銀髪の魔女

夢花音

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1章 大いなる力と試練

16話 魔法と科学の融合【崩壊世界を救う新技術】

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空間に浮かんだ新たな世界は、すぐに弾け飛んでしまった。

「駄目か……」創造神が呟いた。この空間さえ、新世界を維持するには負のエネルギーが強すぎる。


精霊王たちは頷き合うと、力を一つにまとめて負のエネルギーを押し返し始めた。崩壊しかけた大地が動きを止め、枯れ始めた植物はその形を保つ。空の裂け目は縮まり、光が闇を押しのけていく。精霊王たちとそれぞれの精霊たちは全力を尽くして崩壊を止めたが、それも長くは続かない。それでも、彼らは力を使い続けた。


創造神はその間に膨大な魔力を使い、世界の骨格を形作っていく。まず、科学の知識で基礎の直径10メートルほどの魔法のドームを創った。この中に魔法の力を融合させて、これまでにない調和のとれた世界を誕生させようとしていた。


創造神が呼ぶと、リオは創造神のもとに飛んで来た。「お前の経験と知識を。」と創造神に言われ、リオはドームに優しく触れた。透明なドームが色鮮やかな光を放ち、ドックンドックンと脈打ち始めた。魔法と科学の融合には新たな技術開発が必要だ。リオは10年間あの世界で静香とともに重ねた研究と実験の記憶とデータを魔力とともにドームに込めた。


「技術は、すぐにでも人に教えなきゃぁ。」そんな心配をするリオ。創造神が言った。「適性がある者に直接ギフトとして贈ろう。」


リオはその言葉に心を躍らせた。彼は静香と共に、数多の実験を重ねてきた。彼らの研究は、魔法と科学の融合によって新たな技術を生み出すことに成功していた。しかし、その技術が一般の人々の手に渡ることはなかった。


その世界の静香は、魔法エンジニアとして働いていた。科学と魔法の技術を融合させた装置やシステムを設計・開発する専門家だ。新しいエネルギー源や魔法的な素材を利用した機器を作成する。かなり特殊な職業で国の管轄下におかれていた。


研究結果は全て国に報告され活用された。仕方が無い事だと理解しても、それがリオも静香も面白くなかった。


やっと念願がかなう。今こそ、その時が来たのだ。


「誰に贈るべきか、考えましょう。」リオは思考を巡らせた。彼の心に浮かんだのは、村の若者だった。彼はいつも新しいことに挑戦し、学び続ける姿勢を持っていた。心の綺麗な真っ直ぐな少年だ。ただ、少し問題がある。魔力が殆どないのだ。チラッと創造神の顔を見た。


「フリオにしましょう。」リオは決意を固めた。「彼なら、この技術を使いこなせるわ。それにケイラもいるわ。」


創造神は少し考え頷いた。「魔力の問題はあるが、些細なことだ。なければ与えればいいだけだ。」リオの思いを受け入れた創造神は、「では、フリオを呼んできてくれるか?」とリオに聞いた。「ケイラも一緒に呼んだほうが良いだろ」とリオに言った。


リオは急いで村に向かった。村の広場では、フリオが村人たちと共に集まっていた。彼はいつも明るく、努力を惜しまない、前向きな性格だった。空間から突然飛び出したリオは彼に近づき、息を切らしながら言った。「フリオ、創造神があなたを呼んでいるわ。あなたに特別なギフトを贈るのよ。」


フリオは驚き、目を輝かせた。「本当に?何をするんだ?」詳しい話はここではできない。そこに横から口を出す者がいた。「リオ?リオなの?彩子はどうしたの?一緒に旅に出たんでしょう?」心配そうにリオを覗いているのは、ケイラだった。「ちょうど良かったわ。あなたも一緒に来て欲しいのよ。」彩子も待っているからと話もそこそこに戸惑っている二人を連れて空間に飛び込んだ。


リオは彼らを連れて、創造神のもとへ戻った。創造神はドームに生命を吹き込むように手を広げ、ドームの前に立っていた。リオはフリオに説明した。「これはね、魔法と科学の融合によって生まれた技術の源よ。あなたの力で、この世界を救う手助けをしてほしいのよ。」リオは二人に勢い込んだ。


宇宙の空間の神々が御座するところ·····突然で恐れ多く、二人は膝をつき頭を下げひたすら祈っていた。「ちょっと、そんなことしてる暇無いのよ。」リオは口を尖らせて言った。ドームから手を離した創造神が「説明の時間もない。全ての記憶の共有をしよう」と言った。


フリオとケイラの頭に創造神が手を置くと、記憶を直接流した。二人は大量の記憶と知識に頭痛を感じ、頭を抱えてうずくまり声を漏らした。暫くして記憶を流し終わった二人に「申し訳ない」と創造神は謝った。フリオとケイラは理解した。涙と鼻水でぐちょぐちょになりながらも、創造神に気にするなと首を横に振った。何も言わなくても全部頭の中に入っている二人は、無言で浄化の魔法を自らにかけた。そして空間を見回し、ただひたすら、この世界の崩壊を止める事に集中している精霊王と精霊たちを見た。


フリオとケイラは緊張しながらも、ドームに近づいた。創造神は彼らに微笑みかけ、「お前たちの魔力は無限だ」と言った。頷くフリオとケイラの手に光が集まっていく。ドームに手をかざすと、再びドームが脈打ち始めた。


