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面白くない
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声のする方に振り向くと尾場先生が階段の上にいた。
トノは勢いよく立ち上がった。
「尾場さん!」
「先生と呼びなさい」
「俺、親しくしたい人は先生って呼びたくないんだ」
片手にタブレットを持ってラスボス女社長のようにゆっくりと降りてくる。
「やっぱり、トノ君が犯人でいいか」
「尾場ちゃーん」
「ちゃんもダメ」
漫才みたいな尾場先生とトノのお決まりのやりとり。
尾場先生は何かになりきったまま、人差し指だけであなたたちも教室に入りなさいと指示する。本人は大御所女優のような歩き方をしてるつもりだけど、ついていく私たちから見ると桃太郎でお供の猿と犬みたいな気分だ。
教室に入ると尾場先生は黒板に付いてるロールスクリーンを下ろした。
みんな何が起きるのか疑問がいっぱい。
「隅田先生はお子さんが保育園で熱出されたそうで帰りました。この事件、わたしが引き継ぎます。下の子がまだ保育園って大変よね。ウチの弟にも子供が三人いて、一番下がまだ保育園でよく頼まれて世話するから分かるわー。この季節の分かれ目って体調崩しやすいのよね」
尾場先生は隅田先生へのフォローなのか、聞いてもいないのに子育ての大変さを強調する。
そしてトノはくだらない漫才は続ける。
「弟って確か3歳下だったよね」
「よく覚えてるわね」
「一番上の子って何歳?」
「君たちと同じかな」
「尾場さんと弟は3歳差、弟の子供は今年12歳で、って、え、弟何歳で結婚したの? 尾場さん28だよね」
「あ、そうだった。いっけなーい。28、28って、先生と呼びなさい」
「で、尾場先生、時が来たってどういうことですか」
漫才を切り上げるようにわたしはツッコんだ。
「あら、ごめんなさい。これよ」
尾場先生はタブレットを操作して、動画をスクリーンに映した。
ユーチューブのようだ。
『KOHZOUチャンネル』という文字が出てきた。
『はい、どうも、どーゆー構造? こーゆー構造。KOHZOUです!』
青空をバックに四十代ぐらいのメガネの男性が登場した。
テロップが出て、喋り方に合わせて文字が変わる。
構造、構造言ってたのはこれか。
『今日は、特別ゲスト登場だ!』
『どーもートノです』
トノが画面に現れ、みんながどっと笑った。
画面のトノもリアルのトノもめちゃくちゃ嬉しそうに笑っている。
トノの満面の笑顔で画面が一時停止された。
「はい、続きは個人的に見てね」
トノが獲物を狙うように尾場先生のタブレットを奪おうとしたが、かわされた。
「卜野君、君は、夢の講演会の間、KOHZOUに会ってたのね。この一週間こんなに快晴だった日はあの日しかないのよ。なんで黙ってたの」
「それは」
「みんなも薄々感づいてると思うけど、この人、あいさつおじさん。不審者として通報されてる人だから、いろいろ調べててこのチャンネルを見つけたの」
「さすが」
「で、なんで黙ってたの」
「俺のユーチューブデビューが阻止されないように。テロップ入れたり編集するからアップするまでの三日間、自分と会ったこと誰にも言うなって言われた。言ったら使えないって言われたから。KOHZOUと俺の約束なんだ」
「ウサギを逃がした犯人にされかけたのに?」
「俺は何もしてないし、約束だから」
全部見てないけど、この構造のために黙ってる価値があったのか。
そんなにユーチューブデビューしたかったのか。自分に自信があるのかもしれないけど、ウサギを逃がした犯人にされて、もしラテが死んじゃったらどうするつもりだったの。
いつかトノがいいように利用されてしまうんじゃないかって心配してしまう。
「宇野君、君が見たあいさつおじさんってこの人?」
有島刑事がまだまだ事実確認をする。
「うん。ウサギ小屋の近くのフェンス、歩いてこっちを見てたんだ」
「見てただけ? あいさつされた?」
「いや見てただけ」
尾場先生は静かにうなずいてユーチューブ画面を閉じた。
「ちょっと前に小学生にあいさつして、どれくらいの確率で返してくれるかっていう、どうしようもない動画を撮ってたみたいね。最初の頃はアイスの乳脂肪分によってクリームソーダの泡がちがうとか、戦時中の米つき瓶で玄米を精米したら何時間かかるとか、自由研究っぽいことやってたのに、全然話題にならないからハプニング動画に走り出したようね」
「尾場さんKOHZOUチャンネル、見まくってるじゃん」
「前から目を付けてたのよ。そしたら最新の動画に卜野君出てるからびっくりしたわ。でもまあ、この時間ウサギ小屋には行ってないってことがこれで証明されたわね」
「イエス!」
無事動画がアップされたからか、トノはその時の自分の行動を認めた。
同時に、あいさつおじさんはトノに会ったことで、ウサギ小屋に近づくことなく、フェンスと平行に歩いて校門の方に行ったことが証明された。外部犯、あいさつおじさんがやったという可能性もなくなった。
やっぱり、ラテが自分で出て行った線が濃厚。
宇野君が青い顔をしてる。
悪いのはやっぱり宇野君だ。カギをかけ忘れたのはしょうがないとして、トノに罪をなすり付けようとして、さらに他の人にウソをつかせたんだから、それなりの謝罪をしてもらわないと気が済まない。もしもラテが死んでたらどうするんだ。
さあ、みんな宇野君をどう裁く?
ガラガラ
突然、教室の後ろのドアが勢いよく開いた。
香蓮が息を切らせて入ってきた。
「ラテ、見つかったよ!」
井口君と菜奈ちゃんも嬉しそうな顔をして入ってきた。
え。ラテ見つかった?
良かった!!!!!
わたしは喜びを分かち合いたくて香蓮に近づこうとしたら、宇野君が先に出てきた。
「本当に? 本当に?」
「うん」
「良かった、良かった」
「あの、推測だけど、ここ二日、すごく寒かったじゃない。だから、自分でわらを掘ってもぐってたみたいなの。ほら、ラテだから色がわらと同化してるでしょ」
香蓮は宇野君に圧倒されながら、みんなに説明した。
「ラテ元気だった???」
宇野君は井口君の腕をつかんで何度も確認する。
「ああ。餌はミルクの分一緒に食べてたみたいだから、いつもどおり元気だったよ」
「ああああああああ、よかった、よかった」
宇野君が叫びながらさらにさらに泣き出した。理由を知らない人は、見つかって嬉しくて泣いてると思ってるだろう。自分の責任でいなくなったわけじゃない、罪の意識からの解放だなんて思わないだろう。
今までの犯人捜しの緊迫した空気がいきなりなくなってよく分からない雰囲気になった。ラテが見つかってすごく嬉しいのに宇野君の喜び方に引いて素直に喜べなくなってる。司会者が号泣してなんかグチャグチャになってるチャリティー番組みたいに、もうどうでもよくなってくる。
「よかったね」
優しい言い方じゃなかったけど、真姫ちゃんが宇野君に言った。
宇野は何度も首を上下させながら泣く。泣きすぎてしゃっくりみたいになってる。
「うん。ラテ、無事で、良かった。ほんとに、ほんとに。ココアみたいになったらおれ」
ココア・・・・・・。
ウサギが死んじゃって辛かったよ。濃い茶色のココアがいたんだよね。おじいちゃんだったから寿命だと思うんだけどさ。なんか飼育委員のせいにされてさ。めちゃくちゃ泣いてた四年生いたなあ。あの子は委員会入るとしたら飼育委員選ぶのかな。逆に嫌になっちゃうのかなって思った。
夢摘ちゃんが言ってたことを思い出した。
二年前の四年生って、もしかして宇野君?
