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第1幕 やがて目は覚める
悪夢7
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気がつくと、僕は電車の中に居た。
陽が高いのか、窓の外は明るいけれど、誰も人が乗っていないのを見ると、よほど田舎の、平日の昼間に走っている本数の少ない路線の電車といった感じだろうか。
しかし、景色は流れて行くけれども音が無いあたり、やはりまだ夢の中なのだろう。
僕は、自分しか居ない車内で、長細い座席の端に座った。
他のお客は居ないのだから、堂々と真ん中に座れば良いものを。
控えめと言えば聞こえはいいが、自信の無さが全面に出ているようで、自分で自分にがっかりする。
普段の、通勤電車の中では、座れることなどほとんど無いため、こんな思いをすることもないのだが。
いつか、こんな風にのんびりとひとり旅でもできたなら、見知らぬ土地で、自分のことを全く知らない人たちと、共通の話題でも見つけて話をしてみたいものだ。
そんなことを思っていると、電車はトンネルに入った。
そして、誰も居ない車内の向こうの車両の扉が開いて、刃物を持った人物が現れた。
僕は咄嗟に、その人物とは反対側の車両へと逃げた。
1番端の車両まで行けば、車掌くらいは居るはずだ。
だんだんと詰まる距離。
異常に車両の数が多い電車。
トンネルの出口はまだ見えない。
1番端の車両が見えて、僕は必死で運転席の扉を開けた。
車掌は居たが、その姿は真っ黒い影のようで、その影の中からあの腕が出て来た。
僕は、刃物ではなく、鬼のような腕の鋭い爪に刺されて、そこに倒れた。
運転席の扉の上には、「開けるな、キケン」という文字が、電光掲示板の文字で流れていた。
陽が高いのか、窓の外は明るいけれど、誰も人が乗っていないのを見ると、よほど田舎の、平日の昼間に走っている本数の少ない路線の電車といった感じだろうか。
しかし、景色は流れて行くけれども音が無いあたり、やはりまだ夢の中なのだろう。
僕は、自分しか居ない車内で、長細い座席の端に座った。
他のお客は居ないのだから、堂々と真ん中に座れば良いものを。
控えめと言えば聞こえはいいが、自信の無さが全面に出ているようで、自分で自分にがっかりする。
普段の、通勤電車の中では、座れることなどほとんど無いため、こんな思いをすることもないのだが。
いつか、こんな風にのんびりとひとり旅でもできたなら、見知らぬ土地で、自分のことを全く知らない人たちと、共通の話題でも見つけて話をしてみたいものだ。
そんなことを思っていると、電車はトンネルに入った。
そして、誰も居ない車内の向こうの車両の扉が開いて、刃物を持った人物が現れた。
僕は咄嗟に、その人物とは反対側の車両へと逃げた。
1番端の車両まで行けば、車掌くらいは居るはずだ。
だんだんと詰まる距離。
異常に車両の数が多い電車。
トンネルの出口はまだ見えない。
1番端の車両が見えて、僕は必死で運転席の扉を開けた。
車掌は居たが、その姿は真っ黒い影のようで、その影の中からあの腕が出て来た。
僕は、刃物ではなく、鬼のような腕の鋭い爪に刺されて、そこに倒れた。
運転席の扉の上には、「開けるな、キケン」という文字が、電光掲示板の文字で流れていた。
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