きっと、叶うから

横田碧翔

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低学年編

ドリブル

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 来年の大会では必ず勝つと心に誓った僕は、来年に向けて練習をはじめた。まずは、ボールをしっかり蹴れるように、毎日毎日ひたすら壁に向かってボールを蹴った。戻ってきたボールをトラップして、また壁に向かって蹴る。これだけを愚直にやり続けた。最初は、自分のもとへ返ってこなかったボールが、三ヶ月後にはねらい通りに返ってくるようになり、テンポ良く壁当てができるようになった。その成果は、チームの練習でも発揮され、味方とパスをつなぐことが少しずつだが、できるようになっていった。だが、ボールを止める、蹴る技術は、できることが大前提。僕はやっと、サッカーをするためのスタートラインに立った。

そんな実感が沸いてきたある夜、僕はお風呂に浸かりながら、試合に勝つために必要な力は何かと、改めて考えてみた。そんなものは、挙げだしたらきりがない。シュート、ドリブル、ディフェンス、キック力・・・。選択肢がありすぎて頭を抱えた僕は、顔の半分までお湯に沈めて、プーと息を吐く。お湯がボコボコいいながら盛り上がる。そのしぶきが目に入り、僕は慌てて体を反らす。そのまま天井を見上げたとき、一つの疑問が浮かぶ。守備?攻撃?僕は何が得意なんだろう。今の僕では、下手くそすぎて得意も不得意もない。でも、これから練習するのだから、誰にも負けない武器が欲しいと思った。真守がフロントダイブでゴールを守るように。そこまで考えてハッとした。僕らのチームには真守がいる。つまり、守備はある程度どうにかなる。だったら、試合に勝つために僕ができることは決まっている。「ゴールを決められる選手」になろう。真守がゴールを守って、僕がゴールを決めてチームを勝たせる。
「それがいい!」
僕は勢いよく立ち上がって叫んだ。ゴールを決められる選手になるなら、練習はあれしかない。目標を決めて努力するのは嫌いじゃない。むしろ、夢中になって時間を忘れるくらい楽しい。明日から、また頑張るぞと、自分を奮い立たせながら、今度はちゃんと目を瞑ったまま、お湯の中で力強く息を吐いた。

次の日から、僕はどこに行くにもボールと一緒だった。お母さんの買い物についていくときも、友達と遊ぶときも、ご飯を食べにいくときも。いつもいつもドリブルをしていた。最初は少し恥ずかしかったけれど、だんだん上手になっていくのが楽しくて、恥ずかしさなんていつの間にか忘れていた。上手くなってきて、すれ違う通行人にフェイントをかけて、よくお母さんに怒られもした。大会で負けてからの一年間、雨でも雪でも、ボールに触らない日はなかった。そして、二年生になった僕は、去年と同じ大会に臨む。
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