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「企み」
数年後のある夜、
「のう覚えているか?お主と祠の前で出逢った日の事を……」
突然そんなことを問いかけてきた彼に驚く。
「もちろん忘れませんよ。あなたに出会った日ですから」
懐かしい思い出を呼び起こされたことで胸が熱くなったが次の言葉で凍りつくこととなる。
「…それこそが我の思惑通りだったとしたら?」
「えっ……?」
呆然としていると彼は楽しげに語り始めた。
「お主の身体には人間の血が混じっているが故に我らの眷属として迎え入れることは叶わない……だから内側から変えていこうと思ってな」
「…あの鳥居をくぐった祠での出会いも偶然ではなかったということですか?」
戸惑いながら尋ねると蛇神は薄く笑みを浮かべる。
「そうとも言えるが正確には少し違う。あの場所を選んだのは確かだが、お主が来るかどうかは賭けだった」
彼は窓辺に立ち星空を見上げる。
「龍脈の流れを変え人間界との境界を一時的に曖昧にした結果、お主が選ばれた」
その言葉に背筋が凍る。つまり彼は—
「儀式を行ったのだ。次の贄となるべき人間を呼び寄せるためのな?上手く成功してくれて本当良かった」
「贄…?、儀式…?」
「そう怖がらなくてよい。今となっては必要な儀式だった」
彼はそっと私の手を取り続けた。
「我の子孫を残すために純粋な人間の魂が必要だったのだ。幸いお前は適任じゃった」
「だから私を選んだのですね……」
沈黙が訪れる。彼の真意を測りかねていた。
「そうだ、だが勘違いするな。今は心からお主愛しておる」
その言葉は真剣そのものだった。
「お主が約束を忘れ逃げようとした時どれほど絶望したことか……」
握られた手に力が込められる。
「だがもう…二度と逃がしはせぬぞ……」
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