Or rings ーオール リングスー

思後 的世(シアト マトヨ)

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三章 ローゼオ港

〜ペンギン少女は一発を狙う〜 一話

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翌朝になり、一行はホテル一階にあるレストランに集まっていた。

「おはよーみんな…」

「ガッハッハ!!ロート!昨日の体調は回復したか!!」

「ネロはまだ来ないわね…」

集合時間に少し遅れてネロはやってきた。

「すまねぇすまねぇ、昨日遅くまで起きててな…」

「…?眠れなかったの?」

ロートは眠そうな顔を擦りながら聞いた。

「いや、昨日の変な女がロビーがいて深夜まで話し込んじまった」

「まさかだけど、ネロ?私達の事やこれから行おうとしている事、言ってないわよね?」

ヴィオレが恐ろしい顔をして聞いてきた。

(!?)

「ま、まさかな!そんなわけねぇよ!あ、あれだ!俺の昔話してたんだ!」

(こいつ嘘つくの下手くそね…)

ヴィオレには既にお見通しだったが、ネロは上手く誤魔化せたという態度をとっていた。

「ガッハッハ!!そんなことより飯だ!メシ!」

「…って言ってもきっとサプリだよね…」

しかし、彼らの予想とは違い出てきたのは朝食には重いほどの新鮮な魚料理だった。

「この街は都市と比べ、皆生き急いでないわ。ちゃんと味覚が楽しめるようになってるの」

ヴィオレがそう言う間もなく、男達は涎を垂らして目を輝かせていた。
今までサプリ生活で味覚を楽しむ事が出来なかった反動が今来たようだ。

「「いただきまーす!!」」

料理が全て並び、急ぐ必要もないのに男達はどんどん料理を口に入れた。
美味しすぎて涙をする者、歓喜する者、様々な顔をしていたが、喜んでいる顔を見てヴィオレも微笑んでいた。

朝食にしては量の多い食事だったが、一行はあっという間にたいらげてしまった。

満足していた一行だが、落ち着いたところでヴィオレが他の客に聞こえないよう本題に入った。

「さてと、この街で私達がすることは…」

「ネグロ火山まで行く為の交通手段を得る事よ」

するとカルコスが答えた。

「アレだな!?何やら物資を運んでいる大きい船に乗り込むんだな!?」

「それはダメよ、確かに貿易船はネグロ火山から鉱石などの物資をここまで運んでくるけど…」

「物資を入れるコンテナなどにも人体センサーが張り巡らせているようなの。恐らく脱獄者対策ね」

情報家のヴィオレはそこまで把握していた。

ネグロ火山は危険地帯で過酷な労働させる為に地下の人間が送られている。
そんな状況下で逃げようとする者いる。
しかし見つかれば、より過酷な場所に飛ばされるか拷問されるか。
死ぬ事も出来ない生き地獄を永遠に味あわなければならなかった。

「あんな危険地帯でも、スリルを味わう物好きもいてね。観光目当てで45分で着く特急の公共交通手段もあるんだけど…」

「まぁこれも身を隠してる私達は無理ね」

「おいおい!じゃあここまで来てどうすればいいんだよ!?」

ネロはそう言って立ち上がった。
その拍子でポケットに入っていたクシャクシャの紙が舞った。

ヴィオレはすかさずその紙を手に取り見ると、ニヤリと笑った。

「でかしたわネロ。昨日のあの女の子が私達の次を繋ぐキーパーソンになるわ」

そう言って、ヴィオレは男たちを立たせ軽快に会計を済ませホテルを後にした。


その紙はシーニーの名刺であった。
そこには「ブラウ漁港組合」と住所が記載されていた。
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