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僕はチーチー(QIQI)~あの川で暮らした日々~

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僕はヨウスコウカワイルカだ。

僕たちが暮らしていたのは中国の大河、長江「揚子江」

で、今はその川が汚染されて、今は完全に絶滅している。

今から語るのは長江がキレイだった古き良き時代の昔話である。

僕は1978年に長江の下流で生まれた。

その頃には既に仲間と呼べる仲間は最早姿を消していた。

河もかなりの速さで濁っていった。

1980年1月、僕に魚の取り方を教えてくれていた実の母は、

電気による漁業で亡くなってしまった…

人間が近づいてきたので十分にお別れも出来ずに、

その場から離れた。

悔しくて悲しくてやり切れずに自暴自棄になって、海の方へ…

その途中であの出来事は起きた。

(あっ!!また人間だ。あの奴らまた追いかけて来るのか…)

(とにかく急いで逃げなきゃ!!)

どんどん追い込まれて逃げ場を失って等々捕獲されてしまった。

僕は、大学院の研究所で保護された。

僕はチーチー(QIQI)と命名された。

1980年の1月12日の出来事であった。

それからというもの、研究所でしぶしぶと暮らしていた。

(でも…このまま長江にいたとしてもいてもかぁさんの二の前かぁ)

一年と数ヶ月が経った頃新しい居候が増えた。

ロンロンと言うらしい。

(は、はじめましてこれからよろしくお願いします。。)

「こちらこそよろしくネ」

それが1981年4月22日の出来事であった。

2頭仲は仲良く暮らしていたが別れは突然であった。

(ZZZZ…)

バタン…バタバタと早朝から騒がしい音がしたので飛び起きると…

ピクリとも動かない友のロンロンがいた。

(大丈夫…?)

すると、大学院の教授たちがロンロンを生け簀から引き上げてしまった。

1982年2月3日の出来事であった。

その後も仲間が保護されては消えて行くと言いう現実は

7年間も続いた。

気づけば生け簀にいるのは僕一人になっていた。

僕もどんどん年を取って行った…

朝起きると、神々しい光が僕に降り注いでいた。

ふと、体が軽くなっていた。

「チーチー?」

(か、かぁさん?)

ーそうその時既に僕は虹の橋を渡っていたのである。

2002年7月14日の出来事であった。

こうして2000万年のヨウスコウカワイルカの歴史は

幕を閉じたのである。そう絶滅と言う形で…

            おわり

※本編は現実に基づくフィクションです。






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