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ただ僕に気づいて欲しかった ★
しおりを挟む眠る優が寝返りを打つ。
深い眠りに落ちた優を見つめ玲王はそっと優の体に手を伸ばした。
玲王にとって、優の霊力は自らの糧であり、そして優の存在そのものが奇跡のように思えていた。
「ん……」
『優……』
後孔に指を押し込む。
霊体である玲王はその大きな力の一部を指へ集中させる。すると優の中で指はしっかりとした質量を持った。
「んっ、ぁん、っ♡」
指を浅く前後すると優の後孔はすぐに水気を帯びてほぐれ始める。起きていても覚束無いこんな場所が自身の指を確かに咥え込んでいることに、玲王は興奮を隠せず生唾を飲んだ。そしてさらに深くまで指を押し込んだ時だ……。
「ん……っ」
『!』
思わず動きを止めるも、その拙い刺激にすら反応しだした優が可愛くて仕方がないと玲王は思う。
すぅすぅと寝息を立てているのを確認し再び指を抜き差しする。
「あっ、んっ……」
深い睡眠の中でも後孔に押し込んだ指には反応する優に玲王は体の底から歓喜が湧くのを感じた。
『……俺のものだ』
あどけない優の寝顔に色香が混じり始める。
「あっ、あっ……」
ビクン……っ!と跳ねた体を優しく仰向けに寝かし玲王は両脚を担ぎなおす。すっかり弱い敏感な場所へとなってしまった孔の周りをスリスリと撫で、そしてもう一度ゆっくりと指を挿入する。
「ん……」
『可愛い』
優は眠り続けるも、その中がきゅぅう……っと締まるのを感じる。指を増やしてバラバラに動かせばビクビクと腰が震えだす。
『優……気持ちいいか?もっと気持ちよくしてやるから……』
「ん、っ」
指を増やしてさらに奥を解す。くぱぁ……と拡げられた孔がヒクつくのを見ながら玲王はその場所に顔を近づけた。
「あ、え……?」
後孔に生暖かいものを押し込んできた感覚と同時に我に帰った優の声がする。
「玲王……!な、何して……」
玲王は咄嗟に指を抜いて体を離すが、もう遅かった。
『お、おい!』
声をかけるも時すでに遅し。顔を真っ赤にした優が布団を被り丸まってしまった。
『優……』
「エッチ!」
思春期の優を傷つけたことに玲王はどうすることも出来ず、ガリガリと頭をかいた。
『優、機嫌なおせよ』
「……」
夜中から機嫌の悪い優は玲王から顔を背ける。
夕方になっても優の機嫌が治る気配はない。
「すみません!」
静まり返った事務所の扉が叩かれたのは、その時だった。
「こちらで除霊をしているのは間違いないですか?」
現れたのは、どこか疲れた表情の中年女性だった。優が「はい」と応えると、女性は一瞬高校生の優に不審な目を向けながら深々と頭を下げた。
「お願いがあります。息子の友達が、廃校で肝試しをした後に倒れたんです。他の子たちも次々と高熱を出して……次は息子が倒れるんじゃないかと……」
聞けば、町外れにある廃校に肝試しに行った学生たちが、不可解な体調不良に陥っているらしい。その場所では「黒い影を見た」という証言が相次いでいるという。
「お願いです……調べてもらえませんか?」
頭を下げる女性に、優は小さく頷いた。
玲王と一緒に廃校へ足を踏み入れたのは、月明かりだけが頼りの深夜だった。
「相変わらずだな、こういう場所」
玲王が呆れたように笑う。
「だから肝試しが流行るんだろう?」
木造の廊下が軋む音に、思わず足が止まる。ひんやりとした空気が肌を刺し、優の感覚がざわめき始めるのを感じた。
「……いる……」
廊下の奥、教室の扉が開いている。そこから無数の黒い蝶が舞い、優を読んでいるように見えた。
優が蝶に誘われ教室に入ると、中央に黒い塊が見えた。そこにいるのは一人の少年の霊――いや、怨念そのものだった。
『……僕を……苦しめた……やつら……』
かすれた声が教室全体に響く。同時に、黒いリボンが優の腕に絡みつき、締め付けてくる。
「くっ……」
動きを封じられた優の前で、少年の霊が優の目の前に姿を現す。虚ろな目をしていて、だがその奥には深い悲しみが滲んでいた。
『お前も僕を……笑った!』
その言葉だけで、少年がこの場所で苦しい想いをあいたのだと感じることが出来た。
『優!』
玲王が黒いリボンを斬り裂きながら優に近づく。玲王の手が優の肩を引き寄せ、守るように覆った。
『俺のものに触るな!』
玲王の怒気に満ちた声が響くが、怨念は弱まらない。それどころか、黒いリボンがさらに強く優を縛りつけてくる。
「待って、玲王……っ、この人は、ただ……話を聞いてほしいだけなんだ……」
『馬鹿か!やめろ!』
玲王が止めるのを無視して、優は霊に話しかけた。
「……君、苦しかったんだよね。」
優しい優の声に怨念が一瞬、揺らぐ。
「君の話を聞かせて?俺でよければ話を聞くから」
『……』
怨念が少年の形にかわる。
『僕の話を聞いてくれるの?』
優が微笑み頷くと少年は目に涙を浮かべた。
『嬉しい……みんな無視するから苦しくて……でも初めて君が声をかけてくれた……』
リボンがゆっくりとほどけ、少年の霊が涙を流した。
『ありがとう』
少年はそうつぶやく。
「浄化するよ」
優の言葉に少年が頷く。
霊に手を伸ばし手を握ると優が目を閉じた。
「どうか傷ついた魂が静かに眠りにつきますように」
微笑む少年の霊がゆっくりと消えていく。
優はそれを見届けてゆっくりと手を合わせた。
事務所に戻る途中、玲王が優をじっと見つめている。
『無茶しすぎだ』
「……でも、あれしか方法はないんだよ」
優がそう言うと、玲王はため息をつきながら優を引き寄せる。
『お前があんな危険なことをするたび、俺の心臓が止まりそうになるんだ』
「……俺だって怖いよ。でも、いざという時は玲王がいるでしょう?」
優が笑うと、玲王は不機嫌そうに眉を寄せた。
『甘えすぎなんだよ。……仕方ないな』
そう言って優を強く抱きしめた玲王の腕はどこまでも頼もしかった。
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