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侯爵令嬢は悪役だったようです
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「リリア・ヴェルザード嬢との婚約を破棄しようと思う」
学園の卒業式当日、学生のみで開催される卒業パーティー会場での不穏な台詞に、まるで波紋が広まる様に中心から外へと周囲が静まり返る。
わたくし、リリア・ヴェルザードの婚約者であらせられる金の髪に深い青い瞳の整った顔のレオンハルト・ルクレリア殿下の感情を切り離した表情からは何も読み取れない。
以前は学園で生徒会長を務め、文武両道、生徒の模範であらせられた王太子の評判は徐々に落ちる一方である。
レオンハルト様と、将来側近となるべく殿下にお仕えしている宰相の御子息であるシルヴェスト様、騎士団長の御子息のガドウィン様、魔術師団長の御子息のアーシェス様。見目麗しい四人が一人の少女を守るように囲んでいる。
親密さを見せつけるかの様に、少女はレオンハルト様の胸に撓垂れ掛かり、それを囲む側近候補達はわたくしと後ろに控える彼等の婚約者達を睨みつける。
婚約者のいる貴族令息達を侍らかす少女の名前はローズ・グローブ。
ピンク色の髪に金色の瞳の棒、いえ華奢な少女はリボンとフリルとリボンをふんだんに使用した髪色と同じローズピンク色のドレスを身に着けている。
男爵令嬢である彼女は、王族や公爵、侯爵家の彼等をアクセサリーの如く侍らかす身分では決してない。
「リリア・ヴェルザード、貴様はローズに醜い嫉妬から嫌がらせや暴力を普段から奮っていたと聞いている。殿下の婚約者として相応しくない行いを恥じるべきだ。婚約破棄は当然の報いである」
シルヴェスト様がまるで罪状を読み上げるかの様にわたくしの身に覚えがない嫌がらせ行為を挙げてゆきます。
ローズさんに、レオンハルト殿下には相応しくないと罵ったり、教科書を目の前で破いたり、足を出して転ばせようとしたり、頬を叩いた等々。
聞いていて逆に恥ずかしくなる稚拙ないじめの主犯にさせられておりました。
「お言葉ですが、ローズさんに貴族令嬢として恥ずかしくないお振舞いをして頂けるようにと窘めることはありましたが、罵ったり手を上げた事はありませんわ」
他家のご事情を詳しく述べるつもりはございませんが、婚約者のいる男性に撓垂れ掛かるなど、はしたない行いを平然と行えるローズさんはこの学校に入学するまで平民同様の生活を送られていたとお聞きしております。
貴族としての教養、常識やマナーを身につける為に入学されていたとしたら、この一年を無駄にお過ごしになられたとしてもおかしくない様を見せられているのに、この側近候補者達は何故彼女の味方をするのでしょうか。
「ローズは貴族の生活に慣れていない。分かっているのに態々嫌味を言われるのが辛いと嘆いているんだぞ」
ガドウィン様は、わたくしと彼の婚約者で在られるマリアンヌ様を睨まれます。
慣れていないとご存知でしたら、貴方が教えてあげたらよろしかったのに。
中途半端に鍛えられた肉体の割に脳だけは筋肉が詰まっている筋肉の無駄遣いとお噂の無作法なガドウィン様に教えられるのは無理でしょうけど。
「わたくしは、ローズさんの為にお諌めしただけですわ。この学園を出たらご苦労されるのはローズさんですもの」
いくら愛らしいお顔をされているからって貴族の常識を理解していない男爵家の娘を貰ってくれる男性がいるかと心配しての言葉でしたのに彼女には響かなかったのでしょうか?
ローズさんはシェアしているつもりでしょうが、恥じらいもなく自分のお皿の食事を側近候補の三人に、自分のフォークで分け与える姿は、周囲に食べ残しを与える餌付けと見られているのはご存知でしょうか?
それに一年経過して未だに貴族生活に慣れていないとしたら、ローズさんにも問題があるのでないでしょうか?
学園の卒業式当日、学生のみで開催される卒業パーティー会場での不穏な台詞に、まるで波紋が広まる様に中心から外へと周囲が静まり返る。
わたくし、リリア・ヴェルザードの婚約者であらせられる金の髪に深い青い瞳の整った顔のレオンハルト・ルクレリア殿下の感情を切り離した表情からは何も読み取れない。
以前は学園で生徒会長を務め、文武両道、生徒の模範であらせられた王太子の評判は徐々に落ちる一方である。
レオンハルト様と、将来側近となるべく殿下にお仕えしている宰相の御子息であるシルヴェスト様、騎士団長の御子息のガドウィン様、魔術師団長の御子息のアーシェス様。見目麗しい四人が一人の少女を守るように囲んでいる。
親密さを見せつけるかの様に、少女はレオンハルト様の胸に撓垂れ掛かり、それを囲む側近候補達はわたくしと後ろに控える彼等の婚約者達を睨みつける。
婚約者のいる貴族令息達を侍らかす少女の名前はローズ・グローブ。
ピンク色の髪に金色の瞳の棒、いえ華奢な少女はリボンとフリルとリボンをふんだんに使用した髪色と同じローズピンク色のドレスを身に着けている。
男爵令嬢である彼女は、王族や公爵、侯爵家の彼等をアクセサリーの如く侍らかす身分では決してない。
「リリア・ヴェルザード、貴様はローズに醜い嫉妬から嫌がらせや暴力を普段から奮っていたと聞いている。殿下の婚約者として相応しくない行いを恥じるべきだ。婚約破棄は当然の報いである」
シルヴェスト様がまるで罪状を読み上げるかの様にわたくしの身に覚えがない嫌がらせ行為を挙げてゆきます。
ローズさんに、レオンハルト殿下には相応しくないと罵ったり、教科書を目の前で破いたり、足を出して転ばせようとしたり、頬を叩いた等々。
聞いていて逆に恥ずかしくなる稚拙ないじめの主犯にさせられておりました。
「お言葉ですが、ローズさんに貴族令嬢として恥ずかしくないお振舞いをして頂けるようにと窘めることはありましたが、罵ったり手を上げた事はありませんわ」
他家のご事情を詳しく述べるつもりはございませんが、婚約者のいる男性に撓垂れ掛かるなど、はしたない行いを平然と行えるローズさんはこの学校に入学するまで平民同様の生活を送られていたとお聞きしております。
貴族としての教養、常識やマナーを身につける為に入学されていたとしたら、この一年を無駄にお過ごしになられたとしてもおかしくない様を見せられているのに、この側近候補者達は何故彼女の味方をするのでしょうか。
「ローズは貴族の生活に慣れていない。分かっているのに態々嫌味を言われるのが辛いと嘆いているんだぞ」
ガドウィン様は、わたくしと彼の婚約者で在られるマリアンヌ様を睨まれます。
慣れていないとご存知でしたら、貴方が教えてあげたらよろしかったのに。
中途半端に鍛えられた肉体の割に脳だけは筋肉が詰まっている筋肉の無駄遣いとお噂の無作法なガドウィン様に教えられるのは無理でしょうけど。
「わたくしは、ローズさんの為にお諌めしただけですわ。この学園を出たらご苦労されるのはローズさんですもの」
いくら愛らしいお顔をされているからって貴族の常識を理解していない男爵家の娘を貰ってくれる男性がいるかと心配しての言葉でしたのに彼女には響かなかったのでしょうか?
ローズさんはシェアしているつもりでしょうが、恥じらいもなく自分のお皿の食事を側近候補の三人に、自分のフォークで分け与える姿は、周囲に食べ残しを与える餌付けと見られているのはご存知でしょうか?
それに一年経過して未だに貴族生活に慣れていないとしたら、ローズさんにも問題があるのでないでしょうか?
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