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59話-2.町のトップを招待する

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 いつものように、ギルドの職員にギルド長に用事を伝えたいと言うと――
 いつもの応接室に案内された。

「こちらで、お待ちください」と言って、ギルド職員は部屋を出ていった。

 ギルド長が来るのを待つと、ギルド長が急ぎの様子で部屋に入ってきた。

「やぁ、ハジメ君今日は何の用だい?  施設の関連の事かな?」

「よくわかりましたね。ご明察通りですよ……
 あと、2ヶ月後位にはお店のオープン出来ると思います」

「えっ!! 2ヶ月?  早すぎないか、作業に入って4ヶ月位しか経ってないだろ」

「……と、言われましても、男性用と女性用の大浴場が完成しました。
 それで、大浴場のお披露目をギルド長と町長にしたくて、連絡に来ました」

「よし、解った。
 今から兄さんに会いに行こう。ハジメ君、私について来てくれ」

「はい、わかりました」と言って、ギルドを後にしてギルド長の後をついていった。

 ……
 …………

 しばらく、町の中を徒歩で移動していたら、ギルド長が「着いたぞ」と言った。

 意外とデカい建物だな……コレが町長の家なのか?

 ギルド長が扉についてる金属のアレ(ドアノッカー)で扉を叩いた。

「兄さん!! マルコです」

 ドアが内側から開けられた。

「やぁ、マルコ。
 それに、ハジメ君も今日はどうしたんだい?」

「兄さん!! ハジメ君が建設している施設は2ヶ月後に完成するらしいです」

「はっ?  冗談も程々にしてくれよ、ハジメ君」

「あぁー、ミルコさんがそう言うと思ってました。
 なので、主要施設が完成たので、オープン前に二人に施設のお披露目をしにきました。
 お湯に入浴する為の施設ですので、体を拭く為の布を用意してからお越しください」

「兄さん、私の分も用意してくれ」

「ちょっと待っててくれ。着替えてくる」と言って、しばらくすると町長が出てきた。

 徒歩で3人施設へ移動をしている最中に町長が質問してきた。

「そのお風呂なのだが……
 私達が一番目に入浴できるのか?」

「それは申し訳ない。
 スタッフの努力をねぎらう為に、彼らが一番目に入ってますよ」

「君が一番じゃないのか?」

「いやいや、従業員の皆が働いてくれてるからこそ、施設が完成したんですから」

「君には欲はないのか?」

「んー?
 あえて言うならば、嫁さん二人と一緒にいる時間を作りたい事くらいですかねぇ……」

「兄さん、ハジメ君はこう言う人だ」

「そうだな……」なにかを決めたように、ミルコが頷いていた。

 そんな雑談をしながら歩いていたら新施設についた。
 施設の中に入り、作業中のドワルドに話しかけた。

「ドワルドさん。
 今、お風呂は入れる状態かい?」

「ああ、社長のやってたのを見よう見まねでやったが、良い温度のお湯が張られているさ」

「簡単だったでしょ。
 作業途中の水温計の使い方はわかったかい?」

「そのまま手を突っ込んで調べた」

 おい、火傷するぞ!! ドワーフだから大丈夫なのか?

「お、オゥ……火傷してない?」

「あの程度でドワーフが火傷するものか」

「そっか、それならいいよ。ありがとう。
 今からギルド長と町長に、男風呂を使ってもらうから男風呂の使用は禁止ね。
 ドワルドさん、他の皆に伝えといて」

「わかった、伝えておく」

「マルコさん、ミルコさん、二人ともここで待っていてもらえますか。
 施設の内装でも見ていてくださいよ。もっと鮮やかになりますけどね」

「「わかった」」

 あまりにも雑なドワルドの温度チェックだった為、温度の再確認が必要だと判断した。
 私は配管室へ行き水温計で温度をチェックした。
 
 50度……って、オイっ!!

 水温を43度まで調整して、再び二人の案内を再開した。

「お風呂に入る前に――お二人には、この施設での排水に関して説明を行います。
 まず、裏庭に出ますのでついてきてください」

 私達が裏庭に入ると、すでに太陽光パネルが設置が完了されていた。
 えっ、フローラさん。 ここまで作業すんでるの?  早すぎないか?
 ドワーフって、チートじゃね……?

「これはなんだ? ハジメ君」と、町長のミルコが聞いてきた。

「これは、すいません。
 企業秘密になりますんで勘弁して下さい」

「そうか、それなら仕方ないな」
 ……と言って、町長は無理に詮索はしないでくれた。

「私が見てもらいたかったのは、この場所ですね」

「水が何箇所からか、この池に集まってるようだが?」

「ここは、あの施設で使った水を綺麗にして川に流す為の施設になります。
 ここの裏の川に水を流すので、その辺りの対策はしています。
 ウチの施設は水を多く排水する施設になりますので、この川に関してはウチのお店が資金提供して治水工事を行う予定です。
 それを町長には、知っておいていただこうと思いました」

「むしろ、水を綺麗にする施設というのは教えて頂きたいものだ」

「今度、時間があれば教えますよ」(ググってから今度説明しますの意)

 今から二人には、ウチの自慢の大浴場を試してもらいたいと、思いますのでついてきてください。

「「待ってました」」
 ……と、ギルド長と町長の二人が息の合った声を上げた。

 施設内に入り男性浴場に入る。

「この部屋で服を脱いで、布を腰にでも巻いて私についてきてください」

「お、おう。わかった」

 オッサン二人が服を脱いで浴場に入ってきたので二人を連れて洗い場へ移動した。

「そして、この奥の場所にお湯が流れているので、ここで体を洗ってください。
 この施設は皆が使う施設なんで、浴場には体を洗ってから入浴して頂きます」

 二人ともお湯で体を洗っている……っていうか遊んでねーか?

「お二人とも、よろしいですか?」
 ……と、二人に対して半ば呆れながら話をつづけた。

「あっ、ハイ」「すまない、年甲斐もなくはしゃいでしまったよ」

「体を洗い終えたら、あそこにある大浴場を是非お楽しみください」

「「ヒャッハー!!」」 ……って、オイ!!蛮族ですか貴方達。

 二人とも湯船につかり、ぼーっとしている。

「湯浴みとは気持ちいいものだな、ハジメ君。
 こんな施設が町に出来て、町長として感謝の言葉しか出ないよ」

「お寛ぎの最中につかぬ事をお聞きしますが、この施設の利用代金っていくら位が良いですかね?」

「兄さん、これは観光資源になるんでは?」

「確かに、これはなるかもしれない」
 ……と、二人が乗り気である。

 試しに「1ゴールド?」と、二人に聞いてみた。

「1ゴールドはありえない。
 この風呂に入れるなら、食事を一食抜いても構わない」
 ……と、ギルド長のマルコが力説しながら答えてくれた。

「そうなると、7ゴールド位ですかね?」

「そうだな」と、町長のミルコが言った。

「そしたら、さっきの観光資源で思いついたんですけど。
 町民4ゴールドの価格にして、町外から来た人は7ゴールドの価格で提供。
 そして、差分の3ゴールドはギルド、町、教会に入浴税として1ゴールドずつに納める形にしましょう」

「一人4ゴールドで、施設の運営は出来るのか?」

「人さえ多く集まってくれさえすれば1ゴールドでも運営できますよ。
 まぁ、それはしませんけど……お店の従業員に失礼になりますし」

「そうか、この施設が2ヶ月後に出来るのかぁ。
 兄さん、やりましたね。
 任期最後の大仕事じゃないですか!!」

 ……と、ギルド長が町長に対して言っていた。

「まぁ、二人が満足するまで、楽しんでください。
 のぼせるまでお風呂に入ってちゃダメですよ!!」と言って、俺は裏庭へ移動した。

 地面が黒い――パネルがガッチリと設置されている。
 全く、仕事のやり甲斐があるじゃないの。

 さて、これから[太陽光パネル]の配線を繋ぎまくるぞー!! ……と、一人で気合を入れるのだった。
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