報われない恋はやめよう!…あれ?なんだか相手の様子がおかしいようです

発光食品

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33)別れの時

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家に帰って早速夜ご飯の準備をしようとキッチンに向かう。

「いつきー。オムライス作ってる間に風呂入っといてー」

「え~、面倒くさい」

「風呂の準備はしておいたから行ってこい。上がるときまでに作っておくから」

「わかった」

伊月は渋々浴室に入って行った。少しだけ一人で心の準備をする時間が欲しかったのだ。

今日ついに伊月と別れるのか

振り返ると、この5年は短かったような長かったような不思議な感覚になる。
本当にすごい男と付き合っていたんだなと感慨深くなる。世界中が認めるイケメンで、声もイケボでエッチも上手いこの男を5年間も占領していたのだ。もしかして俺はすごいやつなのかもしれない。

伊月は普通に最低なやつだった。約束なんて守った試しがないし、目の前で他のやつとキスしたり、エッチだって平気な顔でした。それでいて、俺の作った料理にダメ出しするようなわがままなやつだ。

そのおかげで料理や家事の腕が上がったんだよな。

苦しいことも多かったが、こんなに長い間夢を見させてくれた伊月には感謝だ。
それにあんなイケメンとエッチできるなんてこの先一生ないだろう。
良い思いをさせてくれた伊月のためにもとびっきりのオムライスを作ってあげよう。

「上がったよ」

「お、ちゃんと入れたのか。偉いなあ」

よしよしと伊月の頭を撫でてやるが、普通に濡れていたためタオルで拭いてやる。
俺の準備した服を着て、俺の作った料理を食べている伊月が明日からは違うやつの彼氏になるのか。
胸の奥を締め付けられるような感覚があるが、これは俺の中に僅かに残った伊月への恋心だろう。

それも時間が経てばきっと解消されるはずだ。

「美味いか?」

「うん。俺、朝陽のとろとろのオムライス大好き」

「そっか。作って良かったよ」

伊月は俺の作ったオムライスを気に入ってくれたらしい。機嫌が良さそうだ。

「伊月、俺が朝にした話覚えてる?」

「ん?なんかあったっけ?」

「はは、まあ覚えていないとは思ってたよ。大切な話があるから俺が風呂から出るまで待っていてほしい」

「ふーん」

なんかニヤニヤして俺のことを見てくる。夜のお誘いだろうと思っているのだろうか。
とりあえず、俺が風呂を出るまでは起きていてくれるだろう。…きっと。

今日、別れ話を切り出したらそのまま家を出て直人の家に泊まる予定だ。今から風呂に入って出た後に別れを切り出すことを直人にメッセージで伝える。

『風呂上がったら別れを切り出す。今日は世話になる』

『朝陽さんだったらいつでも大歓迎っすよ!!頑張ってください!』

「ふふっ」

メッセージの後にハムスターがグッとしているスタンプが送られてきて緊張が少し緩んだ気がした。
「よっしゃ」と軽く気合いを入れて5年間の自分に「さよなら」を言うように服を全部脱ぎ捨てる。
これからが正念場だ。耐えろよ、俺。
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