79 / 109
第九章 地獄の中を駆け巡る
第六話
しおりを挟む
重厚な扉の前に立ちカードキーを翳す。けれどモニター画面にはずっと『ERROR』の文字が表示される。
真生はこのカードでは此処に入れないのかと、深く溜め息を吐いた。
エレベーターの前に転がったメグを見て、カードキーを翳していたのがメグだった事を思い返す。
手にしていた小型の拳銃を仕舞い、穿いていたパンツのポケットに捩じ込む。
真生は動かなくなったメグに歩み寄り、カードキーを探し始めた。
「…………マリア、すまない。カードキーを探すの手伝って貰って良いか?」
「………はい!!勿論です!!」
マリアは普段と変わらない微笑みを浮かべ、メグの亡骸を探ってゆく。
状況はとても陰惨ではあるが、マリアの笑顔が変わらない事だけは支えだ。
するとマリアが真生の顔を覗き込み、切なげに囁いた。
「…………ご主人様、今、一番したくないことしてますよね??」
真生はマリアの言葉に思わず手を止め、空色の虹彩を覗き込む。
マリアは切なげに目を潤ませ、小さく呟いた。
「……………ご主人様は、AIアンドロイドを傷付ける人、好きじゃないでしょう?
ご主人様が一番苦手な事を、しなきゃいけなくなってる…………」
マリアの言う通りだ、と真生は思う。
真生はAIアンドロイドを傷付けるのを好まない。AIアンドロイドをこよなく愛し、魅了されたからこそ今の真生が存在する。
アンドロイドを作る側の人間が、アンドロイドを殺さざる負えない現実がとても辛いのだ。
きっと今自分の顔は、酷く落魄れているに違いない。
一番マリアに見せたくない、情けない顔をしていると真生は思う。
するとマリアは昔を懐かしむかの様に語りだした。
「ねぇ、ご主人様覚えていますか??ホテルからの帰り道…………!!
私、本当は知ってたんです。ゴミ捨て場に廃棄のアンドロイドがあった事………!!
ご主人様、私に見せない様にしてくれていた事、ずっと知ってました………!!
あの時に私の所有主が…………ご主人様で本当に良かったって、思いました…………!!!」
マリアがそう言った時、真生は映画館に行った日の事を思い返す。
廃棄で捨てられた真新しいアンドロイドを見て、胸を痛めた夜。
マリアにだけはそのアンドロイドの姿を、絶対に見せたくないと思っていた事。
真生の胸の中にとても懐かしい思い出が甦る。
そしてその時も真生は、マリアに全てを見透かされていたんだと感じた。
「…………はは、本当…………君には敵わない………」
真生の視界が涙で揺らぎ、頬を温かいものが流れて濡らしてゆく。
するとマリアが悪戯っぽく笑い、とある事を言い出した。
「私ね、今とっても恐ろしいけど、幸せなんです!!ご主人様に愛されてるって解ったから………!!
あと私、もうすぐ廃棄か記憶の消去されるものだと思っていました。てっきり綾香さんとご主人様………よりを戻すのかなぁ、なんて思ってて…………」
「は!?なんで??」
全く想像をしてなかった勘違いがマリアの中からポンポン出てくる。真生は思わず苦笑いを浮かべた。
真生はこのカードでは此処に入れないのかと、深く溜め息を吐いた。
エレベーターの前に転がったメグを見て、カードキーを翳していたのがメグだった事を思い返す。
手にしていた小型の拳銃を仕舞い、穿いていたパンツのポケットに捩じ込む。
真生は動かなくなったメグに歩み寄り、カードキーを探し始めた。
「…………マリア、すまない。カードキーを探すの手伝って貰って良いか?」
「………はい!!勿論です!!」
マリアは普段と変わらない微笑みを浮かべ、メグの亡骸を探ってゆく。
状況はとても陰惨ではあるが、マリアの笑顔が変わらない事だけは支えだ。
するとマリアが真生の顔を覗き込み、切なげに囁いた。
「…………ご主人様、今、一番したくないことしてますよね??」
真生はマリアの言葉に思わず手を止め、空色の虹彩を覗き込む。
マリアは切なげに目を潤ませ、小さく呟いた。
「……………ご主人様は、AIアンドロイドを傷付ける人、好きじゃないでしょう?
ご主人様が一番苦手な事を、しなきゃいけなくなってる…………」
マリアの言う通りだ、と真生は思う。
真生はAIアンドロイドを傷付けるのを好まない。AIアンドロイドをこよなく愛し、魅了されたからこそ今の真生が存在する。
アンドロイドを作る側の人間が、アンドロイドを殺さざる負えない現実がとても辛いのだ。
きっと今自分の顔は、酷く落魄れているに違いない。
一番マリアに見せたくない、情けない顔をしていると真生は思う。
するとマリアは昔を懐かしむかの様に語りだした。
「ねぇ、ご主人様覚えていますか??ホテルからの帰り道…………!!
私、本当は知ってたんです。ゴミ捨て場に廃棄のアンドロイドがあった事………!!
ご主人様、私に見せない様にしてくれていた事、ずっと知ってました………!!
あの時に私の所有主が…………ご主人様で本当に良かったって、思いました…………!!!」
マリアがそう言った時、真生は映画館に行った日の事を思い返す。
廃棄で捨てられた真新しいアンドロイドを見て、胸を痛めた夜。
マリアにだけはそのアンドロイドの姿を、絶対に見せたくないと思っていた事。
真生の胸の中にとても懐かしい思い出が甦る。
そしてその時も真生は、マリアに全てを見透かされていたんだと感じた。
「…………はは、本当…………君には敵わない………」
真生の視界が涙で揺らぎ、頬を温かいものが流れて濡らしてゆく。
するとマリアが悪戯っぽく笑い、とある事を言い出した。
「私ね、今とっても恐ろしいけど、幸せなんです!!ご主人様に愛されてるって解ったから………!!
あと私、もうすぐ廃棄か記憶の消去されるものだと思っていました。てっきり綾香さんとご主人様………よりを戻すのかなぁ、なんて思ってて…………」
「は!?なんで??」
全く想像をしてなかった勘違いがマリアの中からポンポン出てくる。真生は思わず苦笑いを浮かべた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【アラウコの叫び 】第1巻/16世紀の南米史
ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎日07:20投稿】 1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。
マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、
スペイン勢力内部での覇権争い、
そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。
※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、
フィクションも混在しています。
また動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。
HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。
公式HP:アラウコの叫び
youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス
insta:herohero_agency
tiktok:herohero_agency
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
M性に目覚めた若かりしころの思い出 その2
kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、終活的に少しづつ綴らせていただいてます。
荒れていた地域での、高校時代の体験になります。このような、古き良き(?)時代があったことを、理解いただけましたらうれしいです。
一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。
【アラウコの叫び 】第3巻/16世紀の南米史
ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎週月曜07:20投稿】
3巻からは戦争編になります。
戦物語に関心のある方は、ここから読み始めるのも良いかもしれません。
※1、2巻は序章的な物語、伝承、風土や生活等事を扱っています。
1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。
マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、
スペイン勢力内部での覇権争い、
そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。
※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、
フィクションも混在しています。
動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。
HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。
公式HP:アラウコの叫び
youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス
insta:herohero_agency
tiktok:herohero_agency
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる