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最終話君は私のもの。-ケルヴィン視点-
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隣国から帰ってきた日に
早速父王のもとに訪れて
今回の成果を報告した。
そしてその成果が認められて
この度やっとユーフォリアを
自分の腕の中に取り戻す事ができた。
留学の間、色々ユーフォリアには
心配をかけさせてきた。
最初は呑気に構えていたが
段々とこのままではいつまでたっても
帰れないのではないかと思うようになった。
なかなか上手く交渉できずに
1年が経ち、残りの2年で
成果を挙げなければ
私はユーフォリアを諦めなければ
ならなかった。
それは弟のアルヴィンと
約束したことがあったから。
"3年以内に兄上が帰らなければ本当にユーフォリアを自分の妻に迎えます。"
隣国に出向く前の日の夜。
夕食後に私の部屋に訪れた
アルヴィンはいつになく真剣な表情で
そう私に告げた。
それは紛れもなく嘘偽りのない決意だった。
その時は3年どころか1年…
せめて2年以内に帰るつもりだったから
余裕の笑みでユーフォリアを
渡すつもりはないと応えた。
アルヴィンの気持ちは幼い頃から
ずっと知っていた。
私がユーフォリアに向ける気持ちを
同じようにアルヴィンも向けていたから
それはすぐに気づいた。
私と違ってアルヴィンは
社交性はあまりよくない。
王子でありながら他人には
とことん冷たいところがある。
そんな彼が唯一優しく接していたのが
ユーフォリアだけだったのだ。
歳も私より近い二人だ。
ユーフォリアも私に対する態度より
アルヴィンに対する態度のほうが
圧倒的に砕けていた。
私はそれが悔しかった。
アルヴィンは一見冷たく見えるが
実際は私よりも純粋で
中身は誰よりも優しい。
自分の幸せよりユーフォリアの幸せを
第1に考える。
…わかっている。
ユーフォリアにはアルヴィンのほうが
釣り合っている。
いつもユーフォリアを第1に考え支え
そして寄り添い優しく隣に立つのが
アルヴィンだ。
だから本当は私の方が退くべきなのだと。
…ユーフォリアが本当に好きなのは
アルヴィンなのだと。
ユーフォリアは自分の気持ちに
気づいていない。
いつもどこにいても誰といても
ユーフォリアはアルヴィンのことを
よく話す。
とても楽しそうに。
ユーフォリア自身はアルヴィンが
弟のような存在だからだと言うが
果たしてそれだけなのだろうか。
留学の間にユーフォリアから
届いた手紙の内容がいつもアルヴィンのことばかりだった。
このままではアルヴィンに
取られるのではないか?
焦った私は一刻も早く
成果を上げるために精進した。
寝る間も惜しんで隣国の王族に
気に入られるように社交場に
何度も足を運んだり
何度も交渉のテーブルについたり
朝から晩まで忙しくしていたら
ユーフォリアに手紙を書く時間が
なくなっていた。
それでも期限内に帰るのを
私は優先してしまった。
帰ってきた時
ぽろぽろ、ぽろぽろと涙を流して
寂しさを前面に押し出した
ユーフォリアをみて後悔した。
一番大切にするべきユーフォリアとの
時間を蔑ろにしてたんだ。
でも3年も待ち続けてくれていたことが
嬉しかった。
アルヴィンではなく私の手を取ってくれたことが嬉しかった。
これからは一生をかけて
ユーフォリアを大切に真綿に包むように
幸せにするよう心に誓う。
私はアルヴィンより優しくない。
ユーフォリアの幸せよりも
ユーフォリアの隣に立つことを
私は優先する。
ユーフォリアが本当の自分の気持ちに
気づく前に私のものにした。
ユーフォリアは渡さない。
可憐な花が蕾のまま
へし折るように………。
執務室の机に向かって書類を
整理しているとトントンと扉が叩かれる。
「入れ。」
視線を書類に向けたまま近く
入室の許可をだす。
「兄上。」
「アルか。どうした?」
入ってきたのがアルヴィンだと知り
持っていた書類を机に置いて