かつて責めた側だから責められると思ったんだ。
そして、本当にウサギが好きで、飼育委員なんだ。
そこまで泣かなくてもって思った気持ちがしぼんでいく。
そして、ラテが見つかって一件落着だけど、なんのための取り調べだったんだろうと、なんとも言えない虚しさがこみあげてきた。
なんか、わたしには関係ない世界の話。
飼育委員でも、ウサギへの愛もそんなにないわたしは、この事件に関係ない。
わたしはいてもいなくても、この事件は起きて、解決した。
そんな気分になってしまった。
面白くない。
ラテが見つかったんだから、そんなこと思っちゃいけないよね。
そんなふうに考えたらダメだよね。
みんなが良かったって思ってる場面で「嫌だ」って言ったらいけないよね。
すぐに怒る真姫ちゃんだって「良かったね」って言ってる。
真姫ちゃん見て、自分の「嫌だな」って気持ちを表すこと、そんなに遠慮しなくていいんだって思ったのに。真姫ちゃんはウサギが好きだからもう怒らないの? 変われるの?
六年生なのにとか、最高学年にもなってとか、そうやって「嫌だな」って気持ちをもって態度に出してしまうことが、幼稚だからみたいに言われるのが納得いかない。嫌な思いしてる人が先に大人になるのかって言いたくなる。別に先に大人にさせてもらっても嬉しくない。六年生ぽくなくていいから、わたしの気持ちなかったことにされたくない。
変えられるのは自分と未来って、わたしばっかり我慢してるみたい。
それで変わった未来ってわたしが望んだものなの?
それで変わらない過去は、掘り返しちゃいけないの。
宇野君、酷いよ。
もっとちゃんと謝りなよ。飼育委員失格だよ。
ねえ、罰として飼育委員代わってよ。
わたしはいいから、真姫ちゃんと代わってあげてよ。
飼育委員はみんなウソついたんだよ。ウソつきだよ。
みんな、許さなくていいじゃん。
わたしは、みんなといるのに独りぼっちの気分になった。
トノは勢いよく立ち上がった。
「尾場さん!」
「先生と呼びなさい」
「俺、親しくしたい人は先生って呼びたくないんだ」
片手にタブレットを持ってラスボス女社長のようにゆっくりと降りてくる。
「やっぱり、トノ君が犯人でいいか」
「尾場ちゃーん」
「ちゃんもダメ」
漫才みたいな尾場先生とトノのお決まりのやりとり。
尾場先生は何かになりきったまま、人差し指だけであなたたちも教室に入りなさいと指示する。本人は大御所女優のような歩き方をしてるつもりだけど、ついていく私たちから見ると桃太郎でお供の猿と犬みたいな気分だ。
教室に入ると尾場先生は黒板に付いてるロールスクリーンを下ろした。
みんな何が起きるのか疑問がいっぱい。
「隅田先生はお子さんが保育園で熱出されたそうで帰りました。この事件、わたしが引き継ぎます。下の子がまだ保育園って大変よね。ウチの弟にも子供が三人いて、一番下がまだ保育園でよく頼まれて世話するから分かるわー。この季節の分かれ目って体調崩しやすいのよね」
尾場先生は隅田先生へのフォローなのか、聞いてもいないのに子育ての大変さを強調する。
そしてトノはくだらない漫才は続ける。
「弟って確か3歳下だったよね」
「よく覚えてるわね」
「一番上の子って何歳?」
「君たちと同じかな」
「尾場さんと弟は3歳差、弟の子供は今年12歳で、って、え、弟何歳で結婚したの? 尾場さん28だよね」
「あ、そうだった。いっけなーい。28、28って、先生と呼びなさい」
「で、尾場先生、時が来たってどういうことですか」
漫才を切り上げるようにわたしはツッコんだ。
「あら、ごめんなさい。これよ」
尾場先生はタブレットを操作して、動画をスクリーンに映した。
