鋼鉄少女王 タイタンメイデン

鳳たかし

文字の大きさ
41 / 64
第四話

ピュエラ・エクス・マキナ その5

 一方その頃、
此処、千葉県某所のラブホテルの一室では、二人の女がベッドに腰掛けて何やら作業していた。
体にぴったりとフィットした黒いスーツにしわが寄るのも構わず、ベッドの上で胡坐をかき、
足の間に丸い物体を挟んで弄り回している長髪の女に、黒いスーツをラフに着崩した短髪でボーイッシュな女が話しかける。

「なあ、ニュートゥ?」

ベッドの上で作業する女、それはタイタンメイデン・ニュートゥの分体であった。
ニュートゥは丸い物体から目を離さずに答える。

「なんだ?タオ?」

タイタンメイデン・タオの分体である短髪の女が、丸い物体を指し示しながら問う。

「さっきからドローンばっかりいじって何やってんだ?」

「行動に移す前に、まずは人間のデータベース等を探ろうと思ってな。
 その為にドローンに疑似人格を与えて人間のふりをさせるんだ」

「はぁ?なんでそんな回りくどいやり方すんだ?直接つないじまえば一瞬ですむじゃねーか?」

「敵が網を張っている可能性もあるからな。
 その場合、我らが直接コネクトすれば一瞬でバレてしまう。
 少しでもこちらの痕跡を残さない為には、
 ドローンを介し人間のやり方をトレースさせるのが一番だろう。
 ヨミが言うところの『最短の道を行くには最長の準備を』ってやつだ」

「そんなもんかね」

「そんなもんだ」

タオがだるそうな表情でテレビのスイッチを入れるとモニターからは女性の喘ぎ声が響いた。
リモコンをかざしたタオがどの動画を選択しても聞こえる音は女性の喘ぎ声ばかり。
映る映像はどれも男女が性交している場面。
そう、表示される映像は全て成人向けのアダルトビデオだったのだ。

「なんだこりゃ?どの動画も人間が交尾してる映像しか映んねーぞ?」

困惑するタオが発した声に、ニュートゥが作業の手を止めずに答える。

「ふむ?ここは『ラブホテル』といって人間のつがいが生殖行為を行う為に使う施設らしい。
 その映像は生殖知識の浅い個体に対してのサンプル映像の類なのかもしれん」

「へえ~」

「あくまでも私の予想に過ぎないから断言はできんぞ」

「あ!それならよ~、男女つがいでなく女二人でここに入ったのはマズったんじゃないか?
 なにか怪しまれているかもしれないぜ?」

「いや、その心配はない。
 人間は生殖行為を『お互いの愛情や信頼関係を確かめる』為に行うこともあるらしい。
 その際、お互いの性別は関係ないそうだ」

「へえ~、人間の生態はよくわからんな。まぁ、どうでもいいか……」

「それにお前の分体は見ようによっては『イケメン』とかいう種類の男にも見えるから、より安心だ」

「はぁ、怪我の功名ってやつかねぇ?」

勢いよくベッドに仰向けに転がったタオ。
暫く沈黙が続いた後、何やら思いついたタオがぽつりとつぶやく。

「なあ、ニュートゥよ~」

「なんだ?」

「俺たちもやってみない?」

「何をだ?」

「その『信頼関係を確かめる行為』ってヤツ!」

「いや、その必要はないな」

「なんでよ?」

ニュートゥは作業の手を止め、タオの目をじっと見つめて言う。

「われらの信頼関係はあらためて確かめるまでもないだろう?」

「おお!うれしいこと言ってくれるじゃないの~!」

抱き着こうとするタオの手をニュートゥが軽くひねると、タオは猫のようにコロンとベッドに横になる。

「あらら……」

ベッドで大の字に転がるタオを見下ろすニュートゥ。

「だが、お前が望むなら、そのうち相手をしてやる」

「そう来なくっちゃ!」

タオは準備万端とばかりに腕を広げたが、ニュートゥはそれを無視して手元に視線を戻す。

「しかし今はこちらの作業が優先だ。その間、お前はその映像で
 『人間の生殖および愛情、信頼を確認する行為』に対する知識でも増やすといい」

「まあ、しゃーないか……んじゃ、そうするわ」

そう言った後、
ニュートゥは再びドローンの調整作業に戻り、タオも再びアダルトビデオ鑑賞にと戻るのであった。




感想 8

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

秘書と社長の秘密

廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。 突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。 ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?

局地戦闘機 飛電の栄光と終焉

みにみ
歴史・時代
十四試局戦 後の三菱雷電J2Mとして知られるこの戦闘機は爆撃機用の火星エンジンを搭載したため胴体直径の増加、前方視界不良などが続いたいわば少し残念な機体である この十四試局戦計画に地方の無名メーカーが参加、雷電を超える高性能機が誕生し、零戦の後継として太平洋戦線を駆ける これは設計者、搭乗員の熱く短い6年間を描いた物語だ