異世界で生きていく。

モネ

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はじまりの話

異世界で初めてのアルバイト

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次の日も雨は降り続いていたので、宿で過ごすことにした。
本を読んだり荷物の整理をしたり、ゆっくり過ごしていたがまだまだ時間はあった。
ランチも食堂で取ることにしたので向かった。

「お昼も食堂でとるかい?」
「はい、大丈夫ですか?」
「もちろんさ、雨だからお客さんもちらほらしか来ないが、夕方には雨も止みそうだから夜は人が来るかもね♪」
「なんかずっと部屋にいるのは時間を持て余してしまいます。ランチを食堂でとるのは初めてだから楽しみです!」
「ワハハッ!いつもは朝から活動してるからね、落ち着かないのだろ。ランチはプレートがあるよ。鶏肉の香草焼きとサラダとライスのワンプレートさ。スープもついてるよ。」
「それください!美味しそう!あの、女将さん。もしよかったら食堂のお手伝いさせてもらえませんか?」
「えっ、店かい?でもお客さんにお手伝いしてもらうのは申し訳ないよ。」
「いえ、時間もあるし昨日ご馳走になったし。それに旅に出るので良い経験になります。ダメでしょうか?少しなら飲食店の仕事したことあります。」
「そうかい?わかったよ!無理しないでキツイときはいっておくれ。よろしくね!」
「良かった!はい、ありがとうございます!よろしくお願いします!」

ずっと思っていたのだ。よくしていただいているからお手伝いができないかと。
昨日も美味しい料理とお酒をご馳走になった。
少しでも力になりたい。足手まといにならないようにしよう。

学生時代にカフェと居酒屋のアルバイト経験はあるので、役に立てれば嬉しいな。

「食べ終わって支度ができたらきてくれるかい?制服は後で渡すね!」
「はい、ありがとうございます!」

ランチを済ませて制服をもらい部屋で支度をした。
フェルトちゃんが着ているものと同じ紺色のワンピースに白いエプロン。
少し胸回りがキツイ。でも動けるから大丈夫そうだ。

支度をして食堂に行った。
「お待たせしました。よろしくお願いします!」
「あぁ、サイズは大丈夫そうだね!良く似合ってるよ♪」
「モエさんだ!よろしくお願いします!モエさんと働けるなんて嬉しい♪」
フェルトちゃんがキャッキャと弾んでいる。
ナルトくんは何故か頬を赤らめている。
「ナルト!見惚れてないで仕込みだ!」
ガンジーさんに呼ばれてキッチンに行った。
「モエちゃん!良く似合ってるな!よろしくな!」
「はい、よろしくお願いします!」
「よし!まずは私と一緒にテーブルセッティングをしよう。」
女将さんについて仕事を始めた。

夕方になり、女将さんが言ったとおり降り続いていた雨が止み夕焼けが見えた。
オレンジ色で綺麗だ。
街も少しガヤガヤとしだした。
そろそろお客さまが来る時間だろうか?

「そろそろ混み始めますね!なんかあったらいつでも言ってくださいね!」
「ありがとう!」
フェルトちゃんも優しくフォローしてくれる。
私は配膳係としてフェルトちゃんとフロアに立つ。

しばらくするとちらほらとお客さまがいらっしゃった。
注文をきいたり、お料理やお酒を運んだ。
「お待たせしました。ビール4つです。」
「おっ!新人さんか?可愛いねぇ。」
お客さまが声をかけてくる。
色々聞かれて少し困っていると女将さんが呼んでくれたので離れることができた。

「ビール3つー!」
先程来店した、3人組の男性のテーブルから声がした。
「はいよ!」
女将さんが大きな声で返事をして出してくれたビールを私がテーブルに持っていく。

「お待たせしました。ビール3つです!」
「おぉ!あとはこのステーキ3つとライス3つ。あとはおつまみプレート。」
「かしこまりました。」
「君可愛いねぇ!俺たちと飲まない?」
「わっ!ホントだかわいい!そして美人だ。」
!!身なりからして冒険者だろう。
私より少し歳は上くらいの3人だった。
「いえ、仕事中ですので。」
やんわりと断ったが中々やりとりが終わらない。
困っていると女将さんが呼んでくれた。
「モエちゃん、こっちお願いできるかい?」
呼ばれたのでさっと挨拶をして下がった。
ふぅ、こういうの苦手だ。

「大丈夫かい?あそこの席には私が持っていくよ!」
「女将さん、すみません。ありがとうございます!」
「いいんだよ!冒険者はあんな感じのがよくいるから気をつけな!街の奴らはまだ陽気な感じだけどね♪」
「はい、ありがとうございます。」

私は他の仕事をしていたが、何度も冒険者組は近くに行くたびに声をかけてきたり、見てくるので困る。
見かねたガンジーさんが声をかけてくれた。

「おい!そこの冒険者ども!ウチの店はそういうお店じゃねぇ!女がお望みなら他の店に行け!」
大きな声で喝を入れてくれた!
ビクッとした冒険者はいそいそと静かに晩酌を続けた。

「モエちゃん悪いな!キッチン手伝ってもらえるか?」
「はい、すみません。」
「いいんだよ、モエちゃんがあやまることではない。」

お手伝いのつもりが迷惑をかけてしまった。
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