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白の章
白十一話
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「このお茶はどこから来てると思いますか?」
午後三時、王の執務室でエーデルはスターチス王とお茶の休憩をしている時、王が突然尋ねた。エーデルはシエララントの王城に来ていつも飲むジャスミン茶は香りが高く、落ち着いた。しかしその産地は知らなかった。エーデルが質問に黙って答えを求めると、王は説明した。
「このお茶は、同盟都市のマヨルで作られたジャスミンのお茶です。マヨルでは他にも薬草や香料を作っており、西大陸中で流通する有名な薬草と香料の産地です。薬草は呪術師が作っており、古くからある町です。独特な町なのですが、明日行ってみませんか?」
エーデルは呪術師と聞いて少し躊躇った。呪術師とは西大陸でも古い職業だった。魔法を使う者だが、呪いも扱い近寄りがたい雰囲気があった。王はエーデルの不安を読み取って答えた。
「いつもの直轄領のように親密ではありませんが、たぶんエーデルを歓迎してくれると思いますよ」
「お付き合いが長い町なのですか?」
「ええ。古くはアーサ様が問題を抱えた時、助言を頂いていたそうです」
「それならご一緒しましょう」
エーデルは控えめに言った。
マヨルへは夕方に訪ねた。ジャスミンの花畑が白い花を咲かせていた。王が訪ねたのは白い壁の小さな家だった。マジョラムのピンク色の花がバスケットに吊られて壁を飾っていた。
家の主は老婦人だった。格好は普通の村人と同じで、呪術師のイメージのおどろおどろしい姿ではなかった。
スターチス王は玄関で迎えられると、丁寧に挨拶をした。
「女王と共にご挨拶に参りました」
「今日もお茶を召し上がっていきなさい」
老婦人は来客を家へ招いた。そしてキッチンの前のテーブル席に勧めた。キッチンには古い大鍋や色んな種類の薬草をしまった瓶が並べられていた。家の主は温かいお茶と、野いちごの散りばめられたケーキを客人達にもてなした。
家の主はエーデルに尋ねた。
「誕生日を伺ってもいいかな?」
エーデルは不思議な質問だと思ったが、礼儀正しく答えた。家の主はそれを聞くと頷いた。
「スターチス王よ、良い縁を結ばれたな。少し時間を置くが、家族にも恵まれるだろう」
エーデルはこの老婦人は占いもやるのだと察した。その言葉は祝福であり、不思議と言葉に重みがあった。
王はお礼を言った。少し照れているようだった。
「ありがとうございます」
エーデルはこの老婦人が親しみの持てる人となりだと認め、話に入った。
「マヨルのジャスミン茶は毎日頂いております。落ち着く良い味ですね」
「それは結構。お茶は若い芽だけを摘んで軽く発酵させたお茶なので苦味がなかろう。このお茶は青年王に気に入られていて、スターチス王家でも長く好まれてきた味である。我が町も縁あってスターチス王家と同盟を結んでいる。あなたは魔力が高いな?」
「ええ。そうですね」
「きっとそのうち、いい友となりいいライバルとなる者が現れるだろう。楽しみにしているといい」
エーデルは思わぬ予言を受けて驚いた。
「呪術師とは不思議なものですね。あなたも魔力が高いとお見受けします。その魔力で予言を行うのですね」
「高貴な来客への土産だと思って下さればいい」
「素敵なお土産ありがとうございます」
エーデルは予言を楽しみにした。
呪術師は顔が広いとエーデルは聞いたことがあった。そして情報通となり、その情報で王や領主などから相談を受けると言われていた。情報通と言えば僧侶だが、それとはまた違う情報網を持っているそうだった。
「呪術師に会うのは初めてなんだろう、女王よ」
老婦人はエーデルに微笑んだ。
「昔の呪術師は政を行う者の政敵を攻撃する魔法を行ったが、今はしない。薬草に魔法を掛けて効果を高めるだけである。昔は医者の役割も果たしたが、今は専業の医者がいるので病人を診ることもなくなった。ただ今でも魔法で起こる病はあるから、それを解く術を教えることもある。
鳥を使う情報網を持っているが、それは町の情報屋や新聞と大差ない。今の呪術師は人々から恐れられるようなことはしていないのだ」
「そうなのですね」
エーデルは納得した。
「それではケーキをご馳走様でした。私達は帰ります。また今度訪ねてきます」
窓の外は夜だった。王は挨拶してエーデルを連れて家を出た。
帰り道、スターチス王はエーデルに話した。
「良い方だったでしょう?」
「そうですね」
「マヨルの呪術師には小さい頃こっそり魔法を教えて貰ったり、西大陸のことを話して貰ったりしました。気立ての優しい方で、いつも連絡なく訪れても美味しいケーキを用意してくれて、子どもの私の面倒を見て貰いました。呪術師の中には今でも呪いをしている人もいるようですが、マヨルは安心して訪ねることのできる町です」
「予言のできる方でしたよね」
「どうしても知りたいことがあれば、聞くといいですよ。相談に乗ってくれるし、秘密も守ってくれます」
「またお茶に来たいですね」
マヨルから帰ってきた夜、王の部屋でのんびりしていたエーデルは王に基本的なことを尋ねた。
「同盟都市とはどういった繋がりなのですか?」
「スターチス王家の場合、歴史的に繋がりのある都市が同盟都市として結びついています。例えばイリュイト、チェルロット、星霜院などです。
同盟都市で産出されるものは、優先して国に卸して貰えます。マヨルのジャスミン茶などです。同盟都市も契約なので、解消するのも町の自由です。
国が保護する直轄領とは違い、同盟都市は気持ちの問題といえるでしょう。しかし国としては周りが同盟都市であれば、町が他国の影響を受けることがないので安心できます。王都の近くに他国の影響力の強い町があると、喉に小骨が刺さったような状態になります。王としてはそれは避けたいですね」
「同盟都市は増やした方がいいのですか?」
「別に同盟都市でなくても、良い隣人にはなれます。キルシュ公は同盟都市ではありませんが、顔馴染みのような繋がりがあります。セラムも同盟都市ではありませんが、歴代のスターチス王とは良い関係です。デンファーレが同盟都市を増やすのは、味方を増やして安心したいからかも知れません」
「スターチス王はそうはされないんですね」
「私は無理に同盟都市を増やす必要はないと思っています」
エーデルは王に固い意志を感じた。
「今ある絆を大切にすれば国は保てると思います」
エーデルは、他人に無理を強いない王のやり方を好ましく思った。
「そのお考え、好きですよ」
「何かあればエーデルも言って下さい。私も考えます」
「そうですね。分かりました。何か気付くことがあったらお話しします」
エーデルは少し王と距離が縮まったと思った。
午後三時、王の執務室でエーデルはスターチス王とお茶の休憩をしている時、王が突然尋ねた。エーデルはシエララントの王城に来ていつも飲むジャスミン茶は香りが高く、落ち着いた。しかしその産地は知らなかった。エーデルが質問に黙って答えを求めると、王は説明した。
「このお茶は、同盟都市のマヨルで作られたジャスミンのお茶です。マヨルでは他にも薬草や香料を作っており、西大陸中で流通する有名な薬草と香料の産地です。薬草は呪術師が作っており、古くからある町です。独特な町なのですが、明日行ってみませんか?」
エーデルは呪術師と聞いて少し躊躇った。呪術師とは西大陸でも古い職業だった。魔法を使う者だが、呪いも扱い近寄りがたい雰囲気があった。王はエーデルの不安を読み取って答えた。
「いつもの直轄領のように親密ではありませんが、たぶんエーデルを歓迎してくれると思いますよ」
「お付き合いが長い町なのですか?」
「ええ。古くはアーサ様が問題を抱えた時、助言を頂いていたそうです」
「それならご一緒しましょう」
エーデルは控えめに言った。
マヨルへは夕方に訪ねた。ジャスミンの花畑が白い花を咲かせていた。王が訪ねたのは白い壁の小さな家だった。マジョラムのピンク色の花がバスケットに吊られて壁を飾っていた。
家の主は老婦人だった。格好は普通の村人と同じで、呪術師のイメージのおどろおどろしい姿ではなかった。
スターチス王は玄関で迎えられると、丁寧に挨拶をした。
「女王と共にご挨拶に参りました」
「今日もお茶を召し上がっていきなさい」
老婦人は来客を家へ招いた。そしてキッチンの前のテーブル席に勧めた。キッチンには古い大鍋や色んな種類の薬草をしまった瓶が並べられていた。家の主は温かいお茶と、野いちごの散りばめられたケーキを客人達にもてなした。
家の主はエーデルに尋ねた。
「誕生日を伺ってもいいかな?」
エーデルは不思議な質問だと思ったが、礼儀正しく答えた。家の主はそれを聞くと頷いた。
「スターチス王よ、良い縁を結ばれたな。少し時間を置くが、家族にも恵まれるだろう」
エーデルはこの老婦人は占いもやるのだと察した。その言葉は祝福であり、不思議と言葉に重みがあった。
王はお礼を言った。少し照れているようだった。
「ありがとうございます」
エーデルはこの老婦人が親しみの持てる人となりだと認め、話に入った。
「マヨルのジャスミン茶は毎日頂いております。落ち着く良い味ですね」
「それは結構。お茶は若い芽だけを摘んで軽く発酵させたお茶なので苦味がなかろう。このお茶は青年王に気に入られていて、スターチス王家でも長く好まれてきた味である。我が町も縁あってスターチス王家と同盟を結んでいる。あなたは魔力が高いな?」
「ええ。そうですね」
「きっとそのうち、いい友となりいいライバルとなる者が現れるだろう。楽しみにしているといい」
エーデルは思わぬ予言を受けて驚いた。
「呪術師とは不思議なものですね。あなたも魔力が高いとお見受けします。その魔力で予言を行うのですね」
「高貴な来客への土産だと思って下さればいい」
「素敵なお土産ありがとうございます」
エーデルは予言を楽しみにした。
呪術師は顔が広いとエーデルは聞いたことがあった。そして情報通となり、その情報で王や領主などから相談を受けると言われていた。情報通と言えば僧侶だが、それとはまた違う情報網を持っているそうだった。
「呪術師に会うのは初めてなんだろう、女王よ」
老婦人はエーデルに微笑んだ。
「昔の呪術師は政を行う者の政敵を攻撃する魔法を行ったが、今はしない。薬草に魔法を掛けて効果を高めるだけである。昔は医者の役割も果たしたが、今は専業の医者がいるので病人を診ることもなくなった。ただ今でも魔法で起こる病はあるから、それを解く術を教えることもある。
鳥を使う情報網を持っているが、それは町の情報屋や新聞と大差ない。今の呪術師は人々から恐れられるようなことはしていないのだ」
「そうなのですね」
エーデルは納得した。
「それではケーキをご馳走様でした。私達は帰ります。また今度訪ねてきます」
窓の外は夜だった。王は挨拶してエーデルを連れて家を出た。
帰り道、スターチス王はエーデルに話した。
「良い方だったでしょう?」
「そうですね」
「マヨルの呪術師には小さい頃こっそり魔法を教えて貰ったり、西大陸のことを話して貰ったりしました。気立ての優しい方で、いつも連絡なく訪れても美味しいケーキを用意してくれて、子どもの私の面倒を見て貰いました。呪術師の中には今でも呪いをしている人もいるようですが、マヨルは安心して訪ねることのできる町です」
「予言のできる方でしたよね」
「どうしても知りたいことがあれば、聞くといいですよ。相談に乗ってくれるし、秘密も守ってくれます」
「またお茶に来たいですね」
マヨルから帰ってきた夜、王の部屋でのんびりしていたエーデルは王に基本的なことを尋ねた。
「同盟都市とはどういった繋がりなのですか?」
「スターチス王家の場合、歴史的に繋がりのある都市が同盟都市として結びついています。例えばイリュイト、チェルロット、星霜院などです。
同盟都市で産出されるものは、優先して国に卸して貰えます。マヨルのジャスミン茶などです。同盟都市も契約なので、解消するのも町の自由です。
国が保護する直轄領とは違い、同盟都市は気持ちの問題といえるでしょう。しかし国としては周りが同盟都市であれば、町が他国の影響を受けることがないので安心できます。王都の近くに他国の影響力の強い町があると、喉に小骨が刺さったような状態になります。王としてはそれは避けたいですね」
「同盟都市は増やした方がいいのですか?」
「別に同盟都市でなくても、良い隣人にはなれます。キルシュ公は同盟都市ではありませんが、顔馴染みのような繋がりがあります。セラムも同盟都市ではありませんが、歴代のスターチス王とは良い関係です。デンファーレが同盟都市を増やすのは、味方を増やして安心したいからかも知れません」
「スターチス王はそうはされないんですね」
「私は無理に同盟都市を増やす必要はないと思っています」
エーデルは王に固い意志を感じた。
「今ある絆を大切にすれば国は保てると思います」
エーデルは、他人に無理を強いない王のやり方を好ましく思った。
「そのお考え、好きですよ」
「何かあればエーデルも言って下さい。私も考えます」
「そうですね。分かりました。何か気付くことがあったらお話しします」
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