かなしいふりーたー

karakuri

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かなしいふりーたー

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いわくつき格安アパートに住むフリーター君。時々感じる気配が気になるくらいで実害無し。住み良い。しかしお金が無くて苦しすぎる生活。バイト先輩から虐げられる日々の生活。マイナスにマイナスがプラスされ、帰宅してからは毎晩毎晩「俺を連れてってよ」と、感じる気配へ呟く。精神的にシンデルラ。

しかし人生とは辛いことばかりでもないらしい。ある日、チラシを配る女と出逢う。
「ついでにアンケートも答えてくれませんか?」
F快諾。回答のためにペンを走らせていると女は気遣いか色々話をかけてくる。数分間の紆余曲折を経て奇跡の番号交換。F歓喜。

その後女と食事をしたりと、Fと距離を縮めていく。いい雰囲気だ。すごくいい。とてもよい。バイトもなんだかんだで慣れていき先輩に認められるように。給料もアップ。
しかし昼間の楽しさや仲間の声から離れたせいか帰宅すると奇妙な違和感を感じる。近くに何か迫るような。興奮冷めやらぬかな?

そんな事も気にならないくらい順調になる毎日。女とはお付き合いするまでに発展。
さらに日が登り落ちるを繰り返して女と結婚する事に。最初の頃のFには想像出来ないくらい眩しいエブリデイだ。
そして結婚式前日。
「今日でこのボロアパートともお別れか、お世話になりました。」
呟いて寝た。

ズサッ
「ムム、また気配がするでやんす」
式前夜のテンションと、この気配発生イベントも最後かと思うと楽しくなってどこぞのパワプロ奴みたいな口調になる。
スッ
「ほう、こいつも俺がいなくなるのが悲しいのかな?距離が今までで一番近い気がするな。記録更新?」

「「マ…タ…ネ」」

「またね?もう会いたくないなぁ…というか会ってないけども」
初の会話(?)をさらっと出来るのは幸せの絶頂付近にいる事も助けてのこと。Fの脳内フィルターは桃色幸せ色補正機能搭載だ。

「「タ…セ…」」

「おや?まだ何か言ってるのかな?結構おしゃべりさんだったのね」

「「マタセタネ」」

「えっ」
Fは驚く。待たせたね、と聞こえたから。何を?と記憶を辿る。だんだん脳内フィルターが濁っていく。まっくろ紫恐怖色に変わるそのフィルターは部屋の暗さを濃くしていく。
急に寒さを感じ血の気が引く。喉はカラカラ、苦い味まで感じる。

Fは完全にのまれた。身体のあらゆる場所から恐怖を感じ動けない。宙に浮いてる感じがする。上下左右がわからない。
そんな中、視界に女性が映る。この部屋の気配の主と即座に理解した。
と同時にその女性はよく知る人だった。チラシを配っていた人。明日式で指輪をはめ誓いを立てる人。

そう、女。

自分が好きになった女だった。
Fの頭は今を処理しきれなくなった。?と!が脳を制圧。わけわかめ。
唯一確信できるのは、やはりどう見ても目の前にいる女性と結婚する事になっている女は同じ顔であること。
ただ、目の前の女性は貞子ヘアーで定番の白装束。王道和ホラー。婚約相手の女のその明るさは無い。

そして女性の手のようなものが首を掴む。

「「マタセタネ、イクヨ」」

首が締まる。閉まる。絞まる。

「「ハヤクハヤク」」

(なにを急かしてんだこの野郎)
声が出ないから心で云う。
そして最初の頃を思い出す。あぁ、そういえばいっつもぼやいてたことがあったような。

「「ハイおつかれ様」」

(人間らしく喋ったな)
Fは何事も無かったかのように眠りについた。

Fが眠って何日か。
異臭がすると通報された警官が部屋の中で首を吊って亡くなっていた男を発見。餓死寸前だった模様。
数ヶ月前までフリーターだったがバイトの上司や社員とうまくいかず退職。そのまま無職で過ごしていたそうだ。
部屋には野草が溜め込んであり食事していた跡もあった。

そして不思議なことにその部屋にはたくさんのチラシが置いてあったそうだ。
なんとも奇妙な事件として噂は拡がる。

【ちょっと前から独り言がうるさくて近所迷惑だった】
【昼間はどこかに出掛けてた】
【チラシを何回も往復して貰ってた】
【常ににやけていた】

【い つ も す ぐ 隣 を み て い た】




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