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第一章 数学の賢者
勇者と賢者
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「多分……あの手の平にあった五芒星……あのマークが消えてるから、ここにいるトラインは本物だと思うよ」
「なるほどな。それとアイズ……さっきは助かった。俺一人だったら勝てなかったと思う」
グラルはあっさりと自身の力不足を認めた。普段の傲慢不遜な態度とは打って変わって今のグラルは受けた傷もあり、言葉に覇気というものがなかった。
「それにしても……あの光は一体何だったんだ……?」
「私にもそれは分からないよ……でも、私たちを上回る力を持っていた。だから、【転生者】の力を合わせないと勝つのは難しい、と思う」
「今頃あの三馬鹿はどうしてんだろうなぁ……」
「さ、三馬鹿? 四馬鹿じゃなくて……?」
「アイズ、もしかしてその中に俺も入ってるのか?」
「えっ? 今更何言ってるのグラル……?」
「え?」
「数学オタクで周りを見てくれない時点でグラルも同じく、馬鹿だと思うよ?」
「アイズ、お前何言って──」
瞬間、アイズは腕を振りかざそうと腕を後ろへ引いた。
「ちょっ、アイズ!? 何する気だよ!?」
「黙って歯をくいしばってくれると助かるんだけど……」
アイズの腕がグラルへ飛ぼうとして、グラルは反射的に目を瞑った。同時にグラルの手が顔を守ろうと前へ伸びる。
──“私を探してくれて、ありがとう……!”
するとグラルの顔面に拳がめり込むかと思いきや、何も衝撃は来ない。
恐る恐る目を開ければ、アイズの顔が鼻と鼻がくっつくぐらいの距離にあっただけだった。
アイズの頬は見間違いようのないくらいに真っ赤に染まっており、湯気のようなものが幻視できる。
「っ!? な、なんでアイズが!?」
グラルは今、自分に何があったのか理解が及ぶと、たちまち顔を赤くした。
「改めてグラル、私を探してくれて……助けてくれて、ありがとう……」
アイズは両手を前でぎゅっと包み込むように、祈るようにして心からの言葉をグラルに贈ったのだった。
「うぅっ……こ、ここは……?」
トラインが目を覚ますと、グラルとアイズが広場の傍にあるベンチでトラインが起きるのを待ちながら、特にアイズは楽しそうに話に花を咲かしていた。
すると、グラルとアイズはトラインに今までの状況について説明した。
「そうか、俺は操られていたんだな……。俺の心の弱さに、あいつが付け込む隙を与えてしまったんだな……!」
「もう、俺も決闘については気にしてねぇから、もう少しフレンドリーに接することも吝かではないっていうか……」
「はあ……やっぱりグラルは馬鹿だよね」
「っ……! まあ、とにかくもう友達として接してもいいんじゃねぇか?」
グラルはトラインに少し口下手になりながらも、“友達のように接する”ことを提案した。傍らでアイズはグラルの口下手さに苦笑を零していた。
すると、トラインは驚いたように、今までの自分の非を気にしないのか、というような顔をした。
「気にしない、ってことは無理かもしれねぇが、知らない間柄でもねぇよ。決闘といいこの騒動といい、な……」
トラインは少し目を見開いて驚いたが、すぐに友を見るような目で笑った。
「何故だか分からないが、お前……不思議な奴だな。普通の奴はそれほどのことがあれば……特に貴族なら即、何らかの制裁を加えていてもおかしくはないぞ?」
「俺はそういう差別はあまり好まねぇんだよ」
「やはり、変わり者だな」
“変わり者”という、友達といえるのか判断出来ない内容かもしれないが、お互いの目は友を認め合うためのものだったことを示すかのように、優しい光を灯していたのである。
「なるほどな。それとアイズ……さっきは助かった。俺一人だったら勝てなかったと思う」
グラルはあっさりと自身の力不足を認めた。普段の傲慢不遜な態度とは打って変わって今のグラルは受けた傷もあり、言葉に覇気というものがなかった。
「それにしても……あの光は一体何だったんだ……?」
「私にもそれは分からないよ……でも、私たちを上回る力を持っていた。だから、【転生者】の力を合わせないと勝つのは難しい、と思う」
「今頃あの三馬鹿はどうしてんだろうなぁ……」
「さ、三馬鹿? 四馬鹿じゃなくて……?」
「アイズ、もしかしてその中に俺も入ってるのか?」
「えっ? 今更何言ってるのグラル……?」
「え?」
「数学オタクで周りを見てくれない時点でグラルも同じく、馬鹿だと思うよ?」
「アイズ、お前何言って──」
瞬間、アイズは腕を振りかざそうと腕を後ろへ引いた。
「ちょっ、アイズ!? 何する気だよ!?」
「黙って歯をくいしばってくれると助かるんだけど……」
アイズの腕がグラルへ飛ぼうとして、グラルは反射的に目を瞑った。同時にグラルの手が顔を守ろうと前へ伸びる。
──“私を探してくれて、ありがとう……!”
するとグラルの顔面に拳がめり込むかと思いきや、何も衝撃は来ない。
恐る恐る目を開ければ、アイズの顔が鼻と鼻がくっつくぐらいの距離にあっただけだった。
アイズの頬は見間違いようのないくらいに真っ赤に染まっており、湯気のようなものが幻視できる。
「っ!? な、なんでアイズが!?」
グラルは今、自分に何があったのか理解が及ぶと、たちまち顔を赤くした。
「改めてグラル、私を探してくれて……助けてくれて、ありがとう……」
アイズは両手を前でぎゅっと包み込むように、祈るようにして心からの言葉をグラルに贈ったのだった。
「うぅっ……こ、ここは……?」
トラインが目を覚ますと、グラルとアイズが広場の傍にあるベンチでトラインが起きるのを待ちながら、特にアイズは楽しそうに話に花を咲かしていた。
すると、グラルとアイズはトラインに今までの状況について説明した。
「そうか、俺は操られていたんだな……。俺の心の弱さに、あいつが付け込む隙を与えてしまったんだな……!」
「もう、俺も決闘については気にしてねぇから、もう少しフレンドリーに接することも吝かではないっていうか……」
「はあ……やっぱりグラルは馬鹿だよね」
「っ……! まあ、とにかくもう友達として接してもいいんじゃねぇか?」
グラルはトラインに少し口下手になりながらも、“友達のように接する”ことを提案した。傍らでアイズはグラルの口下手さに苦笑を零していた。
すると、トラインは驚いたように、今までの自分の非を気にしないのか、というような顔をした。
「気にしない、ってことは無理かもしれねぇが、知らない間柄でもねぇよ。決闘といいこの騒動といい、な……」
トラインは少し目を見開いて驚いたが、すぐに友を見るような目で笑った。
「何故だか分からないが、お前……不思議な奴だな。普通の奴はそれほどのことがあれば……特に貴族なら即、何らかの制裁を加えていてもおかしくはないぞ?」
「俺はそういう差別はあまり好まねぇんだよ」
「やはり、変わり者だな」
“変わり者”という、友達といえるのか判断出来ない内容かもしれないが、お互いの目は友を認め合うためのものだったことを示すかのように、優しい光を灯していたのである。
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