鋼鉄少女王 タイタンメイデン

鳳たかし

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第三話

第三話 光明院ケイはこういった その2

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「知っての通り、ひとりで調査に赴いた私は
 日本の千葉県沖300キロの海でセンサーに反応した物体を調べる為に海底に降り、
 そこで宇宙船の積荷と思われる物体を発見したのだが、突然、敵の襲撃を受けた」

「敵!?」

「うむ。私と同じ種族の、戦士、闘士、技師がそれぞれ一名、計3人のエージェント達だ」

話に合わせてガミオンタケシが空中に小さな立体映像を投影する。
表示されたのは、ダイン、タオ、ニュートゥ、三人のタイタンメイデン。
ゆっくりと回転する映像を、キョーコはまじまじと見つめる。

「ガミオンと同じ種族……!」

「うむ。だが奴らの目的を探る間も無く、戦闘に至った結果、
 私は宇宙船の積荷を奪取する事には成功したものの、右頭部を破壊され敗北した」

「頭部を!?」

キョーコがガミオンを見上げよく見ると、頭部にモザイクがかかっているのを目確する。
それが戦闘による深い傷を自分に見せないようにする為の配慮だということは容易に想像できた。

「さらに敵のブレインハッキングにあった私は体の自由を奪われ、
 分体とのリンクも途切れてしまう事態に陥った」

乙女ガミオンの説明の後にガミオンタケシが続ける。

「その結果、分体は機能停止状態となり、
 僕の意識はガミオン内部の本体の方にもどってしまった。
 さらに、意識も記憶を奪われそうになったガミオンは、
 自らの頭部を完全に破壊して僕とその情報を守ろうとしたんだ」

息を飲み、話を聴き続けるキョーコ。

「勿論、ガミオンにそんなことをさせるわけにはいかない。
 その時、僕はひらめいた。
 『ガミオンが脳の機能を奪われ動けないのであれば、
 もうひとつの脳で機能をおぎなえるんじゃないか?』
 とね」

ガミオンタケシはキョーコ達を乗せた手のひらを少し下に下げると自らの下腹部を指差す。

「そう!ガミオンの中にあるもうひとつの脳、それはつまり僕の脳だ。
 二人の脳、その意識を切り替えれば僕が動けないガミオンの体を動かして
 事態に対応出来る!」

「だが、それは危険な試みだった。
 私と地球人とでは脳も体もスペックが違いすぎる。
 そんな無茶なことをすればタケシの精神が破壊されてしまう可能性があった」

乙女ガミオンの補足の後、ガミオンタケシが再び口を開く。

「でも僕には勝算があった。それはガミオンが手に入れていた『従者』の存在だ。
 主と合体し、その能力を向上させる従者の情報処理能力を利用すれば
 僕の脳にかかる負担を軽減させられる、そう考えたんだ」

「でも危険な方法だったんでしょ!?
 そんな真似をして、もし、うまくいかなかったらどうするつもりだったのよ!?」

タケシの身を案じてか、言葉を強くして問うキョーコにガミオンタケシが答える。

「だけど、そんなことを考えている余裕はなかった。
 ぐずぐずしてたら手遅れになってしまう。
 でも、結果的にはその目論見は成功した!
 ボクはガミオンと脳機能を交換した直後、
 ガミオンの精神を守るためにガミオン本体の脳機能を一旦停止させ、
 分体へとガミオンの精神を保護うつした。
 そうして出来うる限り万全の対策を取った後は敵の触手を強制排除し、
 全力でその場を離れた」

「敵も重症を負った仲間をほうっておくことはできなかったのだろう、
 追ってくることはなかった」

「で、僕らはなんとかこの街まで戻ってくることができて、今ここにいるってわけ」

「そんな大変なことが……
 いきなり乙女タケシが倒れたり、タケシがガミオンでガミオンがタケシで、とか、
 わけわからないことばかり起きたと思ったら、そういうことだったんだ」

「うまく説明できたかな?」

ガミオンタケシが確認を取るとキョーコが言った。

「うん、なんとか飲み込めた」

キョーコはさらにガミオンの頭部を見ながら続ける。

「こうしてガミオンとも話が出来てるってことは
 ガミオン自身もとりあえずは大丈夫ってことよね?
 自己修復機能?だっけ?治るんでしょ?」

「うむ。多少の記憶障害は残る可能性はあるが、いずれそれも修復できるだろう」

ホッと胸をなでおろすキョーコ。

「だが私がこうして無事でいられるのはタケシの判断と勇気のおかげだ。
 ありがとうタケシ」

「いや~、ガミオンが僕を信頼してくれたから出来たことだよ。
 僕の方こそ、ありがとうガミオン」

ガミオンタケシ乙女ガミオンはしばらく見つめ合う。

「……」

「……」

「ん?何この雰囲気?」

なんだか気持ちのざわつきを感じたキョーコ。

「状況は!」

二人のあいだに割ってはいるかのようにキョーコの声が沈黙を破る。

「状況は、だいたい飲み込めたんけど、アンタ達これからどうするの?
 このまま入れ替わったままになるの?」

「いや、敵がどんな手を打ってくるかわからない以上、
 万が一の事態に備え、私とタケシで分体を共有しようと思う。
 勿論、メインで使うのはタケシとなるが」

「共有って、二人で乙女の体を使うってこと?そんなことができるの?」

「うむ。可能だ。ここに来るまでに分体の機能を調整した」

そう言うと、乙女ガミオンの目に光が走る。

「準備完了。タケシ、精神をこちらに同調させてくれ」

「OK,ガミオン」

二人が見つめ合い、黙り込む。
数秒の沈黙の後、ガミオンの目にも光が走り乙女の表情が変わる。
乙女は周りを見回した後、自らの手を見つめ握ったり開いたりを繰り返す。

「よし!」

乙女が言うと同時に視界の端にウィンドウが開き、ガミオンの顔が表示される。

「完了だ、タケシ。今から分体のコントロールは君が優先される」

精神の移行が終わった乙女《タケシ》はホッと胸をなでおろして大きくため息をついた。


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