【完結】両性を持つ魔性の王が唯一手に入れられないのは、千年族の男の心

たかつじ楓@書籍発売中

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第3章 止まらぬ想い

レナードのため息

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 小一時間ほど経って、カティ達の食事が終わってみな自室に休みに行った後も、黒髪の男の食事は続いていた。

「青銅の蝋燭立て。動作の遅さは相変わらずだな」
 
 やっとメインディッシュの牛肉をナイフで切って口に運びだした蝋燭立てに、足を組んだナギリは楽しそうに話しかける。

 大きなテーブルに、ナギリと蝋燭立ての二人だけが座っているので妙に殺風景だ。

「レナード、お前もこいつに会うのは久しぶりだろう」

 白い騎士の制服を着たレナードは後ろ手に手を組み、扉の前に立っていた。
 普段は食堂の外で警護をしているのだが、蝋燭立てを同じ食卓に招きたいとナギリが我が儘を言うので、仕方なく部屋の中で一挙一動を見守っている。

「そうですね」

 レナードが直立の体勢を崩さぬまま答えると、蝋燭立ての首が動き、レナードの方を見た。

 二人の視線が交差する。
 すると、蝋燭立てが小さく、


「その騎士には、よく叱られた」


 と呟いた。
 途端に、ナギリの高笑いが響き渡る。

「確かに、私が鍛練中に怪我をしてはロウが怒られていたものな。
 ふふ、懐かしいものよ」

 レナードはバツが悪そうに口をへの字に曲げると、しかし反論はできないのか、苦々しく忠告する。

「……公私混同はおやめください王。
 他のカティや部下が動揺します」

「次期王を作るために子作りをするのが公で、命の恩人をもてなすのが私か?

 おかしな話だ」
 ナギリは、からかう時の癖のように腕を組み、挑発するようにレナードを見る。

 近衛隊長は、一層低い声で、

「―――私は王のためならいくらでも命など差し出す覚悟ですが、胃痛で私を殺すおつもりなら、今すぐにでもお暇を頂きたいと思います。
 一度きりの人生を無駄に過ごすつもりはありません」

 ときっぱりと言い放つ。
 彼が本気で怒っている時の顔であった。

 ナギリはため息をついて、

「冗談が過ぎた。機嫌を直してくれ」

 と、言うと、レナードは眉根を寄せて目を閉じたまま黙り込んでしまった。


「食べ終わったか、ロウ」


 食器を置く音が聞こえたので蝋燭立ての方を見ると、小さく頷いた。

 満足げにそうか、と相槌を打つ。


「突然だから部屋が用意できていない。
 今夜は私の部屋で寝るといい」


 席を立ちあがって蝋燭立てを自分の部屋の方へと促した。
 
 レナードの呆れた顔は、見て見ぬふりをして。
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