異世界で生きていく。

モネ

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第三章の話

閑話 宿のダイニングでは。

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露店から戻りダイニングのカウンターでグラスを拭いていた。
日々ハードだし休みもほぼない。
そのうちバカンスにでも行きたいが。
経営者はなかなか忙しい。

「ただいま。」
声をする方を見ると、レンだった。
少し疲れているようだ。
「レン!おかえり。こんな夜遅くに。」
「あぁ、悪りぃ。まだやってんならなんか食わせてくれないか?腹が減ってて。」
「あぁ、大丈夫だよ。」
「あとビールをくれ。」
「わかった。とりあえず水ね!ビールは今用意する。」
これはジョッキビールだろうと思い、ジョッキを出した。
「おっ、気が効くな、ありがとう。」
「遅い時間だね、今帰り着いたの?」
「あぁ、北に行く時にラリーを預けてたから迎えに行ってそのまま北へ行った。今日ギリギリまであっちにいたからな、帰り着いてラリーを小屋に入れてからきた。」
ラリーはレンの馬だ。
真っ黒なシュッとした大きな馬で走りも早い。
「そうか、お疲れ様。こんな夜に。明日ゆっくり戻ればよかったのに。キツイだろ、作業後じゃ。」
「まぁな、でも早く帰ってこようと思ってさ。」
「モエさんに会いたかった?」
「モエは元気にしてるか?」
「あぁ、宿と露店の手伝いもしてくれて、助かってるよ。働き者だから評判も良い。従業員としてほしいくはいだよ。」
「クッ。そうだろうな。モエはちゃんと飯食ってるのか?」
「もちろん、毎度美味しそうに食べてる。最近はよくジェイドさんといるよ。レンの危機だね。」
「ジェイドか。なんで危機だよ。」
「ジェイドさん、モエさんに告白したらしいよ。一緒に国に来てくれって。」
「はぁ?それでモエは行くのか?」
「それは知らないけれど、まだ返事はしてないみたいだけどね。昨日言ったらしいし。モエさんは悩んでるのかもね。今日モエさんとちらっと話したけど。」
「そうか。」
「レン。レンものんびりしてられないよ。だから最初から言っただろ?」
「あぁ。でもモエが決めることだ。それにモエは冒険者として旅をしたいと言っていたからな。それを壊すことがないのなら。」
「レンはモエさんに弱いよね。最強冒険者のレンの弱点だ。」
「うるせぇ。でもここ数日モエと会わなくてモエに会いてえなとか話してぇとかずっと思ってた。もう宿に帰ってるんだろ?」
「レンが珍しいですね。はい、もうおやすみ中だと思いますから、明日にしてくださいね。」
「わかってるよ。」
「はぁ。モエさん。恋人をつくること自体に悩んでるみたいですよ。自分が好きな人ってなんなのか。」
「そうか。モエは改めて思うが真面目だよな。一つ一つきちんと考える。」
「良いところなんですが、本人は大変でしょうね。」
「早く会いてえよ。」

レンも違う意味で不器用なんですけどね。
それを本人に言うと怒るので言わないけれど。
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