ユーチューブのようだ。
『KOHZOUチャンネル』という文字が出てきた。
『はい、どうも、どーゆー構造? こーゆー構造。KOHZOUです!』
青空をバックに四十代ぐらいのメガネの男性が登場した。
テロップが出て、喋り方に合わせて文字が変わる。
構造、構造言ってたのはこれか。
『今日は、特別ゲスト登場だ!』
『どーもートノです』
トノが画面に現れ、みんながどっと笑った。
画面のトノもリアルのトノもめちゃくちゃ嬉しそうに笑っている。
トノの満面の笑顔で画面が一時停止された。
「はい、続きは個人的に見てね」
トノが獲物を狙うように尾場先生のタブレットを奪おうとしたが、かわされた。
「卜野君、君は、夢の講演会の間、KOHZOUに会ってたのね。この一週間こんなに快晴だった日はあの日しかないのよ。なんで黙ってたの」
「それは」
「みんなも薄々感づいてると思うけど、この人、あいさつおじさん。不審者として通報されてる人だから、いろいろ調べててこのチャンネルを見つけたの」
「さすが」
「で、なんで黙ってたの」
「俺のユーチューブデビューが阻止されないように。テロップ入れたり編集するからアップするまでの三日間、自分と会ったこと誰にも言うなって言われた。言ったら使えないって言われたから。KOHZOUと俺の約束なんだ」
「ウサギを逃がした犯人にされかけたのに?」
「俺は何もしてないし、約束だから」
全部見てないけど、この構造のために黙ってる価値があったのか。
そんなにユーチューブデビューしたかったのか。自分に自信があるのかもしれないけど、ウサギを逃がした犯人にされて、もしラテが死んじゃったらどうするつもりだったの。
いつかトノがいいように利用されてしまうんじゃないかって心配してしまう。
「宇野君、君が見たあいさつおじさんってこの人?」
有島刑事がまだまだ事実確認をする。
「うん。ウサギ小屋の近くのフェンス、歩いてこっちを見てたんだ」
「見てただけ? あいさつされた?」
「いや見てただけ」
尾場先生は静かにうなずいてユーチューブ画面を閉じた。
「ちょっと前に小学生にあいさつして、どれくらいの確率で返してくれるかっていう、どうしようもない動画を撮ってたみたいね。最初の頃はアイスの乳脂肪分によってクリームソーダの泡がちがうとか、戦時中の米つき瓶で玄米を精米したら何時間かかるとか、自由研究っぽいことやってたのに、全然話題にならないからハプニング動画に走り出したようね」
「尾場さんKOHZOUチャンネル、見まくってるじゃん」
「前から目を付けてたのよ。そしたら最新の動画に卜野君出てるからびっくりしたわ。でもまあ、この時間ウサギ小屋には行ってないってことがこれで証明されたわね」
「イエス!」
無事動画がアップされたからか、トノはその時の自分の行動を認めた。
同時に、あいさつおじさんはトノに会ったことで、ウサギ小屋に近づくことなく、フェンスと平行に歩いて校門の方に行ったことが証明された。外部犯、あいさつおじさんがやったという可能性もなくなった。
やっぱり、ラテが自分で出て行った線が濃厚。
宇野君が青い顔をしてる。
悪いのはやっぱり宇野君だ。カギをかけ忘れたのはしょうがないとして、トノに罪をなすり付けようとして、さらに他の人にウソをつかせたんだから、それなりの謝罪をしてもらわないと気が済まない。もしもラテが死んでたらどうするんだ。
さあ、みんな宇野君をどう裁く?
ガラガラ
突然、教室の後ろのドアが勢いよく開いた。
香蓮が息を切らせて入ってきた。
「ラテ、見つかったよ!」
井口君と菜奈ちゃんも嬉しそうな顔をして入ってきた。
え。ラテ見つかった?
良かった!!!!!
わたしは喜びを分かち合いたくて香蓮に近づこうとしたら、宇野君が先に出てきた。
「本当に? 本当に?」
「うん」
「良かった、良かった」
「あの、推測だけど、ここ二日、すごく寒かったじゃない。だから、自分でわらを掘ってもぐってたみたいなの。ほら、ラテだから色がわらと同化してるでしょ」
香蓮は宇野君に圧倒されながら、みんなに説明した。
「ラテ元気だった???」
宇野君は井口君の腕をつかんで何度も確認する。
「ああ。餌はミルクの分一緒に食べてたみたいだから、いつもどおり元気だったよ」
「ああああああああ、よかった、よかった」
宇野君が叫びながらさらにさらに泣き出した。理由を知らない人は、見つかって嬉しくて泣いてると思ってるだろう。自分の責任でいなくなったわけじゃない、罪の意識からの解放だなんて思わないだろう。
今までの犯人捜しの緊迫した空気がいきなりなくなってよく分からない雰囲気になった。ラテが見つかってすごく嬉しいのに宇野君の喜び方に引いて素直に喜べなくなってる。司会者が号泣してなんかグチャグチャになってるチャリティー番組みたいに、もうどうでもよくなってくる。
「よかったね」
優しい言い方じゃなかったけど、真姫ちゃんが宇野君に言った。
宇野は何度も首を上下させながら泣く。泣きすぎてしゃっくりみたいになってる。
「うん。ラテ、無事で、良かった。ほんとに、ほんとに。ココアみたいになったらおれ」
ココア・・・・・・。
ウサギが死んじゃって辛かったよ。濃い茶色のココアがいたんだよね。おじいちゃんだったから寿命だと思うんだけどさ。なんか飼育委員のせいにされてさ。めちゃくちゃ泣いてた四年生いたなあ。あの子は委員会入るとしたら飼育委員選ぶのかな。逆に嫌になっちゃうのかなって思った。
夢摘ちゃんが言ってたことを思い出した。
二年前の四年生って、もしかして宇野君?
かつて責めた側だから責められると思ったんだ。
そして、本当にウサギが好きで、飼育委員なんだ。
そこまで泣かなくてもって思った気持ちがしぼんでいく。
そして、ラテが見つかって一件落着だけど、なんのための取り調べだったんだろうと、なんとも言えない虚しさがこみあげてきた。
なんか、わたしには関係ない世界の話。
飼育委員でも、ウサギへの愛もそんなにないわたしは、この事件に関係ない。
わたしはいてもいなくても、この事件は起きて、解決した。
そんな気分になってしまった。
面白くない。
ラテが見つかったんだから、そんなこと思っちゃいけないよね。
そんなふうに考えたらダメだよね。
みんなが良かったって思ってる場面で「嫌だ」って言ったらいけないよね。
すぐに怒る真姫ちゃんだって「良かったね」って言ってる。
真姫ちゃん見て、自分の「嫌だな」って気持ちを表すこと、そんなに遠慮しなくていいんだって思ったのに。真姫ちゃんはウサギが好きだからもう怒らないの? 変われるの?
六年生なのにとか、最高学年にもなってとか、そうやって「嫌だな」って気持ちをもって態度に出してしまうことが、幼稚だからみたいに言われるのが納得いかない。嫌な思いしてる人が先に大人になるのかって言いたくなる。別に先に大人にさせてもらっても嬉しくない。六年生ぽくなくていいから、わたしの気持ちなかったことにされたくない。
変えられるのは自分と未来って、わたしばっかり我慢してるみたい。
それで変わった未来ってわたしが望んだものなの?
それで変わらない過去は、掘り返しちゃいけないの。
宇野君、酷いよ。
もっとちゃんと謝りなよ。飼育委員失格だよ。
ねえ、罰として飼育委員代わってよ。
わたしはいいから、真姫ちゃんと代わってあげてよ。
飼育委員はみんなウソついたんだよ。ウソつきだよ。
みんな、許さなくていいじゃん。
わたしは、みんなといるのに独りぼっちの気分になった。
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