1 / 1
1種
しおりを挟む
目の前が暗い。
脳に身体を動かすよう指令を送るが全く機能していなかった。しかし、焦りの感情は無く、ただ脱力状態が続いていた。このままどこか分からないところに消えてしまいそうな感覚があった。
辺り一面を見渡しても目の前には'闇'が広がっていた。ここがどこなのかまるで見当がつかなかった。まさに漆黒の闇の呼び名が似合うような空間だった。
ボーッと目の前を見つめていると、微かだが一筋の光が差し込んでいた。脳が指令を送るよりも早く身体が光の方向へと導かれていた。しかし普段のように身体を上手く動かすことができなかった。
一筋の光の目の前に着くと、1センチ程の小さな謎の固体が光り輝いていた。意識が定まらない中、その謎の固体を見ると何かの種であることが分かった。
「なんだこれは」
謎の種に手を伸ばしてみた。
すると手に触れた瞬間、強烈な光と共に辺り一面の'闇'をこの謎の種が吸い込み始めた。凄まじい程の強風に煽られ、何度もバランスを崩しそうになる。'闇'を吸い込むにつれて、目の前の謎の種は神々しく光始め、光度が増していった。
そして光に手を差し伸べると、ふと意識が蘇ってきた。
「?!」
目を開けると3つのシミがついた天井が目に入ってきた。いつもの光景だ。
「夢だったのか」
周りを見渡すがいつもと同じ自分の部屋にいた。カーテンの隙間からは太陽の光が暗い部屋へと差し込んでいた。
腕や手を見るが何も変わっていなかったが、全身から汗が噴き出していることに気付いた。
週に3日くらいは夢をはっきりと覚えているが、先程の夢は体験したことのないものだった。幽霊に襲われる夢や崖から落ちる夢とは違い、どこか別の怖さがあった。
重い腰を持ち上げベッドから降りた。
服を着替えるためタンスに歩を進めていった。
そこで服を脱ごうとしたが汗がベットリとくっついてしまっているため中々脱ぐことが出来ない。服を力一杯に引っ張るとどこからかビリッという繊維が破れる音がした。
タンスを開けいつものように白いTシャツに着替え、高校指定のカッターシャツを上から羽織った。そして黒と青のラインが入った制服のズボンを履き、黒の靴下を履いた。
若干カッターシャツにシワが付いていたが構うことなく部屋を出た。
階段を降り1階のリビングに行くと、母親が朝ご飯の支度をしていた。いつものように味噌汁のいい匂いがした。
「あ、おはよー」
母親はこちらに気づくとニコッと微笑んだ。
すでに机にはお碗にご飯が盛られており、白い湯気が天井に向かって昇っていた。
母親が味噌汁を入れたお椀を机に置き話しかけてきた。
「今日は水曜日だけどバイトあるの?」
「あるよ。」
味噌汁を口に含ませながら答えた。いつも同様の味噌汁の味がした。しかし若干、味噌の味が強い気がした。
「だから帰りは22時過ぎごろになるから。」
ご飯を箸で掴むと先程よりも白い湯気が鼻の奥を刺激した。
リビングの奥からは朝のニュース番組の音がしていた。最近話題のアナウンサーが東京の天気の様子を解説していた。そのアナウンサーの話だと今日は雲のち晴れらしい。
テレビ画面の隅に表示されている時間を見ると、7時50分と表示されていた。
自宅から高校までは歩いておよそ30分程かかるため、いつもならそろそろ出かけている時間であった。
ご飯と味噌汁を同時にかきこみ温かいお茶を一気に飲み干した。いつもよりも若干熱く感じたためか、むせ返りそうになった。
早足で水面台まで向かい急いで歯を磨いた。潔癖症であるためいつもは数十分かかけて歯を磨くが、今はそれどころではなかった。
歯を磨き終えると、母親から弁当を受け取り鞄にしまった。
学校指定の靴を履き急いで扉を開けようとすると、後ろから優しい母親の声が聞こえた。
「気をつけて行ってらっしゃい」
その言葉に軽くおう、と返事をし家を出た。
脳に身体を動かすよう指令を送るが全く機能していなかった。しかし、焦りの感情は無く、ただ脱力状態が続いていた。このままどこか分からないところに消えてしまいそうな感覚があった。
辺り一面を見渡しても目の前には'闇'が広がっていた。ここがどこなのかまるで見当がつかなかった。まさに漆黒の闇の呼び名が似合うような空間だった。
ボーッと目の前を見つめていると、微かだが一筋の光が差し込んでいた。脳が指令を送るよりも早く身体が光の方向へと導かれていた。しかし普段のように身体を上手く動かすことができなかった。
