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夢だ、夢。夢でよかった……
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久科はばっと身を起こした。
ほの明るくなりつつある室内。鳥の声が遠くに聞こえる。
そっと布団をめくって確認する。下帯を越え、夜着越しにも明らかにそれが染みていた。
「……何、やってんだ」
耐え切れずに頭を抱える。
夢だ。やはり夢だった。
いったいなんてものを見ているのか。
夢は願望を表す、なんて思い出さずともよい言葉が思い出されて。
その腰に百丸がすりっと巻き付いた。
「うわぁあ!」
懐いている人間の突然の大声に、百丸が長い身体を巻き取ってびくっと飛び退く。
「なんだ、いたのか」
布団から距離をとっている百丸を見て安堵する。いつもの大きさだった。
昨日、自分から招き入れて置いてなんという言い草だ。勝手に夢を見たのになんだか恥ずかしくなった。
そのとき、廊下を駆けてくる元気な足音が聞こえた。
「兄上ー! ご飯できてるよ!」
「っ、わ、わかった!」
慌てて床を払う。顔を洗うために汲んでおいた水と手拭いで、下肢をおざなりに拭った。
「百丸、行ってくるからな」
部屋を出かけに、布団に戻って丸くなる百丸に声をかける。
ばたばたと遠ざかる足音を聞きながら、腹がぷくっと脹れた蛇が満足そうに久科の寝床でまどろんでいた。
ほの明るくなりつつある室内。鳥の声が遠くに聞こえる。
そっと布団をめくって確認する。下帯を越え、夜着越しにも明らかにそれが染みていた。
「……何、やってんだ」
耐え切れずに頭を抱える。
夢だ。やはり夢だった。
いったいなんてものを見ているのか。
夢は願望を表す、なんて思い出さずともよい言葉が思い出されて。
その腰に百丸がすりっと巻き付いた。
「うわぁあ!」
懐いている人間の突然の大声に、百丸が長い身体を巻き取ってびくっと飛び退く。
「なんだ、いたのか」
布団から距離をとっている百丸を見て安堵する。いつもの大きさだった。
昨日、自分から招き入れて置いてなんという言い草だ。勝手に夢を見たのになんだか恥ずかしくなった。
そのとき、廊下を駆けてくる元気な足音が聞こえた。
「兄上ー! ご飯できてるよ!」
「っ、わ、わかった!」
慌てて床を払う。顔を洗うために汲んでおいた水と手拭いで、下肢をおざなりに拭った。
「百丸、行ってくるからな」
部屋を出かけに、布団に戻って丸くなる百丸に声をかける。
ばたばたと遠ざかる足音を聞きながら、腹がぷくっと脹れた蛇が満足そうに久科の寝床でまどろんでいた。
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