「夏の日に祠で出会った神様と、永遠に一緒に生きていくことになりました」

ねころび天青

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      「永遠」




 朝、目を覚ますと隣には愛する夫の姿があった。
 昨晩の疲れもあり少し寝坊してしまったようだが不思議と清々しい気持ちで満たされている。



「おはようございます」



 まだ眠そうな目を擦りながら挨拶すると蛇神もまた微笑み返してくれる。



「お早う。昨夜は少々無理をさせてしまったな、体は平気か…?」



 その言葉に昨夜の出来事を思い出し顔が熱くなるが嫌悪感など全くない。
 むしろ愛されている実感が得られる喜びの方が大きかった。



「全然平気ですよ。あなたが幸せなら私も幸せだから……」



 照れくさそうに答える彼女を見て蛇神は満足げに頷いた。



 その後二人は子供と共に簡単な食事を摂りながら他愛ない会話を交わした。



 それは日常の一コマでありながら何よりも尊い時間であった。



 庭で遊ぶ子供を見ながら、「今日は何をしましょうか」と提案する彼女に対し蛇神はしばらく考え込む素振りを見せてから答えた。



「何もせんでよい」



「え?」



 驚いた様子で聞き返す彼女に向かい微笑みかける。



「今日は一日中こうして過ごすのも良いではないか」



 そう言って彼女の手を取り握りしめる。



「あっ……はい!」



 嬉しさで満ち溢れた表情で握り返す。
 それを見届けてから蛇神は再び彼女を抱き寄せた。



「お主たちと共に在れることこそ最大の幸福だ」



 その言葉には嘘偽りなど一切感じられない。
 二人の想いが通じ合い深く結びついた証明でもあった。



「私も同じ気持ちです」



 温かい温もりに包まれながら彼女は目を閉じる。
 そして改めて思うのであった。



(やっぱりこの人の妻になれて良かった……)



 これから先どんな困難や試練が待ち受けていようと乗り越えていけるという確信を持つことができたからである。



 そしてその思いは未来永劫変わることはないだろうと思えた。











 小さな寝息が聞こえる。




 夫の腕の中で、子は安心したように眠っていた。




 その光景を見ているだけで胸がいっぱいになる。





「私は幸せです。




 夫と子に恵まれ、愛する人と共に生きられる。




 これ以上何を望むことがあるでしょう。




 ……私は幸せです。ずっと、これからも。




 ――ね?」





「……あぁ。お主は幸せだ。」





         
  

  

    そう笑ったのは、誰だったのだろう





     本当に幸福だったのか

      
   


     それを知るのは蛇神だけ…

      




   ………「めでたし、めでたし」
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