報われない恋はやめよう!…あれ?なんだか相手の様子がおかしいようです

発光食品

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31)なんか様子がおかしい

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「ついに今日言うのか」

一人がごくりと唾を飲み込んで言う。他のみんなも緊張感のある面持ちになった。ただ俺と別れるだけだというのにどうしたのだろうか。

「あのイケメンがフリーになるのか…」

「今までは朝陽ちゃんがいたから表向きには落ち着いていたけれど…これは荒れるわよ」

ざわざわと周りが騒ぎ始める。そうか?俺と付き合っていても付き合っていなくても伊月は変わらないと思うが…そんなに違うものだろうか。

「別に、俺と付き合っていた時も浮気してたので今とあまり変わらないと思いますよ」

この会社で働き始めてもう2年になる。周りは俺たちが付き合っていることも、伊月が他の人を抱いているということも知っているだろう。急にみんな暗い顔になる。

「逆に今までなんで別れなかったの?」

「あの顔だから別れにくいのは分かるけど朝陽だったら他に良い人が絶対いる」

「そう…ですかねえ」

「外から見たら、いくら顔面が国宝級のイケメンだとしても朝陽ちゃんが可哀想だったわ」

なぜか俺はヨシヨシされている。みんな騒いだり暗くなったり怒ったりと忙しそうだ。
それから伊月と別れた後のことを相談させてもらった。みんな真剣に時にふざけながら聞いてくれた。

「もし別れたら、うちのマンション空きがあるからどう?オーナーと仲良いから話しあわせてみるけど」

「あーそれなら会社に近いし通いやすくなるんじゃない?」

「朝陽さん!僕の家で良ければいつでも空いてますよ!」

「本当にありがとうございます。頑張ってきます」

とりあえず別れた初日は直人の家にお世話になって、準備が出来次第同僚の薦めてくれたマンションに引っ越そうと思っている。これで路頭に迷うことは無くなった。

「何か力になれることがあったら何でも言ってね」

「何でそこまでしてくれるんですか?」

「みんな朝陽のことが好きなんだよ」

「ぶちょ~」

部長がヨシヨシと俺の頭を撫でてくる。俺は今日何回頭を撫でられるのだろうか。周りもうんうんとうなずいてくれている。俺は同僚にかなり恵まれているらしい。

周りの温かさにほっこりしながら、今日伝えることを頭の中でまとめる。
「今まで俺に付き合ってくれてありがとう」「5年間そばに居させてくれて楽しかった」「これからは結婚も考える年だし…」はちょっと違うか。

言葉がなかなかまとまらないまま時間だけが過ぎていく。あっという間に夜になってしまった。

その前に朝にした約束を伊月は覚えているだろうか。そんな俺の思いも杞憂に終わる。

「帰るよ」

「うん」

昨日と一緒で俺のことを迎えに来るなんて。やっぱり昨日から彼の様子がおかしい。
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