僕は僕に恋をする。

社畜くま

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第七話 視線の先に…

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夜20時ごろ
誠が僕の家をまた訪ねて来た。
僕はカナエの事を誠に話そうと考えていた。
大丈夫、カナエも言っていた。
誠は裏切らないって
だから大丈夫……
そう言い聞かせていた。

扉からノックがなる。
誠が来た。
「おーい、望きたぞ、プリント持ってきた。
今日も叶恵にどやされたぞ
はやく学校きてくれ
俺だけじゃあいつ止めきれねぇよ笑」
と今日あった事を話した。

僕はそのまま扉は開けずに話、始めた。
「ごめん、僕のせいで叶恵を怒らせてしまった」

僕の声を聞いた
誠はビックリした顔をして
僕と喋り続けた。
「やっと話してくれたか~
まあ、叶恵は怒ってるけどお前の事
心配してるよ。
謝るのは俺も協力してやるから
とりあえず元気してるか?」

「うん、まあこんななったけど
なんとかやってる」

「そうか、てか腹減った。
部活終わってから何も食べてないんだ。
あ、お前ちゃんとお菓子用意したか?
なんならお前ん家のご飯でもいいぞ」

僕は少し笑いながら
「ねぇ誠、僕ね
ちゃんと誠には本当の事
話したいと思っているんだ。
でも正直、話して嫌われるかもしれないと
思って話せない。
叶恵にはもっと話せなくてどうしていいか
わからなくてここから出られないんだ」

誠はそれを聞いて
「そうか……まあ叶恵は女だしな
男じゃねぇと話せねぇ事もあるし
まあ安心しろ。
俺はお前のこと嫌いになったりしねぇよ
でもタトゥーとか入れたとか言ったら
少しビビるかもしれねぇけど笑」

また僕は笑い出し
「なんで急にそんな事になるんだよ笑
……誠、じゃあ……開けるよ」

勇気を出して
僕は久々に部屋の扉を開けた。
そこには涙目になっていた誠がいた。

誠はそのまま僕に抱きついた。
「馬鹿かお前!
心配させんなよ!!
叶恵も心配させやがって
お前ともう話せねぇかと思ったじゃねぇか!
本当に何やってんだよ……」

僕もそのまま崩れ落ちるかのように
泣いてしまった。
勝手に一人になってしまっていたのだ。
本当にこんなにも近くに話せる人がいたのに僕は馬鹿だと感じた。

「誠、ごめん、本当にごめん……」

「今はいい、とりあえずお前が生きていてくれたそれだけで本当に良かった」

強く握り締められた身体は
何となくだが安心感があった。

誠を部屋に入れ約束通り
お菓子を持ってきて
僕がやっていた事をそのまま話した。
「誠、その……何から話したらいいか……
叶恵から夏休みにバーチャルキャラって言う
そのまま話しながらキャラクターが動く
やつを作ろうってなったんだけど
それを作っていたらさ
なんていうか……すごい夢中になってさ
そしたらどんどん愛着湧いてしまって……
その変な話なんだけどさ……
す、好きになってしまったんだ!
その……この子の事!」

言ってしまった……
心臓の音がわかるほど僕は緊張していた。
僕はとっさに誠の顔を見て伺った。

誠は僕の顔みて
「え?……それだけ……
お前……それだけのために
学校来なかったのかよ~
そうか、まあお前にとってはそれだけ
悩んでいたんだな」

僕はあまりの呆気なさを感じた。
自分があまりにも勝手に
悩んでいたと痛感したのだ。

誠はお菓子を食べながら
「とりあえずさ
お前はその子の事、好きなんだろ?
ならいいんじゃね。
俺だってまあアニメとかそういう子とか
可愛いなって思うし
俺は変とは思わねぇよ。
てかその子なんて言うの?」

誠からの質問に僕は戸惑った。
正直に話すべきか
濁すべきか……
僕はこの際だと思い本当の事を話した。
「この子はカナエって言うんだ……」

誠は食べていたお菓子を吹き出し、むせた。
「ゲホッ!ゲホ、え?はぁ?
叶恵?!お前、叶恵の事が好きなのか?」

僕はそのまま焦りながら
「違う!違うんだ!
僕はその叶恵みたいな女の子に憧れていて
そのなんていうか……可愛い女の子になれているのが楽しくてその子と話せているのが
楽しいというかもう一人の自分と話せてるみたいで……
とにかく!叶恵とカナエは別なんだ!」

僕の話を聞いた誠は
「叶恵がカナエで?カナエと叶恵が別?
う~ん、まあ難しい話はわからんが
とにかくこれは叶恵には相談できないって事はわかった。
とりあえず今はそれがお前にとっては
俺が部活をやっているみたいに楽しいって事だろ、ならいいんじゃねぇか
それなそうと俺にははやく言えよ!」
と誠は僕の頭を優しくポンポンとした。
少しだけだが嬉しかった。

誠はその場で寝転んで
「あ~疲れた、やっぱ腹減ったな
なあ望、久々にラーメン食いに行こうぜ
ずっと外、出てないんだろ。
食いながら明日、叶恵にどうやって謝るか
話そうぜ」

僕はそのまま頷き、誠とその夜
ラーメンを食べに行った。

ラーメン屋に着いた後
誠と明日の話をした。

「とりあえず謝らないとな叶恵に」
「そうだね、どうやって謝ろう……」
「あのさ望」
「なに?」
「お前さ、またそうやって一人で悩むよな
もうそれやめようぜ、どうせ一人じゃ
思いつかねぇんだからさ
これからは俺でも叶恵でもいいから相談しろよ。誰もお前の事、嫌いになんてならねぇから……約束な?」
誠は僕に小指を出した。
僕もそれに答えるように小指を出して

誠と指切りをした。

「うん、約束するよ」

その日のラーメンはすごく暖かかった。
そして僕はなぜか誠を見るたび
少しだけだがドキドキしていた。
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