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第5話 別れ
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真っ白な壁に囲まれた部屋に、扉がひとつ。窓から差し込む光が真っ白な病室を橙に色付ける。壁に掛けられたヴィンテージものの時計が、煩わしいほどにカチカチと音を立てている。
「ごめん。」
俺は気持ち良さそうに眠ったまま起きない彼女に向かってそう言う。当然返事なんて返ってくる訳がない。だが、もしかしたら彼女がいつものように俺にだけしか見せない笑顔で「またごめんって言った!それはもう言わない約束でしょ?」と怒ってくれるのではないか、そう期待せずにはいられなかった。
彼女はいわゆる『脳死』らしい。
彼女が眠ってから、もう2年が経とうとしている。彼女は、不器用な女性だった。人見知りで無愛想。かと思えばかまってちゃんで甘えん坊。友達というと、数えるほどしかいなかった。世間一般的に言うと、『めんどくさいやつ』だったんだろう。でも、俺はそんな彼女がどうしようもなく愛おしかった。
いつものように俺は寝ている彼女の隣で今日の出来事を話す。会社で怒られたこと、初めての後輩が出来たこと、道で出会った散歩中の犬がとてもかわいかったこと。一通り話したところで、もうあたりは暗くなっていた。
「そろそろ帰るよ、また明日。」
彼女に別れの挨拶を済ませ、病室をあとにする。病院の入口で彼女の両親と会ったので、軽く挨拶を済ませ、家に帰る。
家に帰れば帰宅途中で買ったコンビニ弁当をレンジで温め、夕食を済ます。夕食後は、スマホでネットサーフィンをしつつ湯船に浸かり、あとは寝るだけというところで、電話がかかってきた。
彼女の父からの電話だった。
「ガタッ」
驚いて、スマホを落とす。小さな四角い物体でしかないその物から聞こえた内容は俺が驚くには充分なものだった。
「ごめん。」
俺は気持ち良さそうに眠ったまま起きない彼女に向かってそう言う。当然返事なんて返ってくる訳がない。だが、もしかしたら彼女がいつものように俺にだけしか見せない笑顔で「またごめんって言った!それはもう言わない約束でしょ?」と怒ってくれるのではないか、そう期待せずにはいられなかった。
彼女はいわゆる『脳死』らしい。
彼女が眠ってから、もう2年が経とうとしている。彼女は、不器用な女性だった。人見知りで無愛想。かと思えばかまってちゃんで甘えん坊。友達というと、数えるほどしかいなかった。世間一般的に言うと、『めんどくさいやつ』だったんだろう。でも、俺はそんな彼女がどうしようもなく愛おしかった。
いつものように俺は寝ている彼女の隣で今日の出来事を話す。会社で怒られたこと、初めての後輩が出来たこと、道で出会った散歩中の犬がとてもかわいかったこと。一通り話したところで、もうあたりは暗くなっていた。
「そろそろ帰るよ、また明日。」
彼女に別れの挨拶を済ませ、病室をあとにする。病院の入口で彼女の両親と会ったので、軽く挨拶を済ませ、家に帰る。
家に帰れば帰宅途中で買ったコンビニ弁当をレンジで温め、夕食を済ます。夕食後は、スマホでネットサーフィンをしつつ湯船に浸かり、あとは寝るだけというところで、電話がかかってきた。
彼女の父からの電話だった。
「ガタッ」
驚いて、スマホを落とす。小さな四角い物体でしかないその物から聞こえた内容は俺が驚くには充分なものだった。
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