一筋の光の目の前に着くと、1センチ程の小さな謎の固体が光り輝いていた。意識が定まらない中、その謎の固体を見ると何かの種であることが分かった。
「なんだこれは」
謎の種に手を伸ばしてみた。
すると手に触れた瞬間、強烈な光と共に辺り一面の'闇'をこの謎の種が吸い込み始めた。凄まじい程の強風に煽られ、何度もバランスを崩しそうになる。'闇'を吸い込むにつれて、目の前の謎の種は神々しく光始め、光度が増していった。
そして光に手を差し伸べると、ふと意識が蘇ってきた。
「?!」
目を開けると3つのシミがついた天井が目に入ってきた。いつもの光景だ。
「夢だったのか」
周りを見渡すがいつもと同じ自分の部屋にいた。カーテンの隙間からは太陽の光が暗い部屋へと差し込んでいた。
腕や手を見るが何も変わっていなかったが、全身から汗が噴き出していることに気付いた。
週に3日くらいは夢をはっきりと覚えているが、先程の夢は体験したことのないものだった。幽霊に襲われる夢や崖から落ちる夢とは違い、どこか別の怖さがあった。
重い腰を持ち上げベッドから降りた。
服を着替えるためタンスに歩を進めていった。
そこで服を脱ごうとしたが汗がベットリとくっついてしまっているため中々脱ぐことが出来ない。服を力一杯に引っ張るとどこからかビリッという繊維が破れる音がした。
タンスを開けいつものように白いTシャツに着替え、高校指定のカッターシャツを上から羽織った。そして黒と青のラインが入った制服のズボンを履き、黒の靴下を履いた。
若干カッターシャツにシワが付いていたが構うことなく部屋を出た。
階段を降り1階のリビングに行くと、母親が朝ご飯の支度をしていた。いつものように味噌汁のいい匂いがした。
「あ、おはよー」
母親はこちらに気づくとニコッと微笑んだ。
すでに机にはお碗にご飯が盛られており、白い湯気が天井に向かって昇っていた。
母親が味噌汁を入れたお椀を机に置き話しかけてきた。
「今日は水曜日だけどバイトあるの?」
「あるよ。」
味噌汁を口に含ませながら答えた。いつも同様の味噌汁の味がした。しかし若干、味噌の味が強い気がした。
「だから帰りは22時過ぎごろになるから。」
ご飯を箸で掴むと先程よりも白い湯気が鼻の奥を刺激した。
リビングの奥からは朝のニュース番組の音がしていた。最近話題のアナウンサーが東京の天気の様子を解説していた。そのアナウンサーの話だと今日は雲のち晴れらしい。
テレビ画面の隅に表示されている時間を見ると、7時50分と表示されていた。
自宅から高校までは歩いておよそ30分程かかるため、いつもならそろそろ出かけている時間であった。
ご飯と味噌汁を同時にかきこみ温かいお茶を一気に飲み干した。いつもよりも若干熱く感じたためか、むせ返りそうになった。
早足で水面台まで向かい急いで歯を磨いた。潔癖症であるためいつもは数十分かかけて歯を磨くが、今はそれどころではなかった。
歯を磨き終えると、母親から弁当を受け取り鞄にしまった。
学校指定の靴を履き急いで扉を開けようとすると、後ろから優しい母親の声が聞こえた。
「気をつけて行ってらっしゃい」
その言葉に軽くおう、と返事をし家を出た。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
いい子ちゃんなんて嫌いだわ
F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが
聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。
おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。
どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。
それが優しさだと思ったの?
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
使い捨て聖女の反乱
あんど もあ
ファンタジー
聖女のアネットは、王子の婚約者となり、瘴気の浄化に忙しい日々だ。 やっと浄化を終えると、案の定アネットは聖女の地位をはく奪されて王都から出ていくよう命じられるが…。 ※タイトルが大げさですがコメディです。
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる