オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水

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第4章

幕間

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 薄暗い寒々とした広間に、ひとり佇む青年。
 その表情は見えない。炎のように真っ赤な長い髪が、彼の顔を覆い隠している。
 だが、ひょろりと背が高く、少し痩せすぎの後ろ姿に悲愴感を漂わせていた。

 扉の開く気配に目を向ける青年。その視線の先に、半狼半人のウェアウルフの姿があった。
 ウェアウルフは、足早に青年のもとへ来ると一礼する。
 顔を上げたウェアウルフは、耳も尻尾も力なく垂れ下がり、苦悩を滲ませた表情で静かに告げた。

「魔族王様……フェンリルが捕らえられました。ここにも間もなく騎士たちが――一刻も早くお逃げください!」

 魔族王様と呼ばれた青年は、その報告に大きく目を見開いた。やがてガクガクと全身を震わせ、喘ぐような呼吸を繰り返す。

「なんで? ……なんでそんなことが――あり得ない! 今まで一度もなかったのに。それなのになんで――」

 その言葉に反応したウェアウルフは、魔族王の震える両肩をガシッと押さえる。

「――魔族王様⁉ 一体何を仰っているのですか! 今までとはどういうことです!」

 魔族王は「はっ」と我に返り、気持ちを落ち着かせる。そして、心配そうに見つめるウェアウルフに切なげに語りかけた。

「ごめんね……君たちに辛い思いをさせて。これはすべてボクの所為なんだ――ボクが悪いんだ――」

「なっ、何を! なぜ魔族王様の所為なのです。悪いのは、卑劣なエスタリカの女王ではないですか!」

 魔族王は何も答えない。ただ、肩に置かれたウェアウルフの手を労るように外し、ゆっくりと歩き出す。
 ウェアウルフは、苦渋に満ちたその背中を呆然と見送った。

 大きなアーチ型の窓際まで来ると、魔族王は足を止める。
 ボンヤリと己が映る窓に手を添え、エスタリカの方向を見つめた。

「……そんなにボクが憎いの? どうすれば許してくれるの?」
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