ドラゴン・クロニクル

42神 零

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異界者召喚篇

08:俺達の絆はその程度の問題で壊れるわけねぇだろうが!!

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二日後
アグザリオ王国・王城内部




ドラゴンがアグザリオ王国を襲撃してから二日が経った。

破壊された建築物数十件、重傷者数百名、死者五十名近くと犠牲を払ったものの、第一防衛線を張っていた数多の騎士団とギルド要員の活躍により最小限に収まった。



「騎士兵団、そしてギルドの者達よ。此度こたびの活躍に感謝する」



もちろん、この国の王【カイン=アグザリオ】は彼らを感謝している。

犠牲を払ったものの、壊滅、全滅にまでは陥らなかったことを、命を賭して自分を、民を、そしてこの街を守り抜いたことに、王はただ感謝の言葉を口する。

口にする、のだが。
王が何よりも気になっているのが、報告にあるという存在だった。

いやカイン王だけではない。
王妃、王女、王子含む、全ての王族がその黒く輝く鋼鉄の巨人に興味を示し、その正体がなんなのか、まだかまだかと報告を待つ。

そう、待っているのだ。
その黒く輝く鋼鉄の巨人の所有者である、竜也の目覚めを。

いや彼らだけではない。
カリンも、蓮も、竜也が目を覚ますのを待つ。

ここは王城。
王族と彼らを守る騎士団のみが行き来出来る、市民では絶対に通れない領域である。

だが例外はある。
例えるなら、王が人に興味を示し、その者をこの場に招き入れる、と言った具合だろう。











同刻
アグザリオ王国・王城客室内



「んぁ…?」



竜也は目を覚ました。
特にこうと言った理由はない、単に深い眠りから覚ましただけで嫌な夢を見て起きたという訳では無い。

ただ体のあちこちが痛むのかゆっくりと上体を起こして周囲を見渡すと全く見なれない場所にたどり着いた。

床と天井、壁が大理石で出来ており、腰下から広がっているふかふかと暖かく寝心地が良いベッド。




…そしてその隣には椅子が設置してあり、竜也に寄りかかるような形で髪が整っていない少年が横たわっていた。



「っ…れ、蓮か?」



一瞬誰だと驚いたが、髪色を含む見た事がある後頭部を見て竜也はすぐに兄弟分の名を呼ぶ。

とは言え、名前を呼んだところで起きる気配がない。

恐らくだが、竜也が起きるまで蓮が看病でもしていたのだろう。



「なぁおい、蓮。起きろ」

「んぁ…あと…半世紀…」



仕方ないので肩に手を乗せるとゆさゆさと揺らして起こすことにした。

だが蓮は起きない。
むしろネタで言ってるのか、とんでもない時間まで寝ようとしている。

そんな蓮に竜也は小さく笑うと腕を伸ばし、両手を重ねて思い切って振りかぶった。




_パァンッ!!

「どわあぁっ!?」



それを思い切って再び重ね、大きな音を立てながら手を叩くと驚きのあまり蓮が飛び上がり、椅子から派手に転げ落ちた。

誰だって驚くだろう。
気持ちよく寝てる最中に突然耳元で大きな音と共に手を叩かれるなど、驚くしかない。



「な、なんだぁ!?」

「はっはっはっは!!相変わらず寝起きに弱いな、蓮!!」



ベッドに手を掛けて、目を見開きながらキョロキョロと首を左右に振って状況を確認する蓮。

対して竜也は蓮のリアクションが面白かったのか、怪我をしているにも関わらず腹を抱えて大笑いをする。

なんとも微笑ましい光景だろうか。
…まぁ、蓮からしたら驚きのあまり心臓に悪いが。



「お、おい!!竜也!!テ、テメェがおこ、起こしたのか!?」

「俺以外に誰がいるんだよ?兄弟」



垂れていたヨダレを大急ぎで拭き取りると、蓮は顔を赤くしながら竜也を睨みつけるが、それよりも再会が喜ばしいのか竜也は満面な笑みを見せる。

さらに恥ずかしくなったのか、蓮は軽めにポカポカと竜也を殴り、竜也は苦笑いしながら「やめろよ」と一言だけ呟く。



「ったく…。…でも、お前が無事でよかったよ、相棒」



それがしばらく続くと安心したのか、蓮は殴っていた腕を止め、竜也の胸に抱き着いてきた。

顔を赤くしているが、そんなの関係ない。
竜也は戸惑いながらも抱きしめてくる蓮を受け止めて整っていない頭を撫で始めた。






「まぁ、心配かけて悪かっ…」

「…ん?おいどうしたんだ?固まって」



ここで竜也。
蓮に抱き締められて違和感を感じる。

それは胸。
何か、とは言わないが…柔らかいものが二つくっ付いてるのがわかる。



(あ、あれ…。蓮って…男、だよな?でも何で…?)



不思議そうに上目遣いをしてくる蓮に対し、竜也は自分一人の考察に入る。

突然固まった竜也が気になるのか、蓮は「おーい」と声をかけて目の前で手を振り、反応を待つが集中しているのかノーリアクションである。



(い、いやでも確かによくよく考えてみれば…蓮って男の割には小柄で、髪の毛も多いし、小顔で中性的だ。それに声のキーも少し高いし…)



…………。
竜也は考えれば考えるほど変な汗が流れるのを感じる。

相変わらず蓮は竜也の反応を待っているのか、手を振るだけではなく手を叩いて猫騙しをするようになったが、深く考えている竜也には届かなかった。



(で、でもでも、そんなはずは無い。蓮とは三年の付き合いだぞ?しかもこいつ男の制服着込んでるし…絶対にありえるわけが…)




「おい竜也!!」

「うおっ!?」



ここで竜也、深い考察から目を覚ます。
気がつけば蓮との距離が近い。

ただ蓮は恥ずかしくないようで真っ直ぐと綺麗な瞳で竜也の目を合わせる。



「おいどうしたんだよ?急にボーッとして…」



一瞬目が点になったが、ハッと我に返り、竜也は蓮の肩に手を掛けて、自分が思ったことをはっきりと喋ろうとする。

蓮は「へ?」と間の抜けた声を上げるが、真剣な表情をしている竜也がなにか喋るんじゃないかと察したのか、ただ耳を傾けるだけで何もしない。

そして竜也は口を震わせながら、ゆっくりと口を開く。






「な、なぁ…蓮。………お前、まさか…か?」

「っ!!?」



突然の質問。
ただ単に、誰でも答えられるような質問だが、それを聞いた蓮は肩をビクッと跳ね上がると目を逸らし始めた。

…誰がどう見ても図星だ。
信じられないが、である。

そんなこと、蓮のリアクションを見てもわかっていた。

分かっていたが、竜也は蓮本人の答えが聞きたいらしく、何も言わないでただ蓮の答えを待つ。



「どう…なんだ…?」

「………っ」



緊張しながらも竜也は優しく蓮に訊ねる。
対して蓮は目をグルグルと回し、顔を赤くしながら恥ずかしそうにしていた。

だがもう誤魔化せない。
そして誤魔化せなければ逃げ場もない。



「…あぁ、そうだよ…」



最初はボソリと答える。
そして竜也の肩を掴み、顔を上げ、顔を赤くしながら大声で答えた。



「オ、オレは女だよ!!悪いか!?」



王城全体に響くような大声。
蓮は自分が女だと認めたくなかったようだが、悲しいことに性別の壁とはそう簡単に越えられるようなものじゃない。

女の体として生まれてきた蓮にとって、自分が女だということがどれほど恥ずかしいものなのか、竜也はわからない。

でもどうでもいい。
竜也は別にどうでもよかった。



「悪くねぇ!!」

「っ!!」



蓮は無言になって竜也の意見を聞く。
反論もするつもりもなく、ただ三年間の親友である相棒の言葉を、黙って耳を傾ける。



「誰もそんなこと言ってねぇだろ?蓮が男だろうが女だろうが、俺の大切な親友に変わりねぇ…動かねぇ真実だ」



対して竜也は笑いながら言う。
竜也にとって蓮は自分の大切な親友である、それ以上でもそれ以下でもないと蓮にそう述べた。



「で、でも!!嫌だろ!?女の癖に男を演じてるやつなんて!!女なのに、女らしくないオレなんて…竜也もそう思ってんだろ!?」

「馬鹿野郎!!いつ誰がそんなこと言った!?まぁ確かにお前が女だということに少し驚いたけど、そんなもん関係ねぇ!!お前はお前じゃねぇか!!」

「け、けどよ!!」

「「でも」とか「もし」とか「けど」とかあるか!!俺達の絆はその程度の問題で壊れるわけねぇだろうが!!」

「っ…!!!」



気が付いたら蓮は涙を流していた。
隠したい事実とはいえ、竜也を三年間騙し続けたと思うと胸が苦しくなったらしい。

だがどうだろうか。
竜也は自分が女だとわかった瞬間、ドン引きするどころかなんの迷いもなく親友だと言い張る。

蓮は嬉しかった。
それと同時に今まで騙してきたことに後悔し、申し訳なさが込み上がり、涙が溢れ出る。

よく分からない感情だが、どこか暖かく、竜也の優しさが伝わり、蓮は竜也の膝に顔を埋めながら「ごめんな、ごめんな」と何度も謝罪する。



「まぁ、お前にも色々あったんだろ。気にすんな、隠したいことぐらい一つや二つあるだろ?」



対して竜也は蓮の頭を撫でて慰める。
実際人間誰しも隠し事をしたいことだってある、竜也だって同じだ。

それを分かっているから竜也はこれ以上のことは聞かなかった。

ただ待つ。
蓮が泣き止むまでは…。




「…なんか、お邪魔だったようね」

「っ!!」



待とうとした直後、正面から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

竜也はともかく、蓮は驚きながらも竜也から離れ、ゴシゴシと袖で涙を拭って入ってきた人物に指をさして顔を赤くする。



「お、おまっ…!!い、今見てたのか!?見てたのかぁ!?」

「見てた…っていうより、アンタらの声、部屋の外まで聞こえてたわよ」



アタフタしているせいか言葉が震え、ジタバタと腕を上下に振りながら入ってきた人物に言う。

その入ってきた人物、もといカリンはジト目になりながら二人を見つめる。

そして竜也はというと、カリンの目を合わせて苦笑いする。

どうもこんなカオスの空間に慣れていないようだが、何よりも蓮の女の子っぽい反応を見て新鮮な気持ちになっているのか苦笑いするしかないらしい。



「でも目が覚めたならそれでいいわ。悪いけど着いてきてもらえる?時間が無いの」

「なんかあるのか?」



ギャーギャーと騒いでいた蓮はその一言で静かになり、何の用なのか首を傾げ、竜也は冷静にカリンの要件について訊ねた。

部屋から退室しようとしたカリンはその場で足を止め、首だけ振り返ると竜也の質問にこう答える。




「…ここの王様がアンタに用があるんだって」

「王?」



王、というワードを聞いて首を傾げる竜也。

自分がしたことに自覚がない。
やったこととすればせいぜいスサノオを操縦して襲来してきたドラゴンを相手に…。



「…マジか」



ここで竜也、自分の行いを思い出したのか今になって手の震えが出てきた。

あの時は、とにかく「街を守る」という強い執念に囚われ、恐怖を押し殺して戦っていたが、相手が人類の天敵だとしても生物を殺したのは初めてである。

故に恐怖。
生きたものの命を奪う罪悪感という恐怖が竜也の体を蝕んだ。

震えが止まらない。
生物を刀剣で真っ二つにしたり、爆発させて吹き飛ばしたりした時の感覚が脳裏にベッタリとくっ付き、忘れたくても忘れられないあの感覚が今になって蘇ってきた。

平原に広がるのはドラゴンの死体、ドラゴンの血液、ドラゴンの内臓にドラゴンの骨。

竜也は奪ったのだ。
生物の命という概念を、この手で初めて奪った。



「うっ…!!」



今度は吐き気がした。
ゲームや映画などではよく流血シーンやら人が死ぬシーンなどよく見た事あるが、現実でこうやって本物の死体を見るとなれば次元が違う。

鉄のような悪臭、ベトりと気持ち悪い音、プルプルと揺れる内臓…何もかもが作り物とは程遠く、本物を目の当たりにした人間は誰しもが吐いてもおかしくない。



「りゅ、竜也!!おい、大丈夫か!?」

「っ…!!はぁ…はぁ…。だ、大丈夫、だ…はぁ…はぁ…」



込み上げる吐き気を飲み込み、自分に大丈夫だと言い聞かせ何とか耐え凌ぐが、尋常じゃない汗が滝のように流れ、息を荒くする。

蓮も背中をさすって竜也を支えようと、どこから取り出したのか袋を用意したが、頑なにそれを拒み、ゆっくりと立ち上がる。

二日間寝たっきりだったのか、少しよろけたがすぐに感覚を取り戻し、カリンの顔を見つめた。



「案内させろ。その王様とやらに」

「そうね。でもその前に…」



嫌な汗が流れる中、竜也はカリンの後について行こうと思った直後、カリンからあるものを手渡しされた。

それを受け取るとなんだなんだと渡されたものを見つめる。

渡されたものは黒い布と耳に取りつけるヘッドフォンのような物体、そして小型のマイクだった。

黒い布は恐らく着替えなのだろう。
現に竜也の体は包帯が巻かれ、上半身が裸の状態にあるから。

ではヘッドフォンとマイクのような機械はなにか、と聞かれると竜也と蓮にもわからない。

ただ形的にはカリンが着けているものと同じらしく、竜也もカリンの真似をして片耳に、そしてマイクを胸に取り付けた。



「お、おぉ…」



現実世界では見慣れない黒を強調したロングコートに、竜也は馴染めていないのか思わず声を上げる。

まるでコスプレだ。
だが着心地は悪くないようで、違和感を感じるものの特にこうと言ったものはなかった。



「はい、アンタも」



そして竜也だけではない。
蓮も同じように見慣れない黒を強調したショートコート、同じく黒を強調したハーフパンツ、そしてマイク、ヘッドフォンを渡された。

受け取るとすぐに羽織り、そのまま耳と胸にそれぞれマイクとヘッドフォンをセットする。

普段男が着込むようなコートなのだが、蓮は気にせず…それどころか竜也とお揃いなのが嬉しいのかニンマリと笑った。



「なぁなぁ、これ着替えてもいいか?」

「いい、いやいや!!お、俺の目の前はダメだろ!!」



珍しく竜也は蓮に戸惑った。
女とわかった以上、接し方は変えるつもりはないようだが、最低限の行動は慎むように肝に銘じたらしく、慌てた様子で部屋の外へと走っていく。

蓮は別に気にしている様子などなかったが、竜也自身が気にするようで…というより異性との接し方がまだわかっていないようで、とりあえずということで部屋から出ていくと扉を勢いよく閉めた。



「あ、おい!!」

「き、着替え終わったら来いよ!!ま、待ってるから、な!?」



話も聞かず、竜也は(半ば強制的に)カリンと待機することとなり、蓮の着替えを待つ。

何か言いたそうにしていた蓮は止めるのをやめ、二ヒヒと笑うと渡されたコートを見つめる。



「…普通は逆だっつの。女であるオレが恥ずかしがるのに…竜也って変な奴だな」



「ま、そこも好きなんだけど」とボソリと呟くと蓮は一人で渡された服に着替え始めた。




…一方の竜也はというと。



「あいつ、女だったんだ」

「俺も初めて知った」

「は?でも三年の付き合いって聞いたわよ?気付かなかったの?」

「そう言うなよ。気付かないものは気付かない。仕方ねぇ事だ」

「アンタってやつは…」



蓮本人に聞こえないであろう声量でカリンと会話していた。

内容は蓮について。
カリンも最初、蓮は自分より年下の男の子だと勘違いしていたようだ。

だが竜也の言う通り仕方の無いことだ。
性格、見た目が少年っぽいのに加えて一人称がオレとまで来てしまえば少し背が低い男の子と勘違いしてしまうだろう。

三年という長い付き合いの竜也でさえ今日という日が来るまで気が付かなかった。

しかし蓮は女だとわかった。
わかったのだが、ここでひとつ疑問が浮かんでくる。



(…何故あいつは?)



それは蓮が女だと隠し、今までずっと男のフリをしていたのか、というものだった。

最も信頼している竜也でさえ隠された。
となると、深い理由でもあるのだろう。

自分は女だと認めてくれた。
だが、その後に「悪いか!?」と言い張ったところを見ると、蓮自身が女であることを嫌ってるように見える。

何故だ、一体なんの理由で。
竜也は考えたが、これ以上の詮索はやめといた方がいいと思ったのか、すぐに考えるのをやめた。










数分後
アグザリオ王国・玉座の間





しばらくして。
蓮も着替えを終え、三人はカリンを戦闘に玉座の間へと辿り着いた。

大層な扉が開くと、白と金を強調した装飾品が飾られている大きな柱、天井には数百億円以上するであろう豪華で巨大なシャンデレラが吊るされ、窓は獅子と大鷲が融合した生物【グリフォン】が描かれているステンドグラスがズラリと並び、玉座の間を彩っていた。

両脇には護衛であろう大きな鎧(とはいえ、シグルズと比べたら小さいが)を纏い、この国のシンボルなのだろうグリフォンが描かれた旗を持ち、乱れもなく整列し三人を迎え入れる。



「よく来おった。異国の者たちよ」



そしてその中央。
白と金に加え、青の装飾品まで混ざった白き椅子に赤いマント、金の王冠、白い髭と誰がどう見ても王だとわかる人物が腰掛け、三人を見つめている。

玉座、と呼べる王だけが許された席の両脇には金髪で豪華な服を着込んだ集団がワラワラと姿を現した。

さしづめ王族といったところだろう。
ただ見慣れない髪色やら服装やらで警戒でもしているらしく、その様子は少し引きつっていた。



「…なぁ、なーんか怪しまれてねぇか?」

「勘違いだろ…って言いたいところだが、それもそうらしいな」



その態度に蓮は竜也の耳元で囁くが、案の定竜也も同じことを思っていたらしく、周囲を見渡して兵士の様子も伺う。

結果は竜也が言った通り、兵士たちも三人を怪しんでるのか睨み付けている輩もいる。

あまり歓迎されている訳では無いらしい。
竜也と蓮は早くこんな空間から逃げ出したくて仕方がない。



「二人とも、ちょっと黙って」



もちろん勝手に逃げ出すことなんて出来るはずもなく、カリンの小声による警告で二人仲良く口を尖らすと黙り込んだ。

その様子にカリンは「アンタら…」と一言呟いてため息を付き、再び国王と目を合わせるとその場で片膝を着き、頭を下げた。

まさに従者のポーズ。
だがやってるのはカリンだけで後ろにいた二人は知らん顔して何もしない。



「お初お目にかかります、国王様。私はカリンという者です。そして後ろにいるのが…」



カリンは背後へと睨み付ける。
目でこう言ってるんだろう、「アンタらも頭を下げろ」と。

現に二人の態度が気に食わないのか兵士やら王族やらガヤガヤと騒ぎ始め、大臣らしい老人に至っては「不敬罪!!不敬罪!!」などと喚いている。

…まぁ、国王は気にしていないようで「良い」と止められ、黙られてしまうが。



「如月 竜也…です」

「天谷 蓮…でございます」



そんな中、二人はぎこちない一礼をし、不慣れながらも敬語を使ってカリンの真似事をしながら自己紹介を交わす。

竜也はまだしも、蓮は目上の人間との会話に慣れていないのが、日本語がどこかおかしい。

ただ国王の言葉が通じるのに加えて、二人の言葉も国王や王族、兵士たちにも通じているようだ。

これも渡されたヘッドフォンとマイクの影響か、二人はそう思いながら国王が口を開くのを待ちながら頭を下げ続ける。



「うぅむ…、カリンくんとリューヤくんとレンくんか。その黒き髪色といい、聞き慣れぬ名前といい、異国から来た、という話は本当のようであるな」



顎に手を乗せて、国王は舐めるように三人の姿を見つめる。

カリンはまだしも、竜也と蓮が持つ黒髪と黒瞳、そして名前までが見たこともなければ聞いたこともないとなると異国から来たという話は信じる他ない。

…まぁ、大臣は相変わらずの態度だが。
一人小さく「異国など存在しない」と呟いている。



「失礼、我はこの国を束ねる王【カイン】。【カイン=アグザリオ】である」



国王は三人に対して自己紹介をする。
未だに三人は頭を下げたままで頷きもせずはいとも返事をしない。

ただ名前を聞いただけで再び頭を深く下げ、国王に敬意を示しながら名を覚えたことに承認する。



「それはさておき。まずは此度の戦いについてだが、騎士団長から三人の功績について耳にした。ここで感謝の意思を示そう」



簡単な自己紹介を終え、カイン国王は座りながらだが頭を下げて三人に感謝を伝える。

それだけ。
ただそれだけだというのに周囲の王族や人々はザワザワと再び騒ぎ始めた。

国を束ねる王が異国の人間に頭を下げた。
彼らにとって、これだけのことで大事おおごとなのだろう。



「して…話題を変えるが」



次にカイン国王は下げていた頭を上げると三人を見つめ、話を変え始める。

同時にザワザワと騒いでいた王族や兵士たちが一斉に静かになり、ただカイン国王の言葉に耳を傾ける。

忙しい奴らだ。
竜也と蓮は心の中でそう思いながら、耳を傾けてどんな質問でも答えられるように構えておく。



「これは民から聞いた事だ。…といったな。その敵軍を食い止めたのがだ、と」




そして

そのワードを聞いた竜也は肩を跳ね上がらせ、一瞬で二日前に起きた出来事を思い返す。

今でさえ思い出したくもないものだが、過去は変えられないし忘れることもそう簡単には出来ない。

そんな竜也の反応を見て、カイン国王は何かを察したのかこれ以上のことは何も言わなかった。



「お主らに聞きたい。ドラゴンとは、巨人とは何かを」



だがカイン国王にはそれを知る必要があった。

ドラゴンは人類の脅威だと認識したものの、謎が多いその黒鋼鉄の巨人について深く知り、民を守らねばならない使命があるからこそ。

竜也から嫌な汗が流れる。
自分でも訳の分からない戦いに巻き込まれている被害者なんです、なんて言えるはずもない。

民衆ではないが、少なくとも兵士たちの目の前でドラゴンと殺し合い、挙句の果てには軍隊長級のドラゴンですら始末してしまった以上、言い逃れは出来ない。

そんな竜也を見て蓮は「大丈夫か?」と小声で心配すると、ただ無言で頷いて返事をする。



「その事について、私が説明します」



代わりにカリンが説明を切り出した。
今の竜也にカイン国王への説明など上手く出来ないのだろう、現にカリンが一番詳しいので誰でもわかりやすいように説明を促す。






「うぅむ…。異なる次元から来た、異形の存在。それにシグルズ…とな」

「はい。ドラゴンに有効的な攻撃法は、彼が操るシグルズのみかと」



しばらくして。
カリンは今わかっていることをひとつずつ丁寧に全てをカイン国王に話した。

話を聞いたカイン国王は目を瞑り、頭の中で整理する。

ドラゴンという異形の存在。
シグルズという対ドラゴン兵器。
そしてカリン含む異世界からやってきた三人。

どれも信じ難い話だが、ドラゴンの件では目撃者が多いだけでなく、残った骨格や皮、鱗などが提出されているので存在そのものを認知している。

また異世界からやってきた三人とは今まさに目の前で跪いているので疑う余地もない。

ただカイン国王が気になっているのはについて。

目撃例はあるものの、自分自身の目で見なければ信じられないのだろう。



「…リューヤくん。無礼を承知しておるが、我にシグルズとやらを見せて貰えぬか?」



故にカイン国王は客人に頼む。
そのシグルズとはなんなのか、本当に存在するものなのか。

自分のまなこで確かめるべく、無礼を承知して竜也に頼み事をした。

その場の全員が竜也に集中する。
竜也は緊張しているのか、口を閉じてしばらく沈黙を貫く。



「………はい。わかりました」



しばらくして。
竜也は意を決して立ち上がり、少し距離を開けると右腕に備わっているガントレットを立て掛け、左手で掴むとそのまま下へスライドしてトリガーを引く。

その動作をした直後、竜也の周囲に線が引かれ、中央にはカプセルの形をしたものが出現すると竜也を閉じ込める。

現実ではありえないことが起きている光景にその場にいた全員は驚きを隠せず、声を上げる中、カプセルに閉じ込められた竜也はそのまま空中に浮かび上がり、脚部、胸部、両腕、頭部、背中、翼と次々とパーツが出現すると竜也を中心に合体を始めた。

ガチャりガチャりと金属と金属が重なり、形を変える鋭い音が響くと全てのパーツが接続され、ひとつの巨大な鋼鉄の巨人となって、カイン国王の前に立ちはだかる。



「こ、これが…シグルズ…とな?」



敵意がないとわかっていても、思った以上に巨大で迫力があるのか、カイン国王は冷や汗を流しながらスサノオを見上げる。

王族達は柱の裏に隠れ、兵士たちに至っては警戒しすぎなのか武器を構えようとするが、冷静を保っている騎士団長の命令により、武器から手を離し、同じくスサノオを見上げ圧巻する。

大臣に関しては…言わずもがな。
驚きのあまりメガネがズレて鼻水を垂らし、口を大きく開けたまま動かない。

シグルズという存在を信じていなかったのか、こうして目の前で見掛けるとショックが大きかったらしい。



「はい。ドラゴンから身を守り、同時に殲滅するための武器でもある、言わば鎧です」



竜也の代わりにカリンが説明する。
蓮はただ「いいなぁ…」と目を輝かせながら羨ましそうにスサノオを眺めている。

オタクだからこそだろう。
巨大な戦闘用ロボット(正しくは鎧だが)を前にして、恐怖より好奇心が上回っていることが。



「し、して…そのシグルズはどこで手に入るのだ?」

「残念ながら、私も分かりません。それに仮に見つけたとしても誰でも使える訳でもないです」



これがあればドラゴンの脅威から国を守れると思ったのか、カイン国王はシグルズの在り処について追求するが、カリンは今わかっていることを話した。

一部の記憶が抜けているとはいえ、以前ドラゴンとの戦いを経験した彼女が言う言葉は信憑性が高い故、カイン国王も信じざるおえなかった。



「…誰でも使える訳では無いのか…」



そのカリンの説明に誰よりもガッカリしているのが蓮である。

戦いは遊びではない。
そんなことわかっているが、心は浪漫見る少年。

蓮だって乗りたかったのだろう。
シグルズという絶対的兵器を。



『俺は森の中で見つけたんです。そしたら巨大な亀のようなドラゴンに襲われて、無我夢中で逃げまくってたらいつの間にか…』

「森?森って…静かすぎて不気味なあの森のことか?」



スサノオというシグルズを手に入れた竜也は、どうやって入手したのか簡単に経緯を説明していると蓮が食い付いてきた。

蓮も一度は行ったらしい。
現在進行形で異常が発生している、あの森に。



「森、とな?この近くにある森であれば…ユーラウス森林であるが、どうしたというのだ?」

「あっ、えっと…。ギルド認定試験としてアルドと行ったんです。そしたらそこで大量のドラゴンと遭遇して…」

「なに!?白風の狙撃手ア、アルド=ブロウズですと!?」



森と聞いたカイン国王は記憶を振り絞ってユーラウス森林を言い当てると蓮はそのまま流れるように説明した。

そしてアルドという人名が出るとさっきまで黙り込んでいた大臣が声を荒らげ、周囲の兵士たちも騒がしく声を立てた。

一方の竜也は状況が理解できないようで、「知り合いか?」と首を傾げると「後で説明してやる」と蓮は苦笑いしながら言った。

だが周囲の反応を見る限り、そのアルド=ブロウズという人物はという異名として名高いらしく、察するにはそれほどの手慣れと思われる。



「お、おい貴様!!アルド=ブロウズと知り合いなのか!?」

「し、知り合いっていうよりも…友達、だな」

「友達!?ではあのアルドの傷はまさか…!!」

「ドラゴンの仕業だ。それもで」



大臣は蓮とアルドの関係について迫るが、そんな事はどうでもいいと経緯を説明し始めた。

名が立つ者が傷だらけで休んでいる。
しかも蓮が言うには追い込まれという。

それを聞いただけで兵士たちは凍りつく。
そして理解した、ドラゴンという存在は決して一人で戦えるような相手ではないということを。



「とにかく。生身の人間一人がドラゴンに挑むなど自殺行為です。最下級のドラゴン一体の戦力はだと認識してください」

「な、なんだと!?」



その言葉に、最初に声を荒らげたのが大臣だった。

玉座の間に大臣だけの声が響き、それ以外は聞こえない。

全員が絶望している。
カイン国王も、王族も、兵士も、蓮も竜也も…そしてカリンも。

ただカリンの場合少し違う。
絶望はしているものの、表情に出さないようにと押し殺している。



「へ、兵士たちから聞いたぞ!!そのような化け物が、百の数を越す軍勢を引き連れたと!!ど、どうすればいいのだ!!教えろ異界人!!」

「…まだ負けた訳ではありません。一機だけですが、我々にはシグルズがあります。それに決して生身の人間が勝てる訳ではありません。最低四人以上のパーティを組み、最善の連携を___」

「そういう訳では無い!!鎧ひとつでどうにか出来る数ではないと言っておるのだ!!人より強い化け物が百の軍勢を連れ、対して人ひとりが乗る鎧の戦いなど勝敗が目に見えておるわ!!」

「嘆いたところで仕方ありません。現状の戦力はこれしかない、それにあなた方はシグルズの強さについてよく知っていない」

「っ…!!」



激しい口論の末。
大臣はカリンの発言に喉を詰まらせ、それ以降何も喋らなくなった。

未知数が多い鎧だが、その戦力はどれほどなのかわからない。

ドが付くほどの正論。
完全に負けた訳ではなく、抗う力はまだ残っている。

それでも大臣は心配なのだろう。
自分が敬う国王様が造り上げたこの国が、異界からやってきた化け物共に絶望と破滅を与えられることに。

勝てる見込みなんてない。
だがシグルズという存在があれば状況を一転できるとカリンは言う。

わかっている。
こんな鎧など一目見ればただものでは無いということぐらい、大臣もわかっている。

しかし嘆いたところで何も始まらない。
かといって希望が差し込めてくるわけでもない。

気が付けば、拳を握りしめていた。
全てはシグルズを操縦する竜也次第、その現実を動かせるのは誰一人としていない。

故に黙る。
黙って異界からやってきたと自称する三人の意見に耳を傾けるだけでそれ以降何も喋らなかった。



「国王様。今回の戦いはあくまで退という結果で終わりました。奴らがあの森へと羽ばたいたのなら、近いうちにまた必ず襲来してきます。それにこちらの戦力が知られた以上、奴らはさらに倍の数で攻めてくるでしょう」

「そうなると今度こそ終わり、か…」



カイン国王は冷や汗を流す。
今回の戦いだけで死者を出しているというのに、次の襲来があるとすればその倍の数で攻め込んでくるとなれば、住民兵士が全滅する以前に国が滅んでしまう。

それだけは避けたい。
だがカリンは「必ず次の攻撃が来る」と宣言、その言葉に信じるものもいればそんなわけないと信じないものもいる。

意見はバラバラだが、この場にいる全員がドラゴンに対する恐怖を感じていた。

次の攻撃が来るのは数年後か、それとも数分後か。

心臓が高鳴る。
尋常じゃない量の汗を流し、今にも吐き出しそうにしているが、なんとか飲み込んで耐え凌ぐ。



『…なぁ、ちょっと待てよ』



深刻で暗い空気の中、シグルズに搭乗していた竜也が口を開いた。

全員耳を傾け、竜也の言葉を待つとハッと我に返る。



『俺の憶測なんだが、奴らには知恵があるんだろ?そしたら組織のように階級とかあるんじゃねぇのか?』

「階級…?戦いを知らない素人が、何を言って___」



戦争のない平和な世界からやってきた、という情報をいいことに、何やら大臣がしゃしゃり出たが、カイン国王に手を遮られ喋らなくなった。

蓮も素人と呼ばれたのに腹が立ったらしく、立ち上がろうとしたがカリンに止められ、仕方なく跪く。



「して…階級とな?」

『はい。簡単に言うと他のドラゴンたちに指令を出す…言うなればのような存在がいるんじゃないかと。俺見てきたんです、今回攻めてきた軍団を指揮する、軍曹のようなドラゴンを』



竜也は思い出す。
無我夢中で戦っていたあの記憶を。

姿形は同じだが、他のドラゴンとは一回り大きく、全身が炎のように赤いドラゴンを。

その証拠に赤いドラゴンを倒した瞬間、他のドラゴンたちが一斉に逃げ出した。

竜也が言う知性があるのならドラゴンだけの格段社会があっても不思議ではない。

となると。
その指揮官ドラゴンについて検討があった。



「いるわ…。アンタが言っていた、森に住まう。そいつを倒せば…」

「二度目の襲来が無くなる、ということか…」



コクリと頷く竜也スサノオ
確証はないが、可能性としては大いに有り得る。

それだけでもやる価値はある。
確かに怖いがやらねばならない、既に竜也は覚悟を背負っていた。



「…仕方あるまい。そうと決まれば作戦を立てよう。その前に、ユーラウス森林地帯を危険地域に認定、アグザリオ内全ギルド組織にそう伝えよ」

「はっ!!」

「そして騎士団長。お主に作戦を練って頂きたい。この戦い、負ければ国が滅ぶと思え」

「了解です!!」



その後の行動は早かった。
カイン国王は次々と命令し、された兵士は反論も言わず、すぐに行動を起こす。

揃いに揃って全員が深刻な顔である。
無理もない、帝国と何度も戦ったことのある王国だが、今回の戦いは帝国など可愛いようにしか見えないものだから。

相手は次元を食う存在。
つまり未知の存在であるものの、その凶暴性は兵士たちや竜也、カリンと蓮もよく分かっている。

だが負けとは決まっていない。
抗う力と諦めない鋼の精神を持つ兵士たちにとって、国のために死ぬのならば本望だと言う。

故に恐怖を押し殺す。
押し殺して、逆に敵を恐れさせろと声を上げる。



「やる気満々…って感じだな」

「この世界の人達が戦闘経験がある…ということだけがせめてものの救いね」



ふぅ、と息をつくとカリンと蓮は立ち上がり、竜也はシグルズを解除して元の姿に戻る。

そしてカイン国王はうんうんと頷くと立ち上がり、王杖を片手に地面を大きくつき、右手を広げながら前に伸ばす。



「この国の命運は、お主らに背負わせることとする!!王として命ずる、なんとしてでもユーラウス森林に住まうドラゴン達を根絶やしにせよ!!」

「「「偉大なるアグザリオ王国の為にぃ!!」」」



その場だけでも数百人いる兵士たちが一人一人ズレることなく息を揃え言い放つ。

ひとつとなって巨大な声量となった返事が玉座の間に響き渡り、そして各々別の行動に出る。

そしてまた三人も同じ。
カリンと蓮は自分が持つ武器を、竜也は己が持つシグルズの管理、調節へと入った。











同刻
ユーラウス森林



だがドラゴン達も同じだ。
亀型の巨大なドラゴンを中心に、部隊の再編成、シグルズの攻略について考察喉を鳴らし、翼を広げる。

周囲にはかつてこの森に生息していたのであろう魔物達の死体が転がっているが、彼らにとってゴミと同然なのか気にすることなく放置している。

そして彼らは決意するのだろう。
今度こそ、あの目障りな王国を塵一つ残さず破滅させる、と。
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