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4.好奇心と行動力のバケモノ
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「で、今日は何の活動なんすか?」
「ふぃふぁふぃふぁ」
「栄養バー食ってないで」
放課後。文芸部部室。
いつも以上に雑多なものが散らばった中心で久野が手を動かしていた。
部長たる彼を取り囲んでいるのは大きなバッグに携行食、暖かそうな上着にゴツい靴。
「……雪山に行こうとしてます?」
「せいかーい」
一本満腹とパッケージに書かれた栄養バーを飲み込んだ久野が、いつものポーカーフェイスで親指を立てた。
「言いたいことは色々あるっすけどね」
知らないうちに取り返しのつかない状況になっていた三上は腕組みをし細く息を吐いて。
「ここ文芸部! どうしても登りたいと言うのなら山岳部に名前を変えてきてください!」
「それは駄目だ。危険だからインストラクターが必要になってお金がかかる。即ち部の申請が通りにくくなる」
「危険度は文芸部のままでも変わんないんすけど?」
「三上、どうして僕が文芸部を創設したかわかるか? 常に顧問がいる必要がなく、申請がカンタンで監視の目が無いからだよ」
「この部作ったの部長だったんすか」
「放課後に拠点となる部室が欲しくて」
久野は結局一本では腹を満たせなかったのかもう一本栄養バーを剥きながら。
「どうせ三上も文芸活動がしたくて入部したクチじゃないだろ」
「部長の顔目当てです」
「相変わらず清々しいね君は。ということで今日の文芸部の活動は五月の雪山登り。どんどんぱふぱふ~」
「せめて文芸部としての建前はつけてください」
「仕方ないなあ。じゃあ文芸創作のためのアルプス山脈取材にしよう」
「アルプス山脈まで行くつもりなんすか?」
アルプス山脈はヨーロッパにまたがる山々である。日本から飛行機で実に21時間余りの旅路だ。
「まだ飛行機は取ってないが何とかなるだろ。地図帳を眺めてたら行ってみたくなったんだ。部室に登山グッズを放置しといて良かった」
「好奇心と行動力のバケモノを野放しにするとこうなるのかぁ」
「言い得て妙だね、文芸部という隠れ蓑を手にした僕はもう誰にも止められない」
「全国の文芸部に謝って欲しい発言すね」
「三上も来たいなら来ていいよ。部員だしね」
久野は荷造りの手を止めず、まるで近所のコンビニにでも行くように声をかけた。
「えっ」
「え?」
「一緒行っていいんすか」
「いいけど。自分で言っておいて何だが無理じゃないか?」
先述した通り日本からアルプス山脈までは21時間余りかかる。交通費もピンキリだが当然高校生がポンと出せる金額ではない。
「いやだって……部長と山を登って帰るまで同じ屋根の下ってことじゃないですか、そんなのプライスレスですよ、行きます」
「そのプライスレス、交通費と宿泊費と現地の費用入ってるけど大丈夫か?」
三上が口を閉じた。
「スイスから入るつもりだけど、スイスは特に物価高いぞ」
「ぐっ……」
「そもそも三上、パスポート持ってる?」
「ぐぅ……」
「ぐうの音を言う人は初めて見た」
三上は頭を抱えて。
「……よし、よし、部長の計画を全力で阻止する方向にシフトしよう。部長が帰ってくるまで部長の顔を見れないなんて人生の損失だ」
「君ほんと僕の顔好きだなぁ」
その間にも久野は着々と登山の用意を進めていた。
「部長、スイスの山では500人が死亡している危険なところもありますよ、やめましょう」
「承知の上だよ。元より登頂は目指してない。最悪ふもとで引き返すつもりだ。僕はライト層なものでね」
「部長、出席は大丈夫なんですか」
「最悪でも留年だろ。良かったね、僕と居られる時間が増えるよ、三上」
「ぐ、っうぅ~……!」
「思ったよりネタ切れが早かったな」
久野はスマホで飛行機の予約サイトを開いている。
「……くそ、こうなったら……! 待っててください! 五分待って! まだ飛行機の予約は入れないでください!」
「面白いじゃないか、受けて立とう。僕の好奇心を止められる人間はそうそういないぞ」
教室を飛び出して行った三上。
腕組みで余裕綽々のボスムーブをした久野だったが、次第に飽きて来たのか鞄から文庫本を取り出し読み始めた。
「ハァ……ハァ……待たせましたね、部長、でもこれで貴方の野望は終わりですよ」
「ちょっと待って三上、もう少しで探偵の推理が始まりそうなんだ」
「飽きてるじゃないすか」
けっきょく活字の中で思わせぶりな言動をした探偵は推理を先延ばしにし、久野は本を閉じた。
「……で? 何だっけ、ああそうだ、僕のスイス行きを止めるんだっけ?」
「締まんないな~……」
三上はやや肩を落としながら。
「ともあれ呼んで来ましたよ」
「呼んで? 誰を」
三上の背後、部室の扉の前に待機していたのは耳から長めのピアスを下げた男子生徒。
氷月律だ。
「選択を誤ったね三上。 りっくんは僕を説得する大変さを一番理解しているんだ、諦めるのは君の方だよ」
「しぃちゃん、どうやら後輩の子を困らせてるようだね?」
「……りっくん? なんか顔怖くない? 君はわかってるよね、僕の好奇心がいかに強いのか」
じりじりと歩み寄る氷月。
にじり後ろに退がる久野。
「勿論知っているとも。知っているけれど。ね」
「何だ。怖いな」
「しぃちゃん実はもう飽いて来てるだろう。わざわざ雀居くんの帰りを待っているのがその証拠だ」
「やめろ、寄ってくるな。お前背ぇ高いから圧があるんだよ」
「それよりも……もっと楽しいことをしよう」
氷月が黒く鈍い光を放つ装置を振り翳す!
