だからウサギは恋をした

東 里胡

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第六章 ユウウツうさぎ

6-5

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「それで、転校先ではどうだったんだ?」

 思い出して黙りこくってしまった私の話を先に進ませてくれようと会長にうながされる。

「私、小学校では四年と六年でも転校してるんですけど、全部ダメでした」
「……ダメ、とは、また」
「あ、いえ、イジメられたとか、そういうのではなくて」

 今度こそ、うまくやろう。そう思うのに、笑えなくなってしまっていた。
 友達が困っていたり悩んでいたりしても、手を貸したり話しかけたりしたら「イイコぶってる」と思われちゃうんじゃないだろうか。
 また、やりすぎて嫌われちゃったりするんじゃないだろうか。
 そう思ったら、誰にも話しかけられないようになってしまった。
 話しかけてくれる人にも、その質問に答えるだけで精一杯だった。
『学校は楽しい?』
 パパやママの質問に、いつも無表情でうなずくだけ。
 その度、困ったような顔をしてる二人にも申し訳なくて、一人で泣いていたこともある。

「うさぎの目って泣きすぎて赤いんだよな」
「はい?」
「今のおまえみたい」

 近づいてきた会長が私の顔に、なにかをあてた。ハンカチ?

「すみません、私、持ってますから」
「いいよ、もう。使っておけ」
「ありがとうございます」

 ホラと手渡してくれたタオルハンカチを目頭に充てて、いつの間にか流れていた涙を吸い込ませる。

「俺が知ってるうさぎは、うるさいくらいしゃべっていて、見かける度に跳ねていて、笑っていた。それしか知らなかったから、気づけなくて悪かったな」

 涙を拭いてポカンと見上げた会長が、困ったような顔をしていた。

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