7 / 15
第1幕 やがて目は覚める
悪夢6
しおりを挟む
気がつくと、僕は映画館の入り口付近に居た。
手には、キャラメル味のポップコーンとコーラが乗ったトレイを片手に、もう片方の手にはチケットが握られている。
自分の手の中にあるチケットが何の映画のものなのかはわからないが、僕は顔の見えない映画館のスタッフにチケットを切ってもらい、ゲートを通った。
豪華な内装が、日常とは違う映画の世界へと、人々を誘う。
見ると、少し歩いたところの扉の上で、4番のランプが点滅している。
扉はすでに開いていて、あの貼り紙も見当たらない。
僕は、その、4番スクリーンの、他の誰かが選ばないような席に座った。
チケットには席の番号も無かったからだ。
こんな、ただの紙切れのようなチケットを、僕はいくら支払って買ったのだろうか?
支離滅裂な、何かの予告編が流れるスクリーンを眺めながら、味のしないポップコーンを食べ、味のしないコーラを飲む。
まあ、夢の中なのだから、仕方がない。
やがて、タイトルのような読めない文字が写し出された。
その後に続く映画の本編は、とある人物に恨みを抱いた小学生の男の子が、倉庫にたくさんある古いランドセルを爆弾にして、その人物に復讐するために、その人物の行く先々を爆破するという内容だった。
くだらない。
しかし、大きな建物などが崩壊する様を見るのは悪くない。
自分の中に積もってしまった、イライラやストレスというゴミの山も、木っ端微塵に砕けて消えてくれたなら、清々しい気分になれることだろう。
僕は、味のしないポップコーンを食べ終わり、味のしないコーラを飲み干した。
そしてそれを、誰も座っていない隣の座席に、トレイごと仮置きしようとして、座席のシートを下ろした。
すると、座席のシートに何かが挟まっている。
それは、何処かで見たような小さなケースだった。
トレイを置いて、僕はその小さなケースを手に取った。
そういえば、何年も前の事になるけれど、僕は彼女に振られた。
約束のあった日に、急な仕事が入って、約束をすっぽかす事になってしまった。
その事が、彼女に振られた原因の1つなのではないかと僕は思っているのだが、実際はどうだったのだろう?
あの日、渡そうと思っていたケースの中身は指輪だったけれど、あれはあの時に捨てたはずだ。
音のしない映画の光に照らされながら、僕はゆっくりと、小さなケースを開ける。
すると、その中からあの腕が現れて、僕の肋骨を砕きながら体を貫いた。
映画館の座席、せっかく、わりと座り心地が良い座席なのに、血が付いてしまうなんて、台無しだな。
小さなケースの側面には、「開けるな、キケン」と書いた白いテープが貼られていた。
手には、キャラメル味のポップコーンとコーラが乗ったトレイを片手に、もう片方の手にはチケットが握られている。
自分の手の中にあるチケットが何の映画のものなのかはわからないが、僕は顔の見えない映画館のスタッフにチケットを切ってもらい、ゲートを通った。
豪華な内装が、日常とは違う映画の世界へと、人々を誘う。
見ると、少し歩いたところの扉の上で、4番のランプが点滅している。
扉はすでに開いていて、あの貼り紙も見当たらない。
僕は、その、4番スクリーンの、他の誰かが選ばないような席に座った。
チケットには席の番号も無かったからだ。
こんな、ただの紙切れのようなチケットを、僕はいくら支払って買ったのだろうか?
支離滅裂な、何かの予告編が流れるスクリーンを眺めながら、味のしないポップコーンを食べ、味のしないコーラを飲む。
まあ、夢の中なのだから、仕方がない。
やがて、タイトルのような読めない文字が写し出された。
その後に続く映画の本編は、とある人物に恨みを抱いた小学生の男の子が、倉庫にたくさんある古いランドセルを爆弾にして、その人物に復讐するために、その人物の行く先々を爆破するという内容だった。
くだらない。
しかし、大きな建物などが崩壊する様を見るのは悪くない。
自分の中に積もってしまった、イライラやストレスというゴミの山も、木っ端微塵に砕けて消えてくれたなら、清々しい気分になれることだろう。
僕は、味のしないポップコーンを食べ終わり、味のしないコーラを飲み干した。
そしてそれを、誰も座っていない隣の座席に、トレイごと仮置きしようとして、座席のシートを下ろした。
すると、座席のシートに何かが挟まっている。
それは、何処かで見たような小さなケースだった。
トレイを置いて、僕はその小さなケースを手に取った。
そういえば、何年も前の事になるけれど、僕は彼女に振られた。
約束のあった日に、急な仕事が入って、約束をすっぽかす事になってしまった。
その事が、彼女に振られた原因の1つなのではないかと僕は思っているのだが、実際はどうだったのだろう?
あの日、渡そうと思っていたケースの中身は指輪だったけれど、あれはあの時に捨てたはずだ。
音のしない映画の光に照らされながら、僕はゆっくりと、小さなケースを開ける。
すると、その中からあの腕が現れて、僕の肋骨を砕きながら体を貫いた。
映画館の座席、せっかく、わりと座り心地が良い座席なのに、血が付いてしまうなんて、台無しだな。
小さなケースの側面には、「開けるな、キケン」と書いた白いテープが貼られていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる