が悲鳴をあげた。
「さすがにもう黙ってはいられません」2つの声が重なり鎖となり星の女神を捕らえた。
「なによ! ふざけないで! 私は星の女神よ! 私が星を作り生命の種を蒔くから世界は存在するのよ! そうよ、本来は私が一番敬われる女神なのよ!」暴れながら星の女神は叫び続けた。
「女神としての力をなくします。そしてあなたは消滅と創造神が決定されました。」
その言葉とともに星の女神は消え去ってしまった。唖然としていると再び声が響いてきた。
「今までの星の女神はいなくなりました。すでに新しい星の女神が動いています。彩子よ、そして星の聖女よ、このような国を放置していて済まなかった。けれども、この国は星の聖女によって安定するようになっているのだ。聖女召喚を辞める訳にはいかない。しかしこの太陽の女神と月の女神が約束しよう。決して無理やりな召喚は行わない。彼の国で迷惑をかけるような召喚はしない。天命が尽きたか、不慮の事故において亡くなった者に召喚や転生を限定しよう。だから許してくれないか? もちろん今残っているこの国の人間には長いお仕置きと躾が必要だが、それも間違いなくやろう。だからこれで良しとしてくれないだろうか?」
さすがに女神2人から頭を下げられたら何も言えないけど、彩子はこれだけはと伝えたいことがあった。奴隷魔法はだめだろう。あの魔法は破棄して使えないようにするべきだ。それを約束してもらい、後の始末は女神たちに任せることにした。女神たちは「我らの試練も待っているからな」と言って消えていった。
残されたこの世界の人間は大丈夫なのかと見渡せば、みんな頭にがっしりと孫悟空の輪っかみたいなものがキラキラと輝きながらついていた。
「………」私達は見なかったことにしてミカを地球に帰す準備を続けた。リオも太陽の女神や月の女神の媒体になったおかげ? でちょっと成長した。空中をクルクル舞いながら光魔法を振りまいている。
別れの時、ミカは涙ながらに彩子に感謝の言葉を伝えた。「本当にありがとう。この経験は決して忘れないわ。きっと、いつかまた会えると信じているわ」
彩子はミカを優しく抱きしめ、「ええ、きっとまた会えるわ。それまで、元気でね」と言った。そして、時空を操る力を使って、彩子はミカを召喚される直前の瞬間の地球へと送り返した。
試練を終え、新たな力を得た彩子。そして、故郷に帰ることができたミカ。二人の心には、この出会いと経験が深く刻まれた。彩子は次なる冒険に向けて歩み出す準備を始めた。森羅万象の力を手に入れるまでの道のりは、まだまだ続いていくのだった。
「ねえ、あなたは星の聖女としか呼ばれていないけど、名前を呼んではいけないとかの決まりが、あるの?」
少女は少しぽかんとしていたが、苦笑いをして答えた。「いいえ。ただ、誰も私の名前を知らないし、興味がないのよ。」
「はぁ~~?」彩子は「どういうこと?」と少女に詰め寄ると、少女は召喚されてからのことを話してくれた。
そもそも女神に会った時にも星の聖女と呼ばれ、使命だけ押し付けられてこの世界に放り込まれた。この世界の人々も星の聖女という以外のことは考えておらず、少女を個の人間とは考えていない。だから少女に名前があることは無視している。当然、異世界で普通に生活してきたのだから家族や仕事や友人や文化などあって当たり前なのに、星の聖女はそれらに無関係として扱われる。だから使命が終われば上級貴族に嫁入りという名の娼婦になるのだ。子を産まされ、年を取れば病死するのだ。
少女は前に召喚された星の聖女の『聖女の心得帳』を渡された。ほとんどがこの国の文字で星の聖女はどうあるべきかと書いてあるが、ところどころにメモのように日本語で実態を書いてあった。それを読んだ時に、この国のためには働かないと決めた。名前に興味がない奴らが名前を聞いてきた時は奴隷にされるから気をつけるようにとも書いてあった。
彩子はあまりのことに青ざめていた。リオも「星の女神様は何を考えているの?」と憤慨していた。「大体、他の女神様たちは何故このままにして‥」急に静かになったリオに彩子が「どうしたの?」と声をかけると「な、何でもないわよぉ」と言って空中に飛んでいってしまった。
