上 下
2 / 3

映像

しおりを挟む
私は高校一年の女の子。

容姿は普通より可愛いタイプ、男の子にも告白されるぐらいはモテている自覚はあるの、勉強も頑張って今のランクの高校に入れたのよ。

入学前に LINEやTwitterを使って、新入生の友達も数人できたし、楽しみだった。

入学してから、どうにか話す子もできて、私も楽しく学校へ行けてたのに、何故か夏休み明け学校へ行ったら、雰囲気がガラリと変わっていたの。

今迄ふざけて遊んでいた友達たちが、目を逸らすの、話しかけても無視するの、何故?判らない?私は何もしていない!

夏休みあの子達と海や映画に行ったわ、TwitterやLINEでも楽しく話せてたのに、どうしたの?

グループから無視され出すと、他の子達も揃って逃げていくの、あの子達は権力持ってるから、睨まれると嫌なんだろうとは感じた。

一番嫌はのは、クラスに入った瞬間の空気感…なんとも言えない!
移動授業は1人だし、掃除も一人で動いてる。
体育なんて、最悪…誰も居ない。
体調悪いフリして休んでる。
他の子達が楽しそうにしているの見ている。辛い……

何故?私は何をしたんだろう?
何故か私が悪口言ったみたいな話になってる?言ってないのに…

親には言えない言いたく無い、だって今までも、何度か女の子達と問題があって、親には心配をかけたから……高校生になってまで言えない。

でも、辛い。今日仲の良い子から、LINEも消された。
本当に辛いもう、学校行きたくない!

携帯の全て消した……初期化した。

そのまま電源を切り、部屋の隅に投げ捨てた。

私はベッドに入り、布団に包まり泣いた。

次の日親が起こしに来たけど、無視した。
次の日も、部屋から出なかった。

もう学校へ行きたくない。行けない。
あの中に入るの無理、これ以上笑えない。

外から見るとたかがそんな事だけど、されている本人は辛い。

それにこれが初めてじゃない、小学校も中学校も同じ事があった。

だから私は高校では、変わろうとしたんだ。

自分なりにいつも笑顔、悪口は言わない、優しく話す事を特に気を付けて頑張ってきたのに。


もう嫌!無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理……………


一人泣いた。




何時間たったのか、数分なのか判らないけれど、何かの音が聞こえて目が覚めた。


「何の音?」


布団から顔を出して、辺りを見渡すと壁際に何かの光が……


「何だろう?」


ベッドから降りて、近づくと…携帯が。
消したはずなのに、画面が真っ赤に光ってる。
血の様な赤だ…


「何これ?消したはずよ!電源も、中身も初期化したのに?」


又電源を切ろうとしたら、真っ赤な携帯の画面の中に何か見える。
なんだろう?気になって覗き込んだら、映像が見える。

小さな写真みたいに切り取った様々なショットが、沢山みえる。一つ一つじっくり見ると。


「私が居る…何処か小部屋で大人の人と勉強している。塾?えっ?
同じ部屋に人が沢山たこ焼き?
私、居酒屋でバイトしてる、カラオケ屋でもバイトしてる。メイド喫茶?
スーツ着てる、卒業式?
有名な大学に入学してる。どう言う事?私成長してる」


ナニコレ?目を携帯から一旦離し、もう一度ゆっくり真面目に見ようと携帯を見ると、画面が真っ黒に…



二度とあの画面にはならなかった。



その後、私は両親に話した。
高校を辞めたいと御願いした。沢山沢山両親と話し高校の先生とも話し、結局私は通信学校に転学した。

その学校は、大学方式でグループもなく、個々で勉強できる。
全ての先生が元教師と言う学校だった。

バイトをしながら、勉強した。バイト代は授業料として親に渡した。個別指導で少人数制で、私にはとても合っていた。

バイト先で友人もでき、彼氏もできた。
学校では、ひたすら勉強した。
おかげで大学にも、入れた。

最近あの携帯電話を思い出す。
あの数々のショットは、私の今迄と一致すると言うことを。


私はあの時心の片隅で、もう死んでしまおうと考えていた。

あの映像をみて、気がそがれたのだ…生きてて良かった。




生きてて良かった
しおりを挟む

処理中です...