立ち上がりソファに向かって腰掛けた。
アルヴィンも同じように自分の前に
ゆっくりと腰を下ろす。
「兄上にはしてやられましたね。」
長い足を組みながら膝の上で手を組み
苦笑いにアルヴィンが言う。
「何のことだ?」
ニヤリと笑って答えると
はぁーと大きく盛大にため息を突かれる。
「メリヤ男爵令嬢のことですよ。男爵達を唆したのは兄上ですよね。」
やはり聡いアルヴィンのことだ。
「何のことだろうか。アルヴィン?」
「‥兄上も人が悪すぎる。」
目を細めてジトリと睨まれるが
一切何も話すつもりはない。
アルヴィンもそれに気づいているはずだが
言わずにはいられなかったのだろう。
もう一度ため息をついた後
組んだ足を解いて真剣な眼差しになった。
「ユーフォリアを必ず幸せにしてくださいね。」
「当たり前だ。私が私の一生をかけて必ず守り幸せにすると誓う。私の命にかえてもな。」
「それを聞いて俺も少しは前に進めそうです。」
そうフワリと微笑んだ
アルヴィンの顔は少しばかり
哀しみを帯びていた。
(すまないなアルヴィン。ユーフォリアだけはどうしても譲れないんだ。)
「兄上。今日は俺にとことん付き合ってくださいね。」
そう言ってグラスを持つ仕草をとるので
ああ。と小さく答えてから
二人して執務室を後にした。
アルヴィンの優しさに漬け込んで
ユーフォリアの鈍感さに甘えて。
私はなんとも愚かな男だ。
そんな申し訳ない気持ちを抱えつつ
今日はアルヴィンの傷心にとことん
付き合おうと思った。
私の愛する二人は
私のせいで真実の愛にたどり着くことが
出来なかったが
代わりに私は二人をいつまでも
変わらぬ愛で守り続けていく。
fin
早速父王のもとに訪れて
今回の成果を報告した。
そしてその成果が認められて
この度やっとユーフォリアを
自分の腕の中に取り戻す事ができた。
留学の間、色々ユーフォリアには
心配をかけさせてきた。
最初は呑気に構えていたが
段々とこのままではいつまでたっても
帰れないのではないかと思うようになった。
なかなか上手く交渉できずに
1年が経ち、残りの2年で
成果を挙げなければ
私はユーフォリアを諦めなければ
ならなかった。
それは弟のアルヴィンと
約束したことがあったから。
"3年以内に兄上が帰らなければ本当にユーフォリアを自分の妻に迎えます。"
隣国に出向く前の日の夜。
夕食後に私の部屋に訪れた
アルヴィンはいつになく真剣な表情で
そう私に告げた。
それは紛れもなく嘘偽りのない決意だった。
その時は3年どころか1年…
せめて2年以内に帰るつもりだったから
余裕の笑みでユーフォリアを
渡すつもりはないと応えた。
アルヴィンの気持ちは幼い頃から
ずっと知っていた。
私がユーフォリアに向ける気持ちを
同じようにアルヴィンも向けていたから
それはすぐに気づいた。
私と違ってアルヴィンは
社交性はあまりよくない。
王子でありながら他人には
とことん冷たいところがある。
そんな彼が唯一優しく接していたのが
ユーフォリアだけだったのだ。
歳も私より近い二人だ。
ユーフォリアも私に対する態度より
アルヴィンに対する態度のほうが
圧倒的に砕けていた。
私はそれが悔しかった。
アルヴィンは一見冷たく見えるが
実際は私よりも純粋で
中身は誰よりも優しい。
自分の幸せよりユーフォリアの幸せを
第1に考える。
…わかっている。
ユーフォリアにはアルヴィンのほうが
釣り合っている。
いつもユーフォリアを第1に考え支え
そして寄り添い優しく隣に立つのが
アルヴィンだ。
だから本当は私の方が退くべきなのだと。
…ユーフォリアが本当に好きなのは
アルヴィンなのだと。
ユーフォリアは自分の気持ちに
気づいていない。
いつもどこにいても誰といても
ユーフォリアはアルヴィンのことを
よく話す。
とても楽しそうに。
ユーフォリア自身はアルヴィンが
弟のような存在だからだと言うが
果たしてそれだけなのだろうか。
留学の間にユーフォリアから
届いた手紙の内容がいつもアルヴィンのことばかりだった。
このままではアルヴィンに
取られるのではないか?