少女は彩子に「ごめんなさい。どこから漏れるか分からないから名前は教えないわ」と申し訳なさそうに言った。
「うん。いいのよ。じゃあ勝手につけて呼ぶわ」と首を傾げてしばらく考えて、彩子は「ねぇ、ミカってどうかな?」と聞いた。
「いい名前ね」少女は笑顔で答えた。少女はこれで今からミカになった。
支度を整え(主に星の聖女が儀式の衣装など)、部屋を出ると私達は宮殿の中央にある大きな広場に案内され、そこには星の守護者たちが集まっていた。
「彩子様、そして星の聖女様。お二人が協力してくださることを、星の女神は喜んでおられます」守護者の一人が言った。
「試練の内容を教えていただけますか?」彩子が尋ねると、守護者たちは互いに顔を見合わせた。
「試練は三つあります」別の守護者が説明を始めた。「第一の試練は『星の調和』。第二の試練は『星の予言』。そして最後の試練は『星の創造』です」
リオが彩子の耳元で囁いた。「難しそうね~。でも、二人で力を合わせれば、きっと乗り越えられるわよ~」そう言って空中を飛んで歩くリオが何故か異様に眩しくそして二重に見えた。
彩子は深呼吸をして、ミカの方を見た。ミカも緊張した面持ちだったが、彩子に向かってうなずいた。
「では、第一の試練『星の調和』から始めましょう」守護者たちが広場の中央に大きな星図を描き出した。「この星図の中の星々のバランスを整えてください。それぞれの星の光の強さを調整し、完全な調和を作り出すのです」
彩子とミカは星図の前に立ち、お互いに見つめ合った。「私が左側を、あなたが右側を担当しましょう」彩子が提案し、ミカも同意した。二人は慎重に星々の光を調整していった。彩子はミリディアの力を使って星の本質を感じ取り、力の加減をしながら光を操っていった。ミカは星の聖女としての直感を頼りに、まるで星たちと対話するように優しく光を操作していった。
しばらくの苦心の末、星図全体が美しく輝き始め、完璧な調和を生み出した。
「見事です。素晴らしい! 第一の試練をクリアしました」守護者たちが喜びの声を上げた。
続いて第二の試練『星の予言』が始まった。広場の中央に巨大な水晶球が現れ、その中に無数の星が浮かんでいる。
「この水晶球の中の星の動きを読み取り、未来を予言してください」守護者が説明した。
彩子は時の守護者としての能力を使い、星の動きの中に未来の時の流れを感じ取っていた。一方、ミカは星々の配置から意味を読み取るために集中した。二人は互いの解釈を共有し、少しずつ未来の姿を描き出していった。そして最後に、彼らは驚くべき予言を告げた。
「この世界と地球が再び繋がる時が来る。そして、両世界の知恵と力が融合し、新たな時代が始まるでしょう」
守護者たちは驚きの表情を浮かべ、しばらくの沈黙の後、「素晴らしい予言です。第二の試練もクリアしました」と告げた。
最後の試練『星の創造』では、彩子とミカは手を取り合い、心を一つにした。
「新しい星を生み出してください。それは希望と未来を象徴する星でなければなりません」守護者が言った。
彩子はミリディアの力と時の守護者の力を、ミカは星の聖女としての力を最大限に引き出した。二人の力が混ざり合い、光の渦となって空中に舞い上がる。その光は次第に凝縮され、小さな星となって輝き始めた。新たに生まれた星は、青と緑の優しい光を放ち、見る者の心を温かく包み込むようだった。
「素晴らしい…」守護者たちは言葉を失った。「これこそまさに、希望と未来の星だ」
こうして、彩子とミカは全ての試練を見事にクリアした。星の女神の姿が現れ、彩子に祝福を与えた。
「よくぞ試練を乗り越えましたね、彩子よ。汝に星の力を授けよう。そして星の聖女よ、お前もよくやりました。これからも星の聖女の務めを怠らないように。わがままは許しませんよ」と言った。
俯き、唇を噛み締めているミカの肩にそっと手を置いた彩子は、星の女神の力を得てさらに強力になった時を操る力で、約束通りミカを元の世界に送り返す準備を始めた。周りは突然の事に驚き、慌てて混乱を起こしている。
「忘れ物は無い? ミカ」彩子が聞いた時に、一人の神官がミカに向けて呪文を素早く唱えた。ミカの首に突然、黒い首輪がカチャリと音がして嵌まった。そこにいた誰もがニヤニヤと笑い、「残念だったな」といやらしい声がした。
ミカと彩子は頷き合うとミカの首輪に手をかけて力任せに引き千切った。首輪はあっけなく外れサラサラと粉になり消えていった。神官は信じられないような顔をして二人を見ていた。その場でニヤニヤしていた連中は凍りついたように動けなかった。
「馬鹿じゃないの? こんな敵ばかりの場所で本名なんか名乗るわけないじゃん!」ねぇ~と彩子とリオと頷き合った。彩子が魔力を解放して言った。
「邪魔をするなら全力で戦うけど?」
周りの人間が誰一人動けなくて歯噛みしていると、いきなり天から凄まじい神力が流れてきた。今まで外界のことと手も口も出せなかった星の女神が動きだしたのだ。
「よくもよくも謀ったな」星の女神が地を這うような声をあげた。
「謀ったわけではないわ、ちゃんと試練を受けたでしょ」彩子が叫んだ。
「我が星の聖女を連れ去るなどと愚か者が!」
星の女神が流星群を一本の矢にして彩子に投げつけようとしたとき、リオの身体が眩しく輝いた。その輝きで流星群は消えてしまった。星の女神が慌てた声で「まさか! そんなはずは……」
リオから溢れた光が形を作りだし、そしてそこには太陽の女神と影には月の女神が姿を見せていた。
「ヒィ!」星の女神が悲鳴をあげた。
「さすがにもう黙ってはいられません」2つの声が重なり鎖となり星の女神を捕らえた。
「なによ! ふざけないで! 私は星の女神よ! 私が星を作り生命の種を蒔くから世界は存在するのよ! そうよ、本来は私が一番敬われる女神なのよ!」暴れながら星の女神は叫び続けた。
「女神としての力をなくします。そしてあなたは消滅と創造神が決定されました。」
その言葉とともに星の女神は消え去ってしまった。唖然としていると再び声が響いてきた。
「今までの星の女神はいなくなりました。すでに新しい星の女神が動いています。彩子よ、そして星の聖女よ、このような国を放置していて済まなかった。けれども、この国は星の聖女によって安定するようになっているのだ。聖女召喚を辞める訳にはいかない。しかしこの太陽の女神と月の女神が約束しよう。決して無理やりな召喚は行わない。彼の国で迷惑をかけるような召喚はしない。天命が尽きたか、不慮の事故において亡くなった者に召喚や転生を限定しよう。だから許してくれないか? もちろん今残っているこの国の人間には長いお仕置きと躾が必要だが、それも間違いなくやろう。だからこれで良しとしてくれないだろうか?」
さすがに女神2人から頭を下げられたら何も言えないけど、彩子はこれだけはと伝えたいことがあった。奴隷魔法はだめだろう。あの魔法は破棄して使えないようにするべきだ。それを約束してもらい、後の始末は女神たちに任せることにした。女神たちは「我らの試練も待っているからな」と言って消えていった。
残されたこの世界の人間は大丈夫なのかと見渡せば、みんな頭にがっしりと孫悟空の輪っかみたいなものがキラキラと輝きながらついていた。
「………」私達は見なかったことにしてミカを地球に帰す準備を続けた。リオも太陽の女神や月の女神の媒体になったおかげ? でちょっと成長した。空中をクルクル舞いながら光魔法を振りまいている。
別れの時、ミカは涙ながらに彩子に感謝の言葉を伝えた。「本当にありがとう。この経験は決して忘れないわ。きっと、いつかまた会えると信じているわ」
彩子はミカを優しく抱きしめ、「ええ、きっとまた会えるわ。それまで、元気でね」と言った。そして、時空を操る力を使って、彩子はミカを召喚される直前の瞬間の地球へと送り返した。
試練を終え、新たな力を得た彩子。そして、故郷に帰ることができたミカ。二人の心には、この出会いと経験が深く刻まれた。彩子は次なる冒険に向けて歩み出す準備を始めた。森羅万象の力を手に入れるまでの道のりは、まだまだ続いていくのだった。
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