「これで、勝負だ。しぃちゃん」
「……ふふ、ハハハ! 面白い! りっくんが僕にそういう勝負を挑んでくるとは! 暴力は嫌うんじゃなかったか? 昔は僕にコテンパンにされていたのにな?」
不敵に笑い声を上げた久野も同じく片手に己の武器を持ち上げる。
ちなみに表情筋の死に絶えた久野の顔面は喝采を上げてもなお仏頂面をつらぬき、完璧に悪役のそれであった。
両者の間に流れるのは歴戦の猛者と同等の緊張感、そして高揚感。
「……いや先輩方、撃ち合いみたいに構えてますけどゲーム機ですよね」
「しぃちゃんが昔ハマっていた対戦格闘ゲームの新作が出たんだ。試合では負けたとしても勝負だけは勝たせてもらうよ」
「……飛行機の中でするつもりだったんだけど」
「ほらほら。今日のところは大人しく私とゲームしようじゃないか。しぃちゃんのことだからいつかアルプス山脈には行くんだろうけど、もう少しちゃんとした用意をしてからにしな」
「…………仕方ないな」
言うが早いか久野はもうカセットをゲーム機に挿している。
「雀居くんも観戦しておいで。しぃちゃんの集中力から繰り出されるコンボは凄いよ」
「ほんとすか? 見たい見たい。……で、どっちにしろ文芸部っぽい活動はしないんすね」
三上が入部してから約一ヶ月。いまだに一文字も創作をしていない文芸部部室で、ゲームのタイトルコールが流れた。
「ふぃふぁふぃふぁ」
「栄養バー食ってないで」
放課後。文芸部部室。
いつも以上に雑多なものが散らばった中心で久野が手を動かしていた。
部長たる彼を取り囲んでいるのは大きなバッグに携行食、暖かそうな上着にゴツい靴。
「……雪山に行こうとしてます?」
「せいかーい」
一本満腹とパッケージに書かれた栄養バーを飲み込んだ久野が、いつものポーカーフェイスで親指を立てた。
「言いたいことは色々あるっすけどね」
知らないうちに取り返しのつかない状況になっていた三上は腕組みをし細く息を吐いて。
「ここ文芸部! どうしても登りたいと言うのなら山岳部に名前を変えてきてください!」
「それは駄目だ。危険だからインストラクターが必要になってお金がかかる。即ち部の申請が通りにくくなる」
「危険度は文芸部のままでも変わんないんすけど?」
「三上、どうして僕が文芸部を創設したかわかるか? 常に顧問がいる必要がなく、申請がカンタンで監視の目が無いからだよ」
「この部作ったの部長だったんすか」
「放課後に拠点となる部室が欲しくて」
久野は結局一本では腹を満たせなかったのかもう一本栄養バーを剥きながら。
「どうせ三上も文芸活動がしたくて入部したクチじゃないだろ」
「部長の顔目当てです」
「相変わらず清々しいね君は。ということで今日の文芸部の活動は五月の雪山登り。どんどんぱふぱふ~」
「せめて文芸部としての建前はつけてください」
「仕方ないなあ。じゃあ文芸創作のためのアルプス山脈取材にしよう」
「アルプス山脈まで行くつもりなんすか?」
アルプス山脈はヨーロッパにまたがる山々である。日本から飛行機で実に21時間余りの旅路だ。
「まだ飛行機は取ってないが何とかなるだろ。地図帳を眺めてたら行ってみたくなったんだ。部室に登山グッズを放置しといて良かった」
「好奇心と行動力のバケモノを野放しにするとこうなるのかぁ」
「言い得て妙だね、文芸部という隠れ蓑を手にした僕はもう誰にも止められない」
「全国の文芸部に謝って欲しい発言すね」
「三上も来たいなら来ていいよ。部員だしね」
久野は荷造りの手を止めず、まるで近所のコンビニにでも行くように声をかけた。
「えっ」
「え?」
「一緒行っていいんすか」
「いいけど。自分で言っておいて何だが無理じゃないか?」
先述した通り日本からアルプス山脈までは21時間余りかかる。交通費もピンキリだが当然高校生がポンと出せる金額ではない。
「いやだって……部長と山を登って帰るまで同じ屋根の下ってことじゃないですか、そんなのプライスレスですよ、行きます」
「そのプライスレス、交通費と宿泊費と現地の費用入ってるけど大丈夫か?」
三上が口を閉じた。
「スイスから入るつもりだけど、スイスは特に物価高いぞ」
「ぐっ……」
「そもそも三上、パスポート持ってる?」
「ぐぅ……」
「ぐうの音を言う人は初めて見た」
三上は頭を抱えて。
「……よし、よし、部長の計画を全力で阻止する方向にシフトしよう。部長が帰ってくるまで部長の顔を見れないなんて人生の損失だ」
「君ほんと僕の顔好きだなぁ」
その間にも久野は着々と登山の用意を進めていた。
「部長、スイスの山では500人が死亡している危険なところもありますよ、やめましょう」
「承知の上だよ。元より登頂は目指してない。最悪ふもとで引き返すつもりだ。僕はライト層なものでね」
「部長、出席は大丈夫なんですか」
「最悪でも留年だろ。良かったね、僕と居られる時間が増えるよ、三上」
「ぐ、っうぅ~……!」
「思ったよりネタ切れが早かったな」
久野はスマホで飛行機の予約サイトを開いている。
「……くそ、こうなったら……! 待っててください! 五分待って! まだ飛行機の予約は入れないでください!」
「面白いじゃないか、受けて立とう。僕の好奇心を止められる人間はそうそういないぞ」
教室を飛び出して行った三上。
腕組みで余裕綽々のボスムーブをした久野だったが、次第に飽きて来たのか鞄から文庫本を取り出し読み始めた。
「ハァ……ハァ……待たせましたね、部長、でもこれで貴方の野望は終わりですよ」
「ちょっと待って三上、もう少しで探偵の推理が始まりそうなんだ」
「飽きてるじゃないすか」
けっきょく活字の中で思わせぶりな言動をした探偵は推理を先延ばしにし、久野は本を閉じた。
「……で? 何だっけ、ああそうだ、僕のスイス行きを止めるんだっけ?」
「締まんないな~……」
三上はやや肩を落としながら。
「ともあれ呼んで来ましたよ」
「呼んで? 誰を」
三上の背後、部室の扉の前に待機していたのは耳から長めのピアスを下げた男子生徒。
氷月律だ。
「選択を誤ったね三上。 りっくんは僕を説得する大変さを一番理解しているんだ、諦めるのは君の方だよ」
「しぃちゃん、どうやら後輩の子を困らせてるようだね?」
「……りっくん? なんか顔怖くない? 君はわかってるよね、僕の好奇心がいかに強いのか」
じりじりと歩み寄る氷月。
にじり後ろに退がる久野。
「勿論知っているとも。知っているけれど。ね」
「何だ。怖いな」
「しぃちゃん実はもう飽いて来てるだろう。わざわざ雀居くんの帰りを待っているのがその証拠だ」
「やめろ、寄ってくるな。お前背ぇ高いから圧があるんだよ」
「それよりも……もっと楽しいことをしよう」
氷月が黒く鈍い光を放つ装置を振り翳す!
「これで、勝負だ。しぃちゃん」
「……ふふ、ハハハ! 面白い! りっくんが僕にそういう勝負を挑んでくるとは! 暴力は嫌うんじゃなかったか? 昔は僕にコテンパンにされていたのにな?」
不敵に笑い声を上げた久野も同じく片手に己の武器を持ち上げる。
ちなみに表情筋の死に絶えた久野の顔面は喝采を上げてもなお仏頂面をつらぬき、完璧に悪役のそれであった。
両者の間に流れるのは歴戦の猛者と同等の緊張感、そして高揚感。
「……いや先輩方、撃ち合いみたいに構えてますけどゲーム機ですよね」
「しぃちゃんが昔ハマっていた対戦格闘ゲームの新作が出たんだ。試合では負けたとしても勝負だけは勝たせてもらうよ」
「……飛行機の中でするつもりだったんだけど」
「ほらほら。今日のところは大人しく私とゲームしようじゃないか。しぃちゃんのことだからいつかアルプス山脈には行くんだろうけど、もう少しちゃんとした用意をしてからにしな」
「…………仕方ないな」
言うが早いか久野はもうカセットをゲーム機に挿している。
「雀居くんも観戦しておいで。しぃちゃんの集中力から繰り出されるコンボは凄いよ」
「ほんとすか? 見たい見たい。……で、どっちにしろ文芸部っぽい活動はしないんすね」
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