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光の国に転生した闇属性の俺!?
20)兄の誕生日・真実
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(兄が俺の兄じゃないかもしれない…?)
正直意味がわからない。俺が産まれる前から兄は公爵家にいて、もちろん母のお腹から生まれたものだと勝手に思っていた。
だが、今の父の言葉や、母、兄の表情を察するにそれらは俺の勘違い。ずっとそばに居たのに血が繋がっていないことすら知らなかった。
まあ幼い俺にそんなことを話したって無駄だってことは分かるが、少し胸がズキッと痛む。
(あれ、なんだこの感情。よく分かんないや)
「ナハト!」
ハッとして兄の顔を見るがぼやけててよく見えない。いつもであれば嫌という程はっきり見える美しい顔も今だけは霞んでしまっている。
「ご、ごめんなしゃい。せっかくのおにいしゃまの誕生日会なのにこんな姿を見せてしまって」
「そんなことない。それに悪かったのは今まで黙っていたお兄様のせいだ!」
ガバッと兄が俺を抱きしめる。とても暖かくて安心するはずの兄の手の中が今は無性に冷たく感じた。何故かこの腕の中から逃げ出したくてたまらない。
「おにいしゃまは皆さんの所に早く言ってください。僕はプレゼントを持ってきます」
「こんなナハトを1人にする訳にはいかない」
「離ちて!!今はおにいしゃまと一緒にいたくないの!」
感情に身を任せて自分の影に触る。俺のせいで兄の誕生日を台無しにしたくない。
感情のままに自分の魔力を影に乗せる。
「ー僕を1人にして」
「ナハト!!」
自分の体が影の中に沈んでいく。その中で周りから兄のことを呼ぶ声がする。
「エドワード、誕生日おめでとう」
「エドワード様、おめでとうございます」
(ああ、兄は周りに愛される主人公だ)
ーじゃあ僕は?
目の前に影の俺が現れる。これはシャドウでは無い。この世界に生きている俺自身だ。
「俺は…」
(きっと、兄の邪魔をする…)
「当て馬だ」
少し疲れた。なんの光もないこの暗闇の中で少し休もう。落ち着く闇の中で重たくなる瞼をそっと閉じた。
ーーー
(兄・エドワードside)
「ナハト!どこに行ったんだ!」
「エドワード、落ち着きなさい」
「お父様!これが落ち着いていられますか!!」
僕は柄にもなく取り乱していた。目の前で泣いた弟が影の中に消えていったのだ。
「エドワード」
普段ふわふわしているお母様の凛とした声が響く。お母様はこういう風になることを予測していたのだろうか。
「ここは貴方の為の場です。招待客の皆様は貴方を祝うためにわざわざ来てくださったのですよ」
「だからといってナハトを放っとけないです」
「そこは母に任せなさい。良いわね、レナート」
「ああ、君に任せるよ」
何故こんなにもお母様は頼りになるのだろうか。それに比べて僕は何も出来ない。
いいや、周りの人達はこの雰囲気に困惑しているはずだ。今の僕にできることは今この場にいる人達の不安を取り除くことだ。
ナハトを追いたいという気持ちをグッとこらえ、無理やり完璧な笑顔を貼り付ける。
「ご心配をおかけし申し訳ございません。さあ、皆様パーティーを始めましょうか」
(お母様、どうかナハトをよろしくお願いします)
正直意味がわからない。俺が産まれる前から兄は公爵家にいて、もちろん母のお腹から生まれたものだと勝手に思っていた。
だが、今の父の言葉や、母、兄の表情を察するにそれらは俺の勘違い。ずっとそばに居たのに血が繋がっていないことすら知らなかった。
まあ幼い俺にそんなことを話したって無駄だってことは分かるが、少し胸がズキッと痛む。
(あれ、なんだこの感情。よく分かんないや)
「ナハト!」
ハッとして兄の顔を見るがぼやけててよく見えない。いつもであれば嫌という程はっきり見える美しい顔も今だけは霞んでしまっている。
「ご、ごめんなしゃい。せっかくのおにいしゃまの誕生日会なのにこんな姿を見せてしまって」
「そんなことない。それに悪かったのは今まで黙っていたお兄様のせいだ!」
ガバッと兄が俺を抱きしめる。とても暖かくて安心するはずの兄の手の中が今は無性に冷たく感じた。何故かこの腕の中から逃げ出したくてたまらない。
「おにいしゃまは皆さんの所に早く言ってください。僕はプレゼントを持ってきます」
「こんなナハトを1人にする訳にはいかない」
「離ちて!!今はおにいしゃまと一緒にいたくないの!」
感情に身を任せて自分の影に触る。俺のせいで兄の誕生日を台無しにしたくない。
感情のままに自分の魔力を影に乗せる。
「ー僕を1人にして」
「ナハト!!」
自分の体が影の中に沈んでいく。その中で周りから兄のことを呼ぶ声がする。
「エドワード、誕生日おめでとう」
「エドワード様、おめでとうございます」
(ああ、兄は周りに愛される主人公だ)
ーじゃあ僕は?
目の前に影の俺が現れる。これはシャドウでは無い。この世界に生きている俺自身だ。
「俺は…」
(きっと、兄の邪魔をする…)
「当て馬だ」
少し疲れた。なんの光もないこの暗闇の中で少し休もう。落ち着く闇の中で重たくなる瞼をそっと閉じた。
ーーー
(兄・エドワードside)
「ナハト!どこに行ったんだ!」
「エドワード、落ち着きなさい」
「お父様!これが落ち着いていられますか!!」
僕は柄にもなく取り乱していた。目の前で泣いた弟が影の中に消えていったのだ。
「エドワード」
普段ふわふわしているお母様の凛とした声が響く。お母様はこういう風になることを予測していたのだろうか。
「ここは貴方の為の場です。招待客の皆様は貴方を祝うためにわざわざ来てくださったのですよ」
「だからといってナハトを放っとけないです」
「そこは母に任せなさい。良いわね、レナート」
「ああ、君に任せるよ」
何故こんなにもお母様は頼りになるのだろうか。それに比べて僕は何も出来ない。
いいや、周りの人達はこの雰囲気に困惑しているはずだ。今の僕にできることは今この場にいる人達の不安を取り除くことだ。
ナハトを追いたいという気持ちをグッとこらえ、無理やり完璧な笑顔を貼り付ける。
「ご心配をおかけし申し訳ございません。さあ、皆様パーティーを始めましょうか」
(お母様、どうかナハトをよろしくお願いします)
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