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第三話
第三話 光明院ケイはこういった その4
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キョーコを抱えた乙女は森の出口を確認すると、跳躍を緩め徐々に地表を目指す。
減速し着地の衝撃をやわらげる為に木の枝を軽く蹴るが、枝は音を立てて折れてしまった。
「うわわっ!?」
「え!?」
乙女がバランスを崩した際、体を伝わった衝撃はキョーコが組んだ腕も振り解どき、
その結果、キョーコの体は乙女の腕から離れて空中に投げ出されてしまう。
なすすべなく空中を舞ったキョーコが一転し、真っ逆さまに地面に向けて落ちていった。
「キャーーーーーー!!」
悲鳴を上げる落ちていくキョーコ。
「「危ない!」」
その瞬間、ガミオンと乙女の意思が同調した。
乙女の体が高速で反応すると、瞬時に木の幹を蹴り空中で方向転換を図る。
一瞬、木の幹がミシリと軋むが、乙女の体は勢いよくキョーコに向けて飛んでいくと、
無事にその身をキャッチし地面に着地した。
「「大丈夫か!?キョーコ!」」
目を白黒させてうろたえるキョーコを乙女が覗き込む。
「こ……こわぁ!こっわぁぁぁ!!」
キョーコはゆっくりと乙女を見上げると絞り出すように声を上げた。
「いやいやいや、やばいって!今のはマジヤバイって!!」
「ご、ごめん!キョーコ!ホントごめん!!」
謝る乙女の腕から降りたキョーコが地面に座り込む。
精神的衝撃が強すぎた為、キョーコの顔からは表情さえ消えてまるで惚けた様だ。
「あ、うん、大丈夫……わかってるから、うん、ホントダイジョブ!うん!」
ショックからか変な受け答えをしながらも立ち上がろうとするが、キョーコの足は震えて立つことが出来ない。
「大丈夫!?どっか怪我をした!?」
「怪我はないんだけど……」
心配する乙女を見上げキョーコがポツリと呟いた。
「……腰が……抜けた」
同時刻、ガミオンが一時潜伏先に選んだ森林に隣接する学校の校舎の、その三階にある一室では、
光明院ケイを中心に数名の女生徒が周囲で荷物をまとめて帰り支度をしていた。
和やかな雰囲気からは生徒達の仲の良さが感じ取れる。
皆の支度が一段落ついた頃、ケイは周りの生徒達に声をかけた。
「みんな、今日は校外活動ご苦労さま。
では、これにて解散となります。皆、気をつけて帰宅してくださいね」
「「「「「は~い」」」」」
にこやかに答えた生徒達が、ケイに挨拶しながら次々と部屋を出ていく。
それに対応するケイの横では、ルイが封筒から写真を取り出し眺めながら言った。
「境内の清掃のお礼で資料写真も多く頂けたし、資料室に持ってっとくね」
「なら、僕もファイリングを手伝うよ。後で一緒に持っていこう」
ケイは生徒達を見送りつつ、ルイの肩をぽんと叩く。
やがて生徒達の声も遠ざかり、教室にはケイとルイの二人だけが残った。
しばらくして周りの気配を見計らったルイがケイに問い掛ける。
「そういや、あの噂本当?」
「ん?」
「ほら、隕石で校舎が壊れちゃった朝日台の……」
「ああ、生徒たちを一時的に本校で受け入れるって言う話?検討はしているみたいだよ」
「うおー、やっぱマジか!ちゅーことはウチも一部共学となるわけですな!」
「いや、いきなりそういうわけにはいかないから。ほら、裏の保存工事中の旧校舎、あるでしょ?
そこに受け入れる方向で検討しているっておじ……理事長が」
「そうか~、でもなんだかワクワクしちゃうよね。ちょっと不謹慎かな?」
「フフ、ルイらしいね」
「でも、ケイもちょっと気が気じゃないんじゃない?
もしかしたら例の彼もここに通うことになるんだし」
「うん……」
ケイの答えに何か含みを感じたルイが続けて問い掛ける。
「ん?どしたん?」
「実はあれからタケシ君と連絡が取れてないんだ」
「え!うそ!まさか隕石で!?」
「いや、無事なのは確認してる。
家に行ったら、親御さんが、事故に巻き込まれたりはしてない、って。
でも、家庭の事情で少しの間、留守にしてるって言ってたから改めてタケシ君の携帯にかけたんだけど……」
「でないの?携帯の充電忘れてんじゃない?」
「でも、もう729回かけてるんだよ?それでも出ないから……」
「掛け過ぎだよ!逆に怖いよ!」
思わずツッコミを入れるルイだったが『怖い』は言いすぎたと思い、フォローするように言った。
「無事だって言ってんだから心配すんなって。今はなんかゴタゴタしてんでしょ?
待ってりゃそのうち向こうから電話してくるって。だからケイはこれ以上、電話かけないようにね」
「うん……」
タケシのことを考えながらケイがふと窓から裏山を眺めると、
立ち並ぶ木の間から何かが飛び出し、すぐに木の陰に下りていくのが見えた。
「ん?」
距離もあり、一瞬の事だったが、ケイにはそれが人の姿に見えた。
しかもそれは神社で出会ったあの少女のように見えたのだった。
今のは……たしか、神社での……
思わず窓に手をかけたケイの傍らで帰宅準備を進めていたルイが再び口を開く。
「そういや、神社のあの子達、あれから大丈夫だったのかな?……ケイ?」
偶然にも神社で出会った少女の話題を振ったルイの声にハッとしたケイが答える。
「え!?あ~、うん、きっと大丈夫……だと思うよ」
そう答えたケイの視線は、森の中から歩み出る二人の少女、
神社で出会った二人の少女の姿をはっきりと捉えているのだった。
減速し着地の衝撃をやわらげる為に木の枝を軽く蹴るが、枝は音を立てて折れてしまった。
「うわわっ!?」
「え!?」
乙女がバランスを崩した際、体を伝わった衝撃はキョーコが組んだ腕も振り解どき、
その結果、キョーコの体は乙女の腕から離れて空中に投げ出されてしまう。
なすすべなく空中を舞ったキョーコが一転し、真っ逆さまに地面に向けて落ちていった。
「キャーーーーーー!!」
悲鳴を上げる落ちていくキョーコ。
「「危ない!」」
その瞬間、ガミオンと乙女の意思が同調した。
乙女の体が高速で反応すると、瞬時に木の幹を蹴り空中で方向転換を図る。
一瞬、木の幹がミシリと軋むが、乙女の体は勢いよくキョーコに向けて飛んでいくと、
無事にその身をキャッチし地面に着地した。
「「大丈夫か!?キョーコ!」」
目を白黒させてうろたえるキョーコを乙女が覗き込む。
「こ……こわぁ!こっわぁぁぁ!!」
キョーコはゆっくりと乙女を見上げると絞り出すように声を上げた。
「いやいやいや、やばいって!今のはマジヤバイって!!」
「ご、ごめん!キョーコ!ホントごめん!!」
謝る乙女の腕から降りたキョーコが地面に座り込む。
精神的衝撃が強すぎた為、キョーコの顔からは表情さえ消えてまるで惚けた様だ。
「あ、うん、大丈夫……わかってるから、うん、ホントダイジョブ!うん!」
ショックからか変な受け答えをしながらも立ち上がろうとするが、キョーコの足は震えて立つことが出来ない。
「大丈夫!?どっか怪我をした!?」
「怪我はないんだけど……」
心配する乙女を見上げキョーコがポツリと呟いた。
「……腰が……抜けた」
同時刻、ガミオンが一時潜伏先に選んだ森林に隣接する学校の校舎の、その三階にある一室では、
光明院ケイを中心に数名の女生徒が周囲で荷物をまとめて帰り支度をしていた。
和やかな雰囲気からは生徒達の仲の良さが感じ取れる。
皆の支度が一段落ついた頃、ケイは周りの生徒達に声をかけた。
「みんな、今日は校外活動ご苦労さま。
では、これにて解散となります。皆、気をつけて帰宅してくださいね」
「「「「「は~い」」」」」
にこやかに答えた生徒達が、ケイに挨拶しながら次々と部屋を出ていく。
それに対応するケイの横では、ルイが封筒から写真を取り出し眺めながら言った。
「境内の清掃のお礼で資料写真も多く頂けたし、資料室に持ってっとくね」
「なら、僕もファイリングを手伝うよ。後で一緒に持っていこう」
ケイは生徒達を見送りつつ、ルイの肩をぽんと叩く。
やがて生徒達の声も遠ざかり、教室にはケイとルイの二人だけが残った。
しばらくして周りの気配を見計らったルイがケイに問い掛ける。
「そういや、あの噂本当?」
「ん?」
「ほら、隕石で校舎が壊れちゃった朝日台の……」
「ああ、生徒たちを一時的に本校で受け入れるって言う話?検討はしているみたいだよ」
「うおー、やっぱマジか!ちゅーことはウチも一部共学となるわけですな!」
「いや、いきなりそういうわけにはいかないから。ほら、裏の保存工事中の旧校舎、あるでしょ?
そこに受け入れる方向で検討しているっておじ……理事長が」
「そうか~、でもなんだかワクワクしちゃうよね。ちょっと不謹慎かな?」
「フフ、ルイらしいね」
「でも、ケイもちょっと気が気じゃないんじゃない?
もしかしたら例の彼もここに通うことになるんだし」
「うん……」
ケイの答えに何か含みを感じたルイが続けて問い掛ける。
「ん?どしたん?」
「実はあれからタケシ君と連絡が取れてないんだ」
「え!うそ!まさか隕石で!?」
「いや、無事なのは確認してる。
家に行ったら、親御さんが、事故に巻き込まれたりはしてない、って。
でも、家庭の事情で少しの間、留守にしてるって言ってたから改めてタケシ君の携帯にかけたんだけど……」
「でないの?携帯の充電忘れてんじゃない?」
「でも、もう729回かけてるんだよ?それでも出ないから……」
「掛け過ぎだよ!逆に怖いよ!」
思わずツッコミを入れるルイだったが『怖い』は言いすぎたと思い、フォローするように言った。
「無事だって言ってんだから心配すんなって。今はなんかゴタゴタしてんでしょ?
待ってりゃそのうち向こうから電話してくるって。だからケイはこれ以上、電話かけないようにね」
「うん……」
タケシのことを考えながらケイがふと窓から裏山を眺めると、
立ち並ぶ木の間から何かが飛び出し、すぐに木の陰に下りていくのが見えた。
「ん?」
距離もあり、一瞬の事だったが、ケイにはそれが人の姿に見えた。
しかもそれは神社で出会ったあの少女のように見えたのだった。
今のは……たしか、神社での……
思わず窓に手をかけたケイの傍らで帰宅準備を進めていたルイが再び口を開く。
「そういや、神社のあの子達、あれから大丈夫だったのかな?……ケイ?」
偶然にも神社で出会った少女の話題を振ったルイの声にハッとしたケイが答える。
「え!?あ~、うん、きっと大丈夫……だと思うよ」
そう答えたケイの視線は、森の中から歩み出る二人の少女、
神社で出会った二人の少女の姿をはっきりと捉えているのだった。
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