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第七章 リリスとマリア
第七話
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『さっき、ロイのデータが削除されたの。
グレードアップをする前のバックアップは残してあるけれど…………まだご時世的にアンドロイドにそれを入れるのを推奨してないって、警察から言われてしまったわ…………』
ロイが削除をされたことを知り、真生は心を痛める。電話の向こうの綾香の声はまだ暗い。
けれどロイが完全に消えた訳ではない事を理解しているせいか、綾香の声は晴れやかだった。
真生の脳裏には、最後のロイとのやり取りが浮かんで消える。真生はリビングのソファーに腰かけながら天井の照明を見つめていた。
どんなに思考を巡らせても、今綾香に掛けるべき良い言葉は出てこない。上手く感情を言葉に出来ない真生は、ただ相槌だけを打った。
「………………そうか」
『うん。私、ロイを待つわ。ロイにまた会える日を………ちゃんと。
私ね、穂積君に謝らなければいけない事があるのよ。この話をするまでに、大分時間を要してしまったけれど』
綾香とこんな風に電話をするのは、一体何時ぶりだっただろうかと真生は思う。
長い間こんな風に、二人で朗らかにやり取りをする事は出来なかった。
そしていつの間にか、綾香を見かける度に感じていた胸の痛みが、何処かに消えて無くなっていた事に気が付いた。
「………なぁに??改めて言われると、凄く怖いな…………」
真生はそう言いながら笑い、綾香が口にする言葉を予想立てる。
きっとロイとの事なんだろうと真生は思っていた。
『そうよね………今更かもしれないけど、ちゃんと話したかったの…………。
私ね、ロイを愛してる。アンドロイドだからなんて関係ないわ。受け入れることにした。もう自分を隠さない』
ロイに対する感情をハキハキと口にする綾香の声を聞きながら、真生はとても逞しいと感じる。
こんなにはっきりと人ならざるものに対し『愛している』と口にできる姿を、心の底から羨ましいと感じた。
真生はマリアを愛している。だが、それを口に出来る強さは存在していない。
一般というレールの上からはみ出す勇気を、真生はまだ持ち合わせていないのだ。
この時に真生は綾香の事を、戦いに向かう兵士の様に感じた。
どんな困難にも向かっていける逞しさが、彼女には存在していたのだ。
「…………そんな気がしていたよ。綾香が綾香らしく幸せに生きていける事を、俺はずっと祈っているし、これからもそれを支えたいと思う」
真生は綾香にそう言って静かに微笑む。長い年月存在していた蟠りが解消された瞬間だった。
『…………有難う。私は大分遠回りをしたし、沢山人を傷付けたわ…………。反省してる。
穂積君にも……………沢山の幸せが降り注ぐことを祈っている…………』
綾香との電話を切った真生は、寝室に戻ろうとソファーから立ち上がる。
するとリビングのドアの前にはマリアが立っていた。マリアは目を細めて笑いプラチナブロンドの髪を揺らす。
アダム社で着ていたワンピースを脱いだマリアは、清楚な白い下着を身に纏っていた。
マリアは真生の方に歩み寄りソファーの前に立つ。真生はマリアの華奢な体を引き寄せ、抱きしめた。
「マリア…………身体はもう大丈夫??」
マリアの身体を確かめるかの様に、真生は淡く全身を撫でてゆく。
マリアは擽ったそうに笑い、真生にしがみ付いた。
「ふふっ…………!!!ご主人様ったら!!!大丈夫ですってば!!もう平気です!!
……………それより…………ご主人様に抱かれたくなっちゃって…………」
マリアはそう言ってソファーに腰かけ、真生の身体を引き寄せる。
この時に真生はマリアの瞳が何故か潤んでいる事が気になったのだ。
グレードアップをする前のバックアップは残してあるけれど…………まだご時世的にアンドロイドにそれを入れるのを推奨してないって、警察から言われてしまったわ…………』
ロイが削除をされたことを知り、真生は心を痛める。電話の向こうの綾香の声はまだ暗い。
けれどロイが完全に消えた訳ではない事を理解しているせいか、綾香の声は晴れやかだった。
真生の脳裏には、最後のロイとのやり取りが浮かんで消える。真生はリビングのソファーに腰かけながら天井の照明を見つめていた。
どんなに思考を巡らせても、今綾香に掛けるべき良い言葉は出てこない。上手く感情を言葉に出来ない真生は、ただ相槌だけを打った。
「………………そうか」
『うん。私、ロイを待つわ。ロイにまた会える日を………ちゃんと。
私ね、穂積君に謝らなければいけない事があるのよ。この話をするまでに、大分時間を要してしまったけれど』
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長い間こんな風に、二人で朗らかにやり取りをする事は出来なかった。
そしていつの間にか、綾香を見かける度に感じていた胸の痛みが、何処かに消えて無くなっていた事に気が付いた。
「………なぁに??改めて言われると、凄く怖いな…………」
真生はそう言いながら笑い、綾香が口にする言葉を予想立てる。
きっとロイとの事なんだろうと真生は思っていた。
『そうよね………今更かもしれないけど、ちゃんと話したかったの…………。
私ね、ロイを愛してる。アンドロイドだからなんて関係ないわ。受け入れることにした。もう自分を隠さない』
ロイに対する感情をハキハキと口にする綾香の声を聞きながら、真生はとても逞しいと感じる。
こんなにはっきりと人ならざるものに対し『愛している』と口にできる姿を、心の底から羨ましいと感じた。
真生はマリアを愛している。だが、それを口に出来る強さは存在していない。
一般というレールの上からはみ出す勇気を、真生はまだ持ち合わせていないのだ。
この時に真生は綾香の事を、戦いに向かう兵士の様に感じた。
どんな困難にも向かっていける逞しさが、彼女には存在していたのだ。
「…………そんな気がしていたよ。綾香が綾香らしく幸せに生きていける事を、俺はずっと祈っているし、これからもそれを支えたいと思う」
真生は綾香にそう言って静かに微笑む。長い年月存在していた蟠りが解消された瞬間だった。
『…………有難う。私は大分遠回りをしたし、沢山人を傷付けたわ…………。反省してる。
穂積君にも……………沢山の幸せが降り注ぐことを祈っている…………』
綾香との電話を切った真生は、寝室に戻ろうとソファーから立ち上がる。
するとリビングのドアの前にはマリアが立っていた。マリアは目を細めて笑いプラチナブロンドの髪を揺らす。
アダム社で着ていたワンピースを脱いだマリアは、清楚な白い下着を身に纏っていた。
マリアは真生の方に歩み寄りソファーの前に立つ。真生はマリアの華奢な体を引き寄せ、抱きしめた。
「マリア…………身体はもう大丈夫??」
マリアの身体を確かめるかの様に、真生は淡く全身を撫でてゆく。
マリアは擽ったそうに笑い、真生にしがみ付いた。
「ふふっ…………!!!ご主人様ったら!!!大丈夫ですってば!!もう平気です!!
……………それより…………ご主人様に抱かれたくなっちゃって…………」
マリアはそう言ってソファーに腰かけ、真生の身体を引き寄せる。
この時に真生はマリアの瞳が何故か潤んでいる事が気になったのだ。
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