「わかるか?」創造神が尋ねる。二人は目を閉じ、心の中で流れるエネルギーを感じ取った。彼らの中に新たな力が宿り、二人の存在が輝き始めた。


「これが…僕の力?」フリオは驚きと興奮の入り混じった声を上げた。「信じられない……」ケイラも興奮を抑えきれなかった。


「そうだ。お前たちの力がこの技術を活かす鍵となる。」創造神は言った。「今、世界は危機に瀕している。お前たちの力で人々を導き、再生の道を切り開いてほしい。」


フリオは深く息を吸い込み、決意を新たにした。「わかりました。僕はやります!」「私も全力を尽くします」とケイラが言った。


創造神はケイラに「お前には先ずはやってもらわなければならないことがある」と言った。ケイラは頷くと「わかっています」と答えた。フリオはまだまだ若い。人々を動かすにはある程度の信頼が必要だ。ケイラにはそれなりに実績がある。フリオに代わり矢面に立ってもらわなければならない。かなりの強行手段のため、キツイ役目だ。しかし、ケイラは笑って「任せてください」と言った。


リオはフリオの背中を押し、共に新たな冒険へと踏み出す準備を整えた。彼らの心には、希望の光が宿っていた。精霊王たちの力と創造神の意志、そしてフリオとケイラの新たな力が結びつき、崩壊した世界を再生するための第一歩が始まったのだ。


村に戻ったフリオは、村の中心に立ち、仲間たちを見渡した。彼の心には希望が芽生えていた。新たな技術を伝え、共に学び、成長することを決意した。しかし、彼の言葉は村人たちの心には響かなかった。彼らは、突然の崩壊の恐怖と苦しみ、無気力に囚われており、新しい世界などとても信じられない話だった。


「フリオ、私たちはもう何も無い。すべては定めだ。このまま静かに終わるしかないんだ。」一人の村人が言った。


その言葉に、フリオの心は痛んだ。彼は自分の力を信じ、仲間たちと共に新たな未来を築こうと決心した。しかし、村人たちの恐れと絶望は根深く、彼の声は届かない。


その時、隣にいたケイラが声を上げた。彼女は今、フリオの協力者で、神の意思を繋ぐ存在だった。「みんな、聞いて!フリオが言っていることは、すべて本当の事よ!私たちの未来を変える力があるのよ!」彼女の声は、村人たちの心をわずかに動かした。


フリオは、ケイラの言葉に勇気をもらい、彼女と共に無限の魔力を使い、現状と未来を伝えることを決意した。フリオとケイラは、村人たちにビジョンを示すための準備を始めた。


空が暗くなると、フリオとケイラは手を取り合い、魔力を集中させた。周囲には光の渦が生まれ、見慣れない映像が浮かび上がった。それは、科学的な環境保護技術(浄水技術やリサイクル技術)と自然の精霊の魔法を組み合わせて、より効果的に環境を守っている。魔法の力で自然を再生させたり、汚染を浄化する技術を使い、笑顔で生きている見知らぬ国の見知らぬ人たちだった。


場面が切り替わると、村人たちの周りに美しい映像が浮かび上がった。かつての豊かな村、色とりどりの花々が咲き誇る風景、そして人々が笑顔で手を取り合う姿が映し出された。


村人たちは、その光景に目を奪われた。恐怖に包まれていた彼らの心に、少しずつ希望の光が差し込んできた。「これが僕たちの未来だ。僕たちが一つになれば、必ずこの世界を取り戻せる!」フリオの声が響いた。


村人たちは、彼らの言葉に耳を傾け始めた。恐れが少しずつ和らぎ、希望に満ちた笑顔が広がっていく。彼らは、自分たちの力で未来を変えられるかもしれないと思い始めていた。


「私も手伝うよ!」一人の村人が叫んだ。その言葉に続いて、他の村人たちも次々と賛同の声を上げた。村全体が一つになり、新たな未来を築くための準備を始めた。


フリオとケイラは、村人たちと共に新たな技術を学び、成長することを決意した。彼らは、精霊たちの力を借りて、農業や建築、医療などの技術を向上させ、村を再生させるために努力した。


日々の努力が実を結び、村は少しずつ活気を取り戻していった。人々は協力し合い、共に学び、成長することで、絆を深めていった。フリオとケイラは、村人たちの姿を見て、心からの喜びを感じた。フリオ以外にも多くの技術者が生まれた。村が再生していくことで負のエネルギーが少しずつ減り、すべて飲み込まれることは無く、残るものもあった。精霊たちにも余裕が生まれ、村の再建に協力してくれている。


そして、ある日、村の広場で大きな祭りが開かれた。人々は笑顔で集まり、共に歌い、踊り、食事を楽しんだ。フリオは、仲間たちと共にその光景を見つめ、心の中で誓った。「私たちは、決してこの未来を手放さない。」


一人の技術者がフリオに言った。「私はこの村を出て行こうと思う。」彼がそう思っている事はだいぶ前から気がついていた。「そうか」とフリオは一言だけ答えた。「私の妻の実家はここからかなり遠い。私の両親は既にいないが、妻の両親を実の親だと思っている。苦労しているらしい。この技術を広めたい。家族と共にあちらに行こうと思う。」彼はそれだけ言って頭を下げると静かに離れた。彼の魔力はかなり多い。どこに行っても機械を操作出来るだろ。皆が、ここから世界に飛び立って技術を広めてくれるといいなと、フリオは祭りの喧騒中に思った。


村は、希望に満ちた新たな未来を築いていく。フリオとケイラは、仲間たちと共に、これからも新たな技術を学び続け、村を守り、発展させていくことを決意した。


彼らの心には、未来への希望が満ちていた。



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