僕は僕に恋をする。

社畜くま

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第十三話 ずっと一緒

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今日は12月25日
私は古びた教会に花束を持っていっていた。
朝倉望が亡くなってから
あれから10年がたった。

私は西島叶恵
彼の友達だった。
あれから私はイラストレーターとして
働いていた。
なんでイラストレーターで働いているのか
私自身も分からなかった。
でもあれから……そう……
望ちゃんがなくなってからだ。
全てが変わっていったのは

カナエという謎のAIキャラクターが流行
なぜか知らないがそれが海外で大人気になり
今ではたくさんのイラストと音楽やダンスなどがたくさんの動画サイトなどで使われていた。
ただ今でもその作成者が不明でどこから現れたのか誰がなんの目的で作ったのか
その謎めいたところがオカルト界隈にも
注目され都市伝説化されていた。

ただイラスト自体は
私が描いたという事になっていた。
なぜか望ちゃんに渡したキャンパスのイラストがネットに流されておりそれが証明となって私は今の仕事をしていた。
勝手にカナエという私と同じ名前のキャラクターに祭り上げられて仕事をするとは考えていなかったよ。

ただAIに関しては本当に何もわからなかった。
望ちゃんがなくなってパソコンのデータを
警察などが証拠のため探していたりしたが
何も見つからず空っぽになっていた。
だから望ちゃんが作ったのかどうかすらも
わからなかったのだ

そしてもう一人の友達の弥生誠も自殺した。
死ぬ前に彼と話をしたが
「おれが望を殺したんだ……俺が全部悪いんだと」
それしか言ってくれなかった。

花束を教会の入り口前に置く。
「望ちゃん、私さ
ひとりぼっちになっちゃったよ。
あの時のクレープも結局、買ってくれなかった……また三人でたくさん話そうと思っていたのにな」
私は少しだけ涙を流しながら話した。

そしてもう一つだけわからない事があった。
たくさんの証拠があったが
彼の死体は未だに見つかっていない。

本当に亡くなっているのすらわからないのだ。
でも、だからこそ私はこの仕事をした。
望を探すために。
もう一度、あの日常を戻すために。

家に帰る途中に大きなビルのモニターに
カナエが映っていた。
「本当にすごい人気……本当は二人で作ったはずなのにね」
そんな叶わない夢を話し帰ろうとした
その時だった。

「僕たちはずっと一緒だよ」

望と他の人の声が聞こえた!
後ろを振り返る。
そこには大画面のモニターで
笑顔になるカナエがいた。

私はそれ見て
「まさかそんな事ないよね……」
と思い、おもむろになぜか
スマホにあるカナエのAIに
喋りかけた。

「ねぇ、カナエ?
望のいるところを教えて」
と聞いた。

そしたらカナエは答える。
「望はここにいるよ。
僕と望はずっと一緒
だって……」


「僕は僕に恋をしたから」
 
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