主人公の義弟兼当て馬の俺は原作に巻き込まれないためにも旅にでたい

発光食品

文字の大きさ
119 / 123
義兄にドキドキするなんておかしい!!

13)何者

しおりを挟む
「シャドウお願い。シェイドを助けてあげて」

「良いだろう。貸しひとつだな」

ぐったりとしているシェイドをシャドウの前に差し出す。まだ、不安しかないが、頼れるのはシャドウしかいないのだ。

シャドウはゆっくりと指を伸ばしシェイドの額に触れる。すると俺の分からない呪文をブツブツと唱え出す。

「な、何これ」

「こいつの封印された記憶だ。きっとこいつを本に閉じ込めたやつがかけたのだろう。普通であれば本人でさえ気づくことのできない。まあ、であればな」

目の前にシェイドを丸々取り囲むくらいの大きな魔法陣が現れる。色は金色で神々しい光を放っているそれは、今、傍にいない義兄を連想させる。

パリン

シャドウが目の前で拳を握り締めた途端、その魔法陣は粉々に砕け散った。すると、何かの束縛から解き放たれたかのようにシェイドの顔色が良くなっていく。

「シェイド!!」

「ナ…ハト…?」

俺は思わずシェイドに駆け寄り抱き上げる。さっきの苦痛が相当堪えたのか、まだぐったりしている。

「痛いところはないか?」

「僕っちは大丈夫なんだぞ。色々、忘れていたことを思い出しただけだ」

ニコッと笑って短い手で俺の頭を撫でる。さっきまで苦しんでいたくせに俺を子供扱いするなんて。さっきの魔法陣をシャドウが解いてくれたからだ。

「感動するのは良いが、我への感謝を忘れているのではないか?」

「……ありがとう」

「ん~?よく聞こえないな。ここ何年かで難聴になってしまったようだ。もう一度言ってくれるか?」

「あ・り・が・と・う!!!!!」

「まだまだ感謝が足りないな」

先ほどまでの険悪な雰囲気から打って変わって、いつものような軽口を言い合う。一応、シェイドを助けてくれたし、なんなら記憶も戻してくれたし、俺がこれ以上シャドウに怒る必要もないだろう。

「ナハト…こいつとはいつ知り合った?」

「どうしたの?シェイド?」

元気を取り戻したシェイドが俺の服をひっぱり、シャドウから距離を離そうとする。さっきまではシャドウのことを恐れていたのに、今はシャドウを敵視しているようだ。瞳孔が開き、鋭い牙を剥いて威嚇しているようだ。

しかし、シャドウはニヤニヤしてさらにシェイドを煽る。

「貴様を助けてやったのは我だというのに、何故そんなに敵対する」

「黙れ!!!元々は貴様のせいでこうなったようなものだろうが!!ナハトに近づくな!!」

「おお、怖い怖い。昔のに対して牙を剥くなんて。童、この悪魔をよく飼い慣らしているようだな」

「…え…?」

俺は信じがたい話を聞いてしまったのかもしれない。薄々気づいてはいたが、この目の前にいる影は只者じゃない。俺を遥かに上回る魔力量を持っていて、何百年も生きている人間。そんなやつがいたら全世界に噂は広まるだろう。なのに誰も目の前のこいつのことを知らない。

(一体何者なんだ。こいつは)



しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る

桜城 寧
BL
処刑された記憶とともに、BLゲームに登場する悪役会計に転生したことに気付く。処刑されないために、チャラ男としての仮面を被り、生徒会長に媚び売ったり、どうにか能力を駆使したりして生きてたら、色々な人に構われる話。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

ガラスの靴を作ったのは俺ですが、執着されるなんて聞いてません!

或波夏
BL
「探せ!この靴を作った者を!」 *** 日々、大量注文に追われるガラス職人、リヨ。 疲労の末倒れた彼が目を開くと、そこには見知らぬ世界が広がっていた。 彼が転移した世界は《ガラス》がキーアイテムになる『シンデレラ』の世界! リヨは魔女から童話通りの結末に導くため、ガラスの靴を作ってくれと依頼される。 しかし、王子様はなぜかシンデレラではなく、リヨの作ったガラスの靴に夢中になってしまった?! さらにシンデレラも魔女も何やらリヨに特別な感情を抱いていているようで……? 執着系王子様+訳ありシンデレラ+謎だらけの魔女?×夢に真っ直ぐな職人 ガラス職人リヨによって、童話の歯車が狂い出すーー ※素人調べ、知識のためガラス細工描写は現実とは異なる場合があります。あたたかく見守って頂けると嬉しいです🙇‍♀️ ※受けと女性キャラのカップリングはありません。シンデレラも魔女もワケありです ※執着王子様攻めがメインですが、総受け、愛され要素多分に含みます 隔日更新予定に変更させていただきます。 ♡、お気に入り、しおり、エールありがとうございます!とても励みになっております! 感想も頂けると泣いて喜びます! 第13回BL大賞55位!応援ありがとうございました!

姉の聖女召喚に巻き込まれた無能で不要な弟ですが、ほんものの聖女はどうやら僕らしいです。気付いた時には二人の皇子に完全包囲されていました

彩矢
BL
20年ほど昔に書いたお話しです。いろいろと拙いですが、あたたかく見守っていただければ幸いです。 姉の聖女召喚に巻き込まれたサク。無実の罪を着せられ処刑される寸前第4王子、アルドリック殿下に助け出さる。臣籍降下したアルドリック殿下とともに不毛の辺境の地へと旅立つサク。奇跡をおこし、隣国の第2皇子、セドリック殿下から突然プロポーズされる。

処理中です...