焦った私は一刻も早く
成果を上げるために精進した。
寝る間も惜しんで隣国の王族に
気に入られるように社交場に
何度も足を運んだり
何度も交渉のテーブルについたり
朝から晩まで忙しくしていたら
ユーフォリアに手紙を書く時間が
なくなっていた。
それでも期限内に帰るのを
私は優先してしまった。
帰ってきた時
ぽろぽろ、ぽろぽろと涙を流して
寂しさを前面に押し出した
ユーフォリアをみて後悔した。
一番大切にするべきユーフォリアとの
時間を蔑ろにしてたんだ。
でも3年も待ち続けてくれていたことが
嬉しかった。
アルヴィンではなく私の手を取ってくれたことが嬉しかった。
これからは一生をかけて
ユーフォリアを大切に真綿に包むように
幸せにするよう心に誓う。
私はアルヴィンより優しくない。
ユーフォリアの幸せよりも
ユーフォリアの隣に立つことを
私は優先する。
ユーフォリアが本当の自分の気持ちに
気づく前に私のものにした。
ユーフォリアは渡さない。
可憐な花が蕾のまま
へし折るように………。
執務室の机に向かって書類を
整理しているとトントンと扉が叩かれる。
「入れ。」
視線を書類に向けたまま近く
入室の許可をだす。
「兄上。」
「アルか。どうした?」
入ってきたのがアルヴィンだと知り
持っていた書類を机に置いて
立ち上がりソファに向かって腰掛けた。
アルヴィンも同じように自分の前に
ゆっくりと腰を下ろす。
「兄上にはしてやられましたね。」
長い足を組みながら膝の上で手を組み
苦笑いにアルヴィンが言う。
「何のことだ?」
ニヤリと笑って答えると
はぁーと大きく盛大にため息を突かれる。
「メリヤ男爵令嬢のことですよ。男爵達を唆したのは兄上ですよね。」
やはり聡いアルヴィンのことだ。
「何のことだろうか。アルヴィン?」
「‥兄上も人が悪すぎる。」
目を細めてジトリと睨まれるが
一切何も話すつもりはない。
アルヴィンもそれに気づいているはずだが
言わずにはいられなかったのだろう。
もう一度ため息をついた後
組んだ足を解いて真剣な眼差しになった。
「ユーフォリアを必ず幸せにしてくださいね。」
「当たり前だ。私が私の一生をかけて必ず守り幸せにすると誓う。私の命にかえてもな。」
「それを聞いて俺も少しは前に進めそうです。」
そうフワリと微笑んだ
アルヴィンの顔は少しばかり
哀しみを帯びていた。
(すまないなアルヴィン。ユーフォリアだけはどうしても譲れないんだ。)
「兄上。今日は俺にとことん付き合ってくださいね。」
そう言ってグラスを持つ仕草をとるので
ああ。と小さく答えてから
二人して執務室を後にした。
アルヴィンの優しさに漬け込んで
ユーフォリアの鈍感さに甘えて。
私はなんとも愚かな男だ。
そんな申し訳ない気持ちを抱えつつ
今日はアルヴィンの傷心にとことん
付き合おうと思った。
私の愛する二人は
私のせいで真実の愛にたどり着くことが
出来なかったが
代わりに私は二人をいつまでも
変わらぬ愛で守り続けていく。
fin
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