30 / 38
出会い
えっ? 何このスキル……
しおりを挟む俺のステータスを見てフリーズしている京子に声を掛けた。
「お~い、京子~……」
京子の顔の前で手を振り名前を呼ぶと、京子が俺の手と声にやっと気付き、俺の顔を見た。
「ごめんなさい、驚かないって言っときながら、こんなステータス見たの初めてだから固まっちゃった……。本当に価値が0円なのね。ランクも総合力も情報が入ってないし。それに、初めて見る職業だわ。──ん? 『神』って職業なの? なんか凄すぎない? 職業が『神』でスキルが『最強』だなんて、ステータスを見ただけでヤバイ感じがするわ……」
「そん風に言われたの初めてだよ。職業の『神』は意味が分からないけど、その『最強』ってスキルは『鑑定眼』でも詳細が分からないんだ。たぶん、名前だけのお飾りなんだよ……きっと」
京子が腕を胸の前で組んで、眉間にシワを寄せている。
「──貴史はこのスキルの詳細を知りたいの?」
「そりゃ知りたいけど、知る術がないからどうしようもないよ。それに、知ったところでなんの意味もないだろうし……」
「普通は自分の保有してるスキルなら、感覚でどう使うか分かるはずよ。それが貴史は分からないのよね?」
そんなこと初めて聞いた。
「へ~、そうなんだ。でも、俺の『最強』ってスキルは、感覚どころかなんにも感じないんだよ。このスキルって使えるやつなのかな? さっきも言ったけど、ただ名前がついてるだけのお飾りスキルじゃないかと俺は思ってるんだけど」
京子が口角を上げて少し悪い顔をしている。
「私のスキル『情報漏洩』だったら、たぶん詳細が分かると思うわよ」
「えっ? 本当に? だったらやってみてよ!」
京子が真顔になった。
「じゃあやってみるね。こんどは『最強』の情報っと」
そう呟くと、ステータスを見た時と同じく目の前の空間に手を翳しスキルを発動した。
『情報漏洩』
京子の目がゆっくりと左右に動いている。恐らく自分にしか見えていない文字を読んでいるのだろう。
「──えっ!? 何このスキル、チートすぎるわ……。貴史、驚いちゃ駄目よ。貴史は呪われてなんかいない、全くの逆よ。貴方はモンスターを一掃出来る救世主かもしれないわ」
京子があまりにも大袈裟なことを言うので、笑ってしまった。
「はははっ、救世主って大袈裟だな。価値の無い俺が世界を救える訳ないだろ? 京子、それより早く教えてよ」
京子がゆっくりと口を開く。
「その前に……お願いがあるの。私達、出会ったばっかりだけど、こんな状況で二人しかいないじゃない? ──でね、あの、えっと……わ、私と……な、仲間になってほしいの!! あっ、貴史のステータスとスキルの詳細を見たから、仲間にしてほしいって言ってるんじゃないからね! 仲間のことを言い難かったから、何となくステータスを見せてって言っただけなの……」
京子が目をギュッと閉じ、顔を真っ赤にして俺に言葉を投げ掛けた後に、誤解を解こうと両手を左右に振った。
俺はまさかの言葉に狼狽えてしまう。
誰かと仲間になりたいとは思ったことがあるが、仲間になってと言われたのは初めてだから。
せっかくのお誘いは嬉しいが、俺の方が足を引っ張りそうで「うん」とは言い難い。
「ははっ、俺のステータスを見て仲間になりたいなんて言う人はいないだろうから、疑ってなんかないよ。──う~ん、気持ちは嬉しいけど、俺を仲間に誘うのは止めておいた方がいい。価値が0円の俺じゃあ京子と仲間になったとしても、邪魔になると思うから。俺が京子と一緒にいると、京子の足を引っ張っちゃうだけだよ……」
俺の言葉に対して、京子が顔を赤くしたまま首を左右に力強く振った。
「貴史が私の足を引っ張るだなんて、そんな事絶対にないわ! ──あのね、私のスキルなんだけど……って、いきなり説明しだしてごめんね。私のスキルは『隠滅』っていうの。このスキルは、一度発動すると解除できないのよね。──で、もうすでに発動しちゃってるから、私と仲間になっちゃうと、その人のステータスが開示出来なくなっちゃうの。私はこんなスキルを持ってるから、たぶんこの先も仲間なんて出来ない。だから、仲間になってってお願いしてるけど、私が貴史の足を引っ張っちゃうのよ……」
『隠滅』というスキルの説明を聞くと、京子にとって枷にしかならないスキルだと思った。
深刻な表情をしているのも理解出来る。
「そうなんだ……。仲間が出来そうにないのはお互い様ってことか。──その『隠滅』ってスキルは厄介だな。保有してるだけで損なスキルってあるんだ……。でも、俺には丁度いいかも」
変なことを言ったつもりはないが、京子が不思議そうな顔をしている。
「丁度いいって、『隠滅』が? 貴史私の話聞いてた? もし私と仲間になっても、貴史に損はあっても得な事は何一つ無いスキルなのよ? ステータスが見えないってことは、価値もランクも総合力も、状態さえも分からなくなるから、何かしら身体に不具合が起きても対処法が分からないのよ?」
京子が言いたいことは分かる、だが俺は自分のステータスを人に見られない方が都合がいい。
「他の人には損だろうなと思うけど、俺は自分のステータスを人に見られるとどうせ面倒くさいことを言われるだろうから嫌なんだ。京子も言ってただろ、俺は呪われてるって」
京子が「それは……」と言って